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技術

AI Lab、情報検索・推薦システム分野の国際会議「SIGIR 2026」のShort Papers Trackにて論文採択

―画像検索における「文脈依存性」の検証:4段階の階層モデルによる意味理解の提案―

AI Tech Studio

人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」におけるリサーチインターンシップ参加者の堤歩斗氏※1および研究員の小比田涼介による論文が、情報検索・推薦システム分野の国際会議「The 49th International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval(SIGIR 2026)」※2のShort Papers Trackにて採択されたことをお知らせいたします。

「SIGIR」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、情報検索・推薦システムの分野でもっとも権威ある国際会議の一つです。
なかでも「Short Papers Track」は、次世代の技術革新につながる先進的なアイディアや、特定の課題に対する鋭い知見をいち早く共有し、議論を深めるための重要な場として位置づけられています。

この度採択された論文は、2026年7月にオーストラリアのメルボルン/ナームにて開催される「SIGIR 2026」で発表予定です。

■背景

近年、広告や映像クリエイティブの制作現場では、多数の画像・動画素材の中から企画意図に合った素材を迅速に見つけ出すことが重要になっています。一方で、素材選定は依然として人手に頼る部分も大きく、制作担当者が膨大な候補を一つひとつ確認する必要があるなど、時間と工数のかかる工程となっています。加えて、求められる検索は「学校」「人物」といった物体レベルにとどまらず、「振り返る」といった動作、「寂しい」「感動的」といった感情的効果、さらには広告としての引きの強さといった、より抽象的な観点にも及びます。

このような課題意識のもと、本研究ではその延長線上で同じ画像であっても置かれた文脈によって受け取られる意味が変化する点に着目し、従来の検索技術では捉えにくい「文脈に依存した意味」をどのように扱うべきかを検証しました。将来的には、企画やプロットから素材候補を推薦したり、選択された素材から企画を補完したりするような、より創造的な制作支援への発展も見据えています。

■採択された論文について

Same Image, Different Meanings: Toward Retrieval of Context-Dependent Meanings
著者:堤歩斗(東京都立大学)・小比田涼介(サイバーエージェント AI Lab)


本研究は、同一の画像であっても、周囲の物語や状況といった文脈によって、その画像が持つ意味が変化するという性質に着目したものです。論文では、たとえば「雨の中にいる二人」の画像が、再会の物語では希望やぬくもりを、別れの物語では悲しみや終わりを想起させるように、画像の意味は文脈によって大きく変わり得ることを示しています。
そのうえで本研究では、画像の意味を、物体や行動といった具体的な要素から、物語上の状況・意図、さらには雰囲気や感情的効果まで、4段階の抽象度(L1–L4)で整理する階層的フレームワークを提案しました。そして、ストーリー文脈を付与した検索実験を通じて、具体的な要素は文脈がなくても比較的検索可能である一方、抽象度の高い意味になるほど文脈情報が重要になることを明らかにしました。特に、文脈情報を画像側の表現に取り込む方法が有効であることを示し、文脈を考慮した次世代の画像検索システムに向けた重要な知見を得ています。

■今後

本研究で得られた知見は、広告制作や映像制作における素材検索の高度化に加え、企画意図や物語展開、感情的ニュアンスまで踏まえたクリエイティブ理解・推薦技術の発展につながることが期待されます。特に、従来の物体・動作中心の検索では見つけにくかった、雰囲気や文脈に即した素材の探索支援において、有用な基盤になると考えています。



※1 東京都立大学所属 2024/11/14よりリサーチインターンシップに参加
※2 The 49th International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval(SIGIR 2026)