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プレスリリース

AI Lab、人工知能分野のトップカンファレンス「AAAI 2025」にて3本の論文採択

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の藤本悠雅、蟻生開人、阿部拳之および孫兆鴻※1、九州大学の横尾真教授ならびに電気通信大学の石橋宙希氏、 岩崎敦准教授による3本の論文が、人工知能分野の国際会議「AAAI 2025」※2に採択されたことをお知らせいたします。

※1  九州大学所属、クロスアポイントメント制度により「AI Lab」研究員を兼務

「AAAI」は、世界中の様々な人工知能分野の研究者が一堂に集い毎年開催される国際会議で、「NeurIPS」「ICML」「KDD」※3などと並んで、人工知能分野で権威ある国際会議の1つです。「AAAI」には過去5年、「AI Lab」の研究員による論文が本会議およびワークショップにて採択されており、今回で7年連続※4 の採択となります。

このたび採択された論文は、2025年2月25日から3月4日にかけてアメリカのペンシルバニア州・フィラデルフィアで開催される「AAAI 2025」にて発表されます。

■本会議にて採択された3本の論文について

「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究・開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。
なかでも、経済学領域における研究チームでは、因果推論、メカニズムデザイン、ゲーム理論、行動経済学といった経済学の各分野において、高度な理論研究や社内外のデータを用いた応用研究を行うとともに、アカデミアおよび行政との連携による社会実装や学術貢献にも注力をしています。


Synchronization in Learning in Periodic Zero-Sum Games Triggers Divergence from Nash equilibrium
著者:藤本悠雅、蟻生開人、阿部拳之(サイバーエージェント AI Lab)
広告オークションでは、自社だけでなく他社も独自に入札額を決めるため、複数の意思決定主体が存在します。このように複数のモデルが学習する状況では、各主体のふるまいを予測するのが困難になる問題があります。本研究は、広告オークションに見られるような時間変動する環境において、各主体がどのように行動を選択するように学習するかについて分析を行いました。結果として、環境の時間変動と全ての主体の学習が同期することで、全ての主体にとって最適な状態から逸れてしまう新しい現象を発見し、この現象を理論と実験の両面から分析しました。


Approximate State Abstraction for Markov Games
著者:石橋宙希(電気通信大学)、阿部拳之(サイバーエージェント AI Lab)、岩崎敦(電気通信大学)
様々なウェブサービスにおいて、状況に応じて適切な意思決定を行うモデルの学習が重要な役割を果たしています。しかし、実環境では考慮すべき状況の数が非常に多く、最適なモデルの学習が困難となることがあります。本研究では、ある尺度で見たときに類似した複数の状況を同一の状況として捉えることで、考えるべき状況の数を減らした上でモデルを学習できる方法論を提案しました。さらに、この方法を用いた場合に、最適な意思決定に近いモデルを効率的に学習できることを理論的かつ実験的に示しました。


Achieving Balanced Representation in School Choice with Diversity Goals
著者:孫兆鴻(九州大学・サイバーエージェント AI Lab)、横尾真(九州大学)
世界中の学校において多様性を考慮した学生選考が行われる際、1人の学生が複数の属性(例:性別、民族など)を持つ場合、1つの属性としてのみカウントする方式が一般的です。経済学や計算機科学における既存のアルゴリズムは、学校が多様性目標や優先順位を達成するのを助けることを目的としていますが、このような既存の選考方法では、複数の属性を持つ学生間で大きな不均衡を引き起こす可能性があることが課題となっていました。

この問題に対処するために、本論文では「バランスの取れた表現」と呼ばれる新しい考え方を提案します。これは、すべてのタイプおよびタイプの組み合わせにわたって公正な表現を確保するものです。
具体的には以下4つの基本的な性質を独自に満たす簡潔な選択方法を提案します。

-    最大限の多様性
-    無駄のない選択
-    正当な妬みのない性質
-    バランスの取れた表現

従来の研究では主に二部グラフに基づく方法が中心でしたが、今回はフローネットワークを用いた新しいアプローチを採用しています。
この新しい手法により、問題の形式化がより簡潔になり、計算効率が大幅に向上しました。この選択方法を二部グラフとフローネットワークの両方で実装するための効率的なアルゴリズムも提案しています。



また、本年度はワークショップにおいてもAI事業本部所属の宮西洋輔と箕谷啓太による論文「Superficial Consciousness Hypothesis for Autoregressive Transformers」が採択されています。本研究では人間の意識に関する理論を用いたAIの内部状態の評価に取り組んでおり、今後は事業部での様々なタスクにおけるAIの性能予測に活用することを目指しております。
なお本研究は、技術者のスキルアップ支援を目的に一定の業務時間を使い技術の研究活動ができる CAゼミ制度における活動成果の一部です。

 

■今後

これらの研究の成果は、当社で提供している広告配信プロダクトや行政のDX推進における基礎技術として活用することを目指しております。
「AI Lab」は今後もビジネス・社会課題の解決に向けたAI技術をプロダクトに取り入れるとともに、技術発展と学術発展に貢献するべく、研究・開発に努めてまいります。




※2 「AAAI」Association for the Advancement of Artificial Intelligence
※3 「NeurIPS」 Neural Information Processing Systems ,「ICML」International Conference on Machine Learning ,「KDD」International Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※4 Narita et al. “Efficient Counterfactual Learning from Bandit Feedback” (AAAI 2019) , Garcia et al. “KnowIT VQA: Answering knowledge-based questions about videos” (AAAI 2020) , Nomura et al. “Warm Starting CMA-ES for Hyperparameter Optimization” (AAAI 2021) , Shimano et al. “Computing Strategies of American Football via Counterfactual Regret Minimization” (AAAI 2022 Workshop on Reinforcement Learning in Games),Sun et al.”Daycare Matching in Japan: Transfers and Siblings”(AAAI 2023), Aziz et al. ”Fairness Concepts for Indivisible Items with Externalities” (AAAI 2023)[リリース], Fujimoto et al. “Memory Asymmetry Creates Heteroclinic Orbits to Nash Equilibrium in Learning in Zero-Sum Games” (AAAI 2024)[リリース]