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プレスリリース

AI Lab、推薦システム分野におけるトップカンファレンス「RecSys2022」にてインダストリートークプロポーザルがポスター発表に採択 ーマッチング理論に基づく相互推薦システムを提案ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の冨田燿志・富樫陸・森脇大輔によるインダストリートークプロポーザル「Matching Theory-based Recommendation in Online Dating」が、推薦システム分野の国際会議「RecSys 2022」(The ACM Conference on Recommender Systems)※1 のポスター発表に採択されたことをお知らせいたします。

「RecSys」は推薦システムに関わる世界中の研究者・データサイエンティスト・エンジニアが集う国際会議で、機械学習やデータサイエンスの応用に関して「KDD」「SIGIR」※2 などと並び権威のある国際会議です。このたび「AI Lab」から採択された内容は、2022年9月に開催される「RecSys 2022」で発表を行います。


■背景
近年、企業と求職者を結ぶ求人情報サービスやオンラインデーティングサービスなど、ユーザーに対して他のユーザーを適切に推薦することが重要とされるプラットフォームサービスにおいて、相互推薦システム(Reciprocal Recommender System)の活用が注目されています。
これまでもAI Labでは、保育所と児童を結びつける保育所の利用調整アルゴリズムの開発などさまざまなマッチングの問題に取り組んでおり、多摩市との「保育所の利用調整」に関する実証実験のもと利用調整ルールを改善するなど、研究および社会実装に取り組んでまいりました。
保育所と児童のマッチング問題では双方に希望を表明させアルゴリズムによって最適な割り当てを決めることができる一方、ユーザー数が膨大で、非同期的に流出と流入が起きるウェブサービスではユーザーに希望の表明を求めることは難しく、最適なマッチングのためにはユーザーの選好を予測した上でマッチングのおきそうな相手を推薦する機能が不可欠です。

こうした推薦機能で重要となる相互推薦システム(Reciprocal Recommender System)では、一方の側のユーザー(求職者など)の行動履歴から、他方の側のユーザー(求人企業など)に対する興味スコアと、逆向きの興味スコアを協調フィルタリングベースあるいはコンテンツベースの手法により予測します。その後、予測結果を算術平均や調和平均をはじめとする集約関数によって相互興味スコアに変換し、その値によって推薦することが一般的に行われています。
 

●被推薦機会の集中・不平等の問題
相互推薦システムにおいて生じる問題の一つとして、被推薦機会の集中・不平等があります。多くのユーザーから興味を集める一部のユーザーは、興味スコアが高くなるため非常に頻繁に他ユーザーに推薦されます。しかし通常の商品の推薦とは異なり、求人情報サービスやオンラインデーティングといったプラットフォームでは、一部のユーザーが被推薦機会を集め多数のマッチを得ても、そのユーザーが実際に連絡を取ることのできる他ユーザーの数には限りがあるため、特定のユーザーに被推薦機会を集中させすぎることは好ましくありません。また一部のユーザーが被推薦機会を集める一方で、他のユーザーについては被推薦機会が少なくなる場合、ユーザー間の不平等も問題となります。


■プロポーザル概要

このような背景のもと、今回採択されたプロポーザルでは、協調フィルタリングによって予測された興味スコアから、マッチング理論
※3の分野で知られている移転効用付きマッチングモデルに基づいて相互推薦を行う「マッチング理論に基づく推薦システム(Matching Theory-based Recommender System; MTRS)」(※論文リンク arXiv )を提案しました。


▼従来の相互推薦システム(図1)と 論文で提案したMTRS(図2)のイメージ

マッチング理論に基づくアルゴリズムによって推薦を行うことにより、互いに興味の一致するユーザーを推薦するとともに、被推薦機会の一部のユーザーへの集中を緩和することが可能となります。また、数百万ユーザー規模のプラットフォームでの応用における計算量の課題を指摘するとともに、近似計算によって改善する手法の提案を行いました。


■今後
本研究によって提案された手法は行政、ビジネスのさまざまなマッチングプラットフォームに適用が可能であり、当社の連結子会社である株式会社タップルが運営するマッチングサービス「タップル」※4 等においても導入を検討しています。今後、サービスにおける被推薦機会の集中・不平等の緩和と推薦システムの性能向上が期待されます。「AI Lab」では今後もプラットフォームサービスにおけるユーザー体験を向上するAI技術を実現すべく、研究・開発に努めてまいります。


※1 「RecSys」The ACM Conference on Recommender Systems
※2 「KDD」ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
  「SIGIR」International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval
※3 マッチング理論:2グループの人々を、それぞれの興味とマッチ上限数を考慮した上で適切にマッチさせる方法を考える分野
※4 「タップル