このページの本文へ移動

Menu

メニュー

  • 企業 
  • ニュース 
  • サービス 
  • 技術・クリエイティブ 
  • 採用 
  • 投資家情報 
  • サステナビリティ 
  • CyberAgent Way 

 

技術

「Asian Journal of Social Psychology」に共著論文が採択: アバターコミュニティアプリ利用がLGBTQIA+ユーザの社交不安を改善

学際的情報科学センター

「学際的情報科学センター」で学際的な研究開発に従事する高野雅典と徳島大学 社会産業理工学研究部 横谷謙次准教授、京都大学 人と社会の未来研究院 阿部修士教授、九州大学 医学研究院 臨床医学部門 加藤隆弘准教授の共著論文「Improving Social Anxiety in Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Questioning, Intersex, and Asexual Individuals through Avatar Customization and Communication」が国際論文誌「Asian Journal of Social Psychology」に採択されました。学際的情報科学センターでは、社外の研究機関と協働しながら、情報科学とその隣接領域の学術的な知見に基づき、主に当社のメディア事業における研究開発に取り組んでいます。

「Asian Journal of Social Psychology」は社会心理学分野の国際論文誌です。この度採択された論文はアバターコミュニティアプリ「ピグパーティ」利用におけるLGBTQ+ユーザの仮想世界と現実社会での社交不安症の改善効果を調査した研究です。

■論文の概要

本研究ではピグパーティのユーザ(非LGBTQIA (Non-LGBTQIA+)、LGBTQIA+)の仮想世界・現実社会での社交不安、それらの社交不安とアバター(ピグ)との関連を調査しました。


仮想世界は社交不安を感じなくて済む世界(特にLGBTQIA+ユーザ)
仮想世界と現実社会での社交不安(LSAS-J)について調査した結果、ユーザは仮想世界では現実社会よりも他者との交流に不安を感じていない(社交不安が低い)ことがわかりました(図1)。特に、LGBTQIA+ユーザは現実社会での社交不安が高い一方で、仮想世界ではNon-LGBTQ+ユーザと同程度であり、現実社会での交流における課題が仮想世界では改善されることを示唆しています。これは私達のこれまでの研究(オンラインでは現実よりもLGBTQIA+ユーザとそれ以外のユーザでソーシャルサポートの認知の差が小さい)とも一貫した結果になりました。
アバターと本人の同一性がコミュニケーションを促進、それが現実世界での社交不安を軽減
仮想世界での社交不安をより減らしてコミュニケーションを促進し、それによって現実社会での社交不安を改善することについて検討しました。調査の結果、アバターをカスタマイズすることによってユーザはアバターと自分との同一性を強く感じる(自分と似ていると思う・没入感を感じる)ようになり、それが仮想世界での社交不安を改善・コミュニケーションを促進しうることがわかりました。そして仮想世界でのコミュニケーションは現実社会での社交不安症状を軽減することが示唆されました。またアバター同一性はLGBTQIA+ユーザのほうがそうでないユーザよりも高い傾向に有り、結果として社交不安改善効果はLGBTQIA+ユーザのほうが高いことが示されました。
以上からアバターコミュニティアプリのユーザのアバターカスタマイズを促進することによって、(LGBTQIA+の方が社交不安を感じやすい)現実社会においても社交不安を改善できることが示唆されました。本研究は横断調査に基づくため、因果関係を縦断調査・介入実験などによって検証し、社交不安改善効果をより向上させるための施策実装を進めてまいります。

■論文

・著者: 横谷謙次、高野雅典、阿部修士、加藤隆弘
・タイトル: Improving Social Anxiety in Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Questioning, Intersex, and Asexual Individuals through Avatar Customization and Communication
・論文誌: Asian Journal of Social Psychology (December 2024)
・URL: https://doi.org/10.1111/ajsp.12666