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プレスリリース

AI Lab、推薦システム分野のトップカンファレンス「RecSys 2023」にて主著論文採択

―マッチングプラットフォームにおけるより実用的な相互推薦手法を提案―

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の冨田燿志・富樫陸・大坂直人および同社メディア統括本部  Data Science Centerに所属する橋爪友莉子による主著論文「Fast and Examination-agnostic Reciprocal Recommendation in Matching Markets」が、推薦システム分野の国際会議「RecSys 2023」(The ACM Conference on Recommender Systems)※1 に採択されたことをお知らせいたします。

「RecSys」は推薦システムに関わる世界中の研究者・データサイエンティスト・エンジニアが集う国際会議で、機械学習やデータサイエンスの応用に関して「KDD」「SIGIR」※2 などと並び権威のある国際会議です。
このたび「AI Lab」から採択された内容は、2023年9月にシンガポールで開催される「RecSys 2023」で発表を行います。



■背景
近年、求職情報提供サービスやオンラインデーティングをはじめとするマッチングプラットフォームにおいて、ユーザーに他方のユーザーを推薦する相互推薦システム(Reciprocal Recommender Systems)は重要な役割を果たしています。 これまでも「AI Lab」では、相互推薦システムや保育所の利用調整アルゴリズムの開発など様々なマッチングの問題に取り組んでおり、「RecSys 2022」や「AAAI 2023」※3での採択論文発表など学術貢献を行うとともに、多摩市において保育所の利用調整ルールを改善するなど社会実装を行なっています。

本研究は、マッチングプラットフォームにおける推薦の設定において、より実用的な推薦手法を提案し、シミュレーション実験によって提案手法の有効性を検証しました。 

相互推薦システムでは、推薦結果を受け取るユーザーと推薦されるユーザーとの双方が互いに興味を持つ場合に推薦されるようにすることと、被推薦機会が一部の人気ユーザーに集中し過ぎることのないようにすることの二点が重要です。 実用上広く使われている手法では、一点目のユーザー間における興味の一致は考慮しているものの、二点目の被推薦機会の人気ユーザーへの集中は回避できていないことが指摘されています。 一方、上記の二点を考慮してプラットフォームにおける総マッチ数の最大化を目指す既存手法は、実サービスのユーザー数スケールでは計算が不可能であり、またユーザーのクリックモデルにおける観測できない関数形の仮定に依存するため、実用が困難であることが課題とされていました。 



■論文の概要
本研究は、昨年「RecSys 2022」にインダストリートークとして採択された研究を発展させ、マッチング理論※4の分野で知られる移転効用つきマッチングモデル(Matching with Transferable Utility)に基づいて推薦を行う相互推薦手法を提案しました。

提案手法は、前述の二点の課題を考慮した推薦を可能にするとともに、既存手法と比較して高速に計算が可能であり、また特定のクリックモデルの関数形に依存しないため、より実用的な相互推薦手法となります。

実際に人工データおよび実サービスのデータを用いたシミュレーション実験により、既存手法と比較してより大きなサイズのデータセットにおいても計算が可能であり、またプラットフォームにおける総マッチ数の観点で既存手法と同等以上の性能があることを検証しました。
(論文リンク:https://arxiv.org/abs/2306.09060



■今後
本研究による提案手法は、相互推薦を行なっているマッチングプラットフォームにおいて広く応用が可能であり、当社の連結子会社である株式会社タップルが運営するマッチングアプリ「タップル」※5においても導入を検討しております。「AI Lab」ではWebサービスにおいてユーザー満足度を高めるAI技術の創出を目指し、今後も研究・開発に努めてまいります。




※1 「RecSys」The ACM Conference on Recommender Systems
※2  「KDD」ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
   「SIGIR」International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval
※3   「AAAI」AAAI Conference on Artificial Intelligence
※4  マッチング理論:2グループの人々を、それぞれの興味とマッチ上限数を考慮した上で適切にマッチさせる方法を考える分野
※5    「タップル」