このページの本文へ移動

Menu

メニュー

  • 企業 
  • ニュース 
  • サービス 
  • 技術・デザイン 
  • 採用 
  • 投資家情報 
  • サステナビリティ 
  • CyberAgent Way 

 

プレスリリース

AI Lab、エビデンスに基づく政策形成と実践を議論する「Global Evidence Summit 2024」にて4本の論文概要が口頭およびポスター発表に採択

ーEBPMデータベースによる政策形成の支援や、公共サービスの利便性向上を提案ー

広告

株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の森脇大輔、松木一永、竹浪良寛らによる4本の論文概要が、エビデンスの活用に関する国際会議「Global Evidence Summit 2024 (GES 2024)」※1にて口頭およびポスター発表に採択されたことをお知らせいたします。なお「AI Lab」において、本会議での論文採択は初となります。

「GES」は世界中の研究者がエビデンスに基づく政策形成と実践について議論する国際会議で、2017年に南アフリカ・ケープタウンで行われた会議に続き、今回が2回目の開催となります。
このたび採択された論文概要は、2024年9月にチェコ・プラハで開催される「GES 2024」での発表予定です。その中でも、「政策形成プロセスを改善するための『EBPMデータベース』開発」は採択された中でも限られた研究のみが選ばれる口頭発表に選出されました。
 

■背景

近年、国や地方自治体が提供する教育、医療、防災など、生活を支える様々な公共サービスの効率化と使いやすさの向上を目指し、AI技術の活用がますます注目されています。
特に保育や市民サービスにおいては、待機児童問題の解決に必要な保育所情報が保護者に行き渡らないことや、行政手続きの複雑さから必要な人に支援が行き届かないなど、多くの課題が存在しています。

「AI Lab」では、これらの社会課題を解決するために先進的なAI技術の研究・開発に注力しており、これまでに、東京都多摩市での「保育所の利用調整」に関する実証実験や、東京都渋谷区での「保育所利用申請システム」に関する実証実験福島県郡山市での「保育利用調整」に関する実証実験を行うなど、実際の社会課題の解決に取り組んでまいりました。

今回採択された4本の論文は、待機児童問題の解決に向けた保育所検索マップの開発や、政策形成プロセスを改善するための「EBPMデータベース※2」の構築など、AI技術を活用して社会課題の解決に寄与することが期待されます。
 

■論文の概要

1. 「政策形成プロセスを改善するための『EBPMデータベース』開発」
著者: 森脇大輔(サイバーエージェント AI Lab)、小林庸平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、戦略国際問題研究所)

2022年5月に日本初のエビデンスポータル「EBPMデータベース」が開設されました。このデータベースは証拠に基づく政策(Evidence-Based Policy Making, EBPM)を促進するためのプラットフォームとして60以上のエビデンスレビューをまとめており、政策決定者にとって利用しやすいものとなっています。オープンなコラボレーションを重視し、レビュー過程やソースコードをGitHubで公開することで、公共および専門家の参加を促進しています。


<詳細のプレスリリースURL>
https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/news/detail/id=27644




2.「 待機児童を減らす保育所検索マップ」
著者: 森脇大輔(サイバーエージェント AI Lab)、後藤健太郎(サイバーエージェントAI事業本部)、吉川匠(独立研究者)、滝田愛澄(早稲田大学)
本研究では「保育所検索マップ」を用いて保護者の情報収集コストを削減し、より良い保育所選択を可能にすることで待機児童の減少を目指しました。
渋谷区でのランダム化比較試験の結果では、「保育所検索マップ」の導入により、保護者が希望する保育所の数が「マップなし」の場合と比べて約37%増加しました。さらに「保育所検索マップ」により今まで見つけづらかった自宅から近い保育所を探せるようになり、自宅から希望保育所までの距離が約39%短くなるなど、魅力的な保育所をより簡単に発見できることが示唆されます。
シミュレーションの結果、「保育所検索マップ」の導入によって待機児童の数を約37%減少する可能性が示されました。

<論文リンク>
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4431332



3. 「生成AIチャットボットは市職員に代わって市民の質問に答えられるか?」
著者: 松木一永(サイバーエージェント AI Lab)、森脇大輔(サイバーエージェント AI Lab)、竹浪良寛(サイバーエージェント AI Lab)、北川慶(サイバーエージェント AI事業本部)
本研究では、生成AIチャットボットが市民サービスの効率化にどの程度寄与できるかを評価しました。市のウェブサイトの公文書を利用して正確な回答を提供するプロトタイプを開発し、市役所の訪問者による主観的評価と、事前に収集した質問と回答を用いた客観的評価を行いました。初期段階ではユーザーインターフェースに課題がありましたが、半数以上の参加者が最終的に有用性を認めました。

<詳細のプレスリリースURL>
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29602



4. 「兄弟姉妹が同じ保育所に入所するためのシミュレーションに基づく政策形成」
著者: 竹浪良寛(サイバーエージェント AI Lab)、森脇大輔(サイバーエージェント AI Lab)、松木一永(サイバーエージェント AI Lab)、Wu Shuting(サイバーエージェント AI Lab)
本研究では、福島県郡山市の保育所の利用調整を改善するために、詳細なシミュレーションを行いました。アルゴリズムを用いて兄弟姉妹の配置を最適化し、ルール変更の効果を評価しました。ルール変更後の評価では、多くの家族が新しいルールを理解し、申請行動を調整したことが確認されました。
これにより、これまでよりも兄弟姉妹が同じ保育所に入所しやすくなることが見込まれ、子供が複数いる世帯の育児負担が軽減されることが期待できます。

<詳細のプレスリリースURL>
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29467


 

■今後

これらの研究成果は、公共サービスの利便性向上や政策形成の改善など、日常生活における広範な分野での応用が期待されます。特に、保育所の利用調整における効率化や市民サービスの質の向上、エビデンスに基づく政策決定の支援など、多岐にわたる社会課題の解決に寄与することが期待されています。

「AI Lab」では今後も、先進的な技術を活用して、社会に貢献するための研究・開発に取り組んでまいります。
 

 



※1:「GES」Global Evidence Summit
※2:証拠に基づく政策(Evidence-Based Policy Making, EBPM)を促進するためのプラットフォーム