プレスリリース
ドコモと共同設立した「株式会社Prism Partner」への技術提供に関する論文が、Web分野のトップカンファレンス「WSDM 2025」に採択
ーTop-Two Thompson Samplingを応用したオンライン広告の効率的なクリエイティブ選択を実現する機能を提案ー

株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、AI事業本部に所属する桂川大輝、金子雄祐および人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員である蟻生開人、阿部拳之による論文「Efficient Creative Selection in Online Advertising using Top-Two Thompson Sampling」が、Web分野の国際会議「WSDM 2025」※1の「Industry Day」にて採択されたことをお知らせいたします。
このたび採択された論文で紹介されている研究は、当社が株式会社NTTドコモと共に設立した「株式会社Prism Partner」が展開する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」の機能として完全適用されています。
こうした協業事業における企業への技術提供の成果が、国際学会で採択されたのは当社において今回が初となります。
「WSDM」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「The Web Conference」「KDD」※2などと並び、Web・データマイニングの分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。今回採択された「Industry Day」では、産業環境における研究技術の新たな応用や課題が紹介されており、世界を代表するテクノロジー企業が参加する重要な技術交流の場として、産業界から高い注目を集めています。
採択された論文は、2025年3月にドイツのハノーファーで開催される「WSDM 2025」での発表を予定しています。
このたび採択された論文で紹介されている研究は、当社が株式会社NTTドコモと共に設立した「株式会社Prism Partner」が展開する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」の機能として完全適用されています。
こうした協業事業における企業への技術提供の成果が、国際学会で採択されたのは当社において今回が初となります。
「WSDM」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「The Web Conference」「KDD」※2などと並び、Web・データマイニングの分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。今回採択された「Industry Day」では、産業環境における研究技術の新たな応用や課題が紹介されており、世界を代表するテクノロジー企業が参加する重要な技術交流の場として、産業界から高い注目を集めています。
採択された論文は、2025年3月にドイツのハノーファーで開催される「WSDM 2025」での発表を予定しています。
■背景
オンライン広告において、複数の広告クリエイティブ(広告素材)の中から最も効果の高いものを選び出すことは、広告効果を最大化する上で重要な課題です。近年、この課題に対して、データを活用しながら最適な選択を行う「バンディットアルゴリズム」と呼ばれる手法の研究が盛んに行われています。当社のAI LabのReinforcement Learningチームでは、当社が提供するスマートフォン向けパフォーマンス型広告プラットフォーム「Dynalyst」をはじめとする広告配信プロダクトチームとともにバンディットアルゴリズムに関する研究開発を続けております。
2022年に設立されたPrism Partnerの提供する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」では、複数の広告クリエイティブの配信実績に基づいて、広告効果の高いクリエイティブを特定し、その特定されたクリエイティブのみをユーザーに配信していました。一方で課題として、最適なクリエイティブを特定するために一般的なA/Bテストを行う場合、各クリエイティブに対して表示回数を均等に割り当てたコスト投下となっていました。そのため、最小限のコストでより正確かつ迅速に最適なクリエイティブを特定する手法とその実装が求められていました。
2022年に設立されたPrism Partnerの提供する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」では、複数の広告クリエイティブの配信実績に基づいて、広告効果の高いクリエイティブを特定し、その特定されたクリエイティブのみをユーザーに配信していました。一方で課題として、最適なクリエイティブを特定するために一般的なA/Bテストを行う場合、各クリエイティブに対して表示回数を均等に割り当てたコスト投下となっていました。そのため、最小限のコストでより正確かつ迅速に最適なクリエイティブを特定する手法とその実装が求められていました。
■論文の概要
本研究では、Top-Two Thompson Sampling(TTTS)と呼ばれる手法※3を応用してオンライン広告において効率的なクリエイティブ選択を実現しています。
TTTSは、広告配信の文脈において、最小限の表示回数で最も効果の高いクリエイティブを高精度で特定できる手法であることが示唆されています。さらに、実装や応用上の制約に対応しやすいという利点も持っています。しかし、比較的新しい手法であるため、これまで実システムにおけるTTTSの産業応用例は限られていました。
そこで、広告配信という実践的な領域でTTTSを用いた効率的な探索を実現し、特定された最適なクリエイティブを活用する機能を開発しました。その結果、従来のA/Bテストと比較した検証において、最適なクリエイティブを特定する精度が13%向上し、そのクリエイティブを活用することでクリック率(CTR)の最大化の可能性が高まりました。さらに、最適なクリエイティブを探索する期間中のCTRが9%向上し、実験コストの大幅な削減にも成功しました。
TTTSは、広告配信の文脈において、最小限の表示回数で最も効果の高いクリエイティブを高精度で特定できる手法であることが示唆されています。さらに、実装や応用上の制約に対応しやすいという利点も持っています。しかし、比較的新しい手法であるため、これまで実システムにおけるTTTSの産業応用例は限られていました。
そこで、広告配信という実践的な領域でTTTSを用いた効率的な探索を実現し、特定された最適なクリエイティブを活用する機能を開発しました。その結果、従来のA/Bテストと比較した検証において、最適なクリエイティブを特定する精度が13%向上し、そのクリエイティブを活用することでクリック率(CTR)の最大化の可能性が高まりました。さらに、最適なクリエイティブを探索する期間中のCTRが9%向上し、実験コストの大幅な削減にも成功しました。
■今後
本手法は既にPrism Partner DSPに完全適用されており、その実用性が示されています。また、実装や応用上の制約に対する対応が容易であることから、当社および協業パートナー企業の広告配信プロダクトや、新しい未来のテレビ「ABEMA」における視聴者へのコンテンツ推薦など、他の様々なプロダクトへの展開も期待できます。
当社は今後も、当社および協業パートナー企業で応用可能な、競争力のあるプロダクトの核となる技術を実現すべく、研究開発に努めてまいります。
※1:「WSDM」ACM International Conference on Web Search and Data Mining
※2:「The Web Conference」ACM International World Wide Web Conference
「KDD」ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※3:Daniel Russo. 2020. Simple Bayesian Algorithms for Best-Arm Identification.
Operations Research 68, 6 (2020), 1625–1647
当社は今後も、当社および協業パートナー企業で応用可能な、競争力のあるプロダクトの核となる技術を実現すべく、研究開発に努めてまいります。
※1:「WSDM」ACM International Conference on Web Search and Data Mining
※2:「The Web Conference」ACM International World Wide Web Conference
「KDD」ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※3:Daniel Russo. 2020. Simple Bayesian Algorithms for Best-Arm Identification.
Operations Research 68, 6 (2020), 1625–1647