プレスリリース
AI Lab、計算機科学と経済学分野における最高峰の国際会議「EC 2026」にて論文採択
保育所入所選考におけるきょうだい別所入所の負担を定量化、自治体の政策設計にも貢献
株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:山内隆裕、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」の研究員である竹浪良寛および同社連結子会社である株式会社タップル技術本部に所属する森脇大輔ならびに、東京大学の久野寛氏による共同研究論文が、経済学と計算機科学分野におけるトップクラスの国際会議「EC 2026(The 27th ACM Conference on Economics and Computation)」に採択されたことをお知らせいたします。
「EC」は両分野の研究者が一堂に会する、権威のあるトップカンファレンスのひとつです。このたび採択された論文は、2026年7月6日から10日にかけてイタリア・ローマで開催される「EC 2026」にて発表を行います。
「EC」は両分野の研究者が一堂に会する、権威のあるトップカンファレンスのひとつです。このたび採択された論文は、2026年7月6日から10日にかけてイタリア・ローマで開催される「EC 2026」にて発表を行います。
背景
「AI Lab」では2022年より、東京大学マーケットデザインセンターおよび福島県郡山市と連携し、保育所入所選考の改善に継続的に取り組んでいます。利用調整基準の見直しによるきょうだい加点制度の設計支援(2023年)や、入所選考システム「ChilmAI」の開発・提供(2025年)を通じ、多子世帯の負担軽減と入所選考業務の効率化に貢献してまいりました。
一方、これらの取り組みの中で、きょうだいの「別所入所」がもたらす負担については定量的な把握が行われていませんでした。別所入所とは、きょうだいが異なる保育所に通うことです。送迎先が複数になるだけでなく、施設ごとに異なる行事・持ち物・連絡方法への対応など、距離には表れない負担が生じます。この負担の大きさを客観的に示す手段がなかったため、2023年に導入したきょうだい加点が世帯間の入所率格差をどの程度改善したのか、またそもそも制度変更前の格差がどの規模だったのかも、定量的に評価できていませんでした。
「AI Lab」では2022年より、東京大学マーケットデザインセンターおよび福島県郡山市と連携し、保育所入所選考の改善に継続的に取り組んでいます。利用調整基準の見直しによるきょうだい加点制度の設計支援(2023年)や、入所選考システム「ChilmAI」の開発・提供(2025年)を通じ、多子世帯の負担軽減と入所選考業務の効率化に貢献してまいりました。
一方、これらの取り組みの中で、きょうだいの「別所入所」がもたらす負担については定量的な把握が行われていませんでした。別所入所とは、きょうだいが異なる保育所に通うことです。送迎先が複数になるだけでなく、施設ごとに異なる行事・持ち物・連絡方法への対応など、距離には表れない負担が生じます。この負担の大きさを客観的に示す手段がなかったため、2023年に導入したきょうだい加点が世帯間の入所率格差をどの程度改善したのか、またそもそも制度変更前の格差がどの規模だったのかも、定量的に評価できていませんでした。
論文概要
本研究は、福島県郡山市の保育所申込データを用い、従来の分析では捨象されていたきょうだいの入所先の組み合わせへの選好(きょうだいが同じ施設に通える便益と別々の施設に通う場合の負担)を世帯の意思決定に明示的に組み込んだ構造モデルとその推定方法を構築しました。
分析の結果、別所入所による非距離的な負担(施設ごとに異なる行事・持ち物・連絡方法への対応など、送迎距離とは別に生じる負担)は1日あたり約4.8kmの通所距離に相当することを世界で初めて定量化しました。これはサンプル平均の通所距離(約2.26km)の2倍を超える大きさであり、「距離以外の手間」が距離そのものよりもはるかに重い負担であることが示されました。
さらに、同市が2023年に導入したきょうだい加点制度の設計を反実仮想シミュレーションにより評価しました。制度変更の結果、申込者全体の厚生(保護者が感じる満足度の指標)が+6.4%改善し、中でもきょうだいが同時に申し込んだ世帯は+22.9%という大幅な改善が確認されました。
論文リンク:https://arxiv.org/abs/2604.13597
※EC 2026での発表論文は採択審査時点の原稿をもとにしています。最新版はarXivにて公開しています。
今後の展開
本研究で培われた、複数の主体(きょうだい等)の補完的な選好を考慮した構造推定および反実仮想シミュレーションの技術は、自治体における保育所や学校選択制におけるきょうだいの存在、研修医マッチングにおけるカップルの存在など、公共性の高いマッチング制度や資源配分の最適化(EBPM:証拠に基づく政策立案)へ広く応用が期待されるものです。
今後は、本手法を当社の様々な資源配分アルゴリズムやプロダクト開発へ応用するとともに、経済学の知見を活かした社会課題の解決やビジネス価値の最大化を目指して、さらなる研究・開発を進めてまいります。
分析の結果、別所入所による非距離的な負担(施設ごとに異なる行事・持ち物・連絡方法への対応など、送迎距離とは別に生じる負担)は1日あたり約4.8kmの通所距離に相当することを世界で初めて定量化しました。これはサンプル平均の通所距離(約2.26km)の2倍を超える大きさであり、「距離以外の手間」が距離そのものよりもはるかに重い負担であることが示されました。
さらに、同市が2023年に導入したきょうだい加点制度の設計を反実仮想シミュレーションにより評価しました。制度変更の結果、申込者全体の厚生(保護者が感じる満足度の指標)が+6.4%改善し、中でもきょうだいが同時に申し込んだ世帯は+22.9%という大幅な改善が確認されました。
論文リンク:https://arxiv.org/abs/2604.13597
※EC 2026での発表論文は採択審査時点の原稿をもとにしています。最新版はarXivにて公開しています。
今後の展開
本研究で培われた、複数の主体(きょうだい等)の補完的な選好を考慮した構造推定および反実仮想シミュレーションの技術は、自治体における保育所や学校選択制におけるきょうだいの存在、研修医マッチングにおけるカップルの存在など、公共性の高いマッチング制度や資源配分の最適化(EBPM:証拠に基づく政策立案)へ広く応用が期待されるものです。
今後は、本手法を当社の様々な資源配分アルゴリズムやプロダクト開発へ応用するとともに、経済学の知見を活かした社会課題の解決やビジネス価値の最大化を目指して、さらなる研究・開発を進めてまいります。