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技術

AI Lab、対話・談話研究に関する国際会議「SIGDIAL 2025」にて4本の論文採択

AI Tech Studio

人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」研究員の岩田伸治および佐藤志貴らによる論文4本が「SIGDIAL 2025」にて採択されたことをお知らせいたします。これらの研究成果は、2025年8月にフランスのアヴィニョンで開催される「SIGDIAL 2025」にて発表される予定です。

■背景
昨今、業務効率化や顧客サービス向上の目的から、多くの市場でテキストによるAIチャットボットの導入が進むと同時に、コールセンターでの問合せなど音声でコミュニケーションをするサービスや業務もAIによる自動化ニーズが高まっています。
このようなオンライン上でのコミュニケーションの自動化に対する関心の高まりを背景として、AI Labの対話システムチームでは「人間らしく自然で高度なオンライン対話」を可能とするAI技術の研究強化に努めております。

■採択された論文について

このたび「SIGDIAL 2025」において、以下の4本の論文が採択されました。なお、「AI Lab」研究員の佐藤志貴が著者として携わった論文は4本にのぼり、これはSIGDIAL 2025における最多の採択数となります。


「Identification and Analysis of Identity-Centric Elements of Character-Likeness from Game Scenario」
岩田伸治(サイバーエージェント AI Lab)、 伊原滉也(サイバーエージェント SGE AI戦略本部)、佐藤志貴、馬場 惇、邊土名朝飛(サイバーエージェント AI Lab)、山﨑眞洋、塩塚勇気(株式会社QualiArts)、礎考宏(株式会社サムザップ)、吉本暁文(サイバーエージェント AI Lab)
本論文では、言語化が難しい「キャラクターらしさ」の構成要素の構築を試みました。更にそれらの構成要素とゲームの台詞を実際に対応付けを行い、数値評価を行いました。評価結果から、各構成要素がキャラクターらしさにどのように関係しているかを実験的に明らかにしました。
なお本研究は、SGE AI戦略本部と株式会社QualiArts(「IDOLY PRIDE」)、株式会社サムザップ(「夢王国と眠れる100人の王子様」)と共同で実現した成果になります。


「How Stylistic Similarity Shapes Preferences in Dialogue Dataset with User and Third Party Evaluations」
沼屋征海(東北大学)・守屋彰二(東北大学)・佐藤志貴(東北大学/サイバーエージェント AI Lab)・赤間怜奈(東北大学/国立国語研究所/理化学研究所)・鈴木潤(東北大学/理化学研究所)
本論文では、対話システムとユーザのあいだの発話スタイルの類似に対する人間の認識の性質や、その性質が対話システムに対する人手評価に与える影響を明らかにすることを試みました。評価者の立場の違いによる発話スタイルの類似に対する認識の比較を含む網羅的な分析を実施するため、
1. 対話システムとユーザの間の対話2. 対話に参加したユーザ本人によるシステムの評価3. その対話を見た第三者の人間によるシステムの評価の三つ組みが揃った対話データセットを初めて構築しました。このデータセットを分析することで、システムと対話したユーザ本人による発話スタイル類似の認識は第三者のものとは大きな乖離があること、そしてユーザ本人による発話スタイル類似の認識こそがシステムに対する評価と強く相関することなどを明らかにしました。


「Key Challenges in Multimodal Task-Oriented Dialogue Systems: Insights from a Large Competition-Based Dataset」
佐藤志貴、岩田伸治、邊土名朝飛(サイバーエージェント AI Lab)、佐々木裕多(東京科学大学)、山崎天(SB Intuitions 株式会社)、守屋彰二(東北大学)、大萩雅也(SB Intuitions 株式会社)、菊池浩史、楊潔(早稲田大学)、斉志揚(電気通信大学)、児玉貴志(NII LLMC)、李晃伸(名古屋工業大学)、小室允人(千葉大学)、西川寛之(明海大学)、牧野遼作(早稲田大学)、港隆史(ATR/理化学研究所)、境くりま、船山智(ATR)、船越孝太郎(東京科学大学)、宇佐美まゆみ(東京外国語大学)、稲葉通将(電気通信大学)、高橋哲朗(鹿児島大学)、東中竜一郎(名古屋大学)

「Analyzing Dialogue System Behavior in a Specific Situation Requiring Interpersonal Consideration」
高橋哲朗(鹿児島大学)、菊池浩史、楊潔(早稲田大学)、西川寛之(明海大学)、小室允人(千葉大学)、牧野遼作(早稲田大学)、佐藤志貴(サイバーエージェント AI Lab)、佐々木裕多(東京科学大学)、岩田伸治、邊土名朝飛(サイバーエージェント AI Lab)、山崎天(SB Intuitions 株式会社)、守屋彰二(東北大学)、大萩雅也(SB Intuitions 株式会社)、斉志揚(電気通信大学)、児玉貴志(NII LLMC)、李晃伸(名古屋工業大学)、港隆史(ATR/理化学研究所)、境くりま、船山智(ATR)、船越孝太郎(東京科学大学)、宇佐美まゆみ(東京外国語大学)、稲葉通将(電気通信大学)、東中竜一郎(名古屋大学)
これら2本の論文は、「対話システムライブコンペティション7」の開催を通して得られた対話データや対話システムに関する知見をまとめたものです。

対話システムライブコンペティションは、多数の企業・大学が構築した対話システムと人間が実際に行った対話に基づきシステムの性能を競う、日本最大の対話システムのコンペティションイベントです。
第7回となる今回はサイバーエージェント AI Lab の佐藤志貴が実行委員長を務めました。

第7回では、音声やカメラ映像を通じて対話を行うマルチモーダル対話システムを対象に、高度な課題においてタスク達成を実現する能力を競う「タスクトラック」と、人間関係等を考慮しながら状況にあった人らしい対話を行う能力を競う「シチュエーショントラック」を開催しており、「Key Challenges in Multimodal Task-Oriented Dialogue Systems: Insights from a Large Competition-Based Dataset」ではタスクトラック、「Analyzing Dialogue System Behavior in a Specific Situation Requiring Interpersonal Consideration」ではシチュエーショントラックの開催を通して得られた知見をまとめています。

両トラックの開催を通じて収集された、約70時間もの膨大な人間とシステムの間のマルチモーダル対話を包括的に分析することで、タスクトラックでは応答遅延や発話の長さ、ターンテイキング、音声認識・合成、表情やジェスチャーといったマルチモーダルな振る舞いがユーザー体験や課題達成に強く影響すること、シチュエーショントラックでは対話構造の明示的な設計や共感的応答戦略が対話の自然さや信頼感を高める上で不可欠であることを明らかにしました。


■今後
これらの研究の成果は、キャラクターに関するAIの活用や、映像や音声を活用することでよりユーザ満足度を高めるオンライン対話エージェントへの活用が期待されます。今後も「AI Lab」では効率的
かつ効果的なAIサービスの実世界への社会実装に向けて、研究・開発に努めてまいります。