株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の濱野椋希、野村将寛および横浜国立大学 教育推進機構 内田絢斗氏、横浜国立大学 総合学術高等研究院 白川真一氏ならびに横浜国立大学/株式会社スキルアップNeXtの斉藤翔汰氏による論文2本が、進化計算分野の国際会議「PPSN 2024」※1に採択されたことをお知らせいたします。
「PPSN」は世界中の研究者によって2年ごとに開催される国際会議で、最適化における重要領域である進化計算分野において権威ある国際会議の一つです。この度採択された論文は、2024年9月にオーストリア・ハーゲンベルクにて開催される「PPSN 2024」にて発表を行います。
「PPSN」は世界中の研究者によって2年ごとに開催される国際会議で、最適化における重要領域である進化計算分野において権威ある国際会議の一つです。この度採択された論文は、2024年9月にオーストリア・ハーゲンベルクにて開催される「PPSN 2024」にて発表を行います。
■研究背景:高品質なクリエイティブ制作のための最適化
「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究・開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。
クリエイティブ制作においては、より魅力的なデザインを学習するために、デザインに影響を与える変数の最適化が重要となります。例えば、グラフィックデザインを支援するためのレイアウト自動生成※2においては、最初に自動生成したレイアウトに対して最適化を行うことで、望ましいレイアウトの生成を実現しています。最終的な成果物の品質を高めるためには、最適化の精度を向上させることが重要となります。
レイアウト自動生成における最適化アプローチとして、有望な進化計算法の1つであるCMA-ES (Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy) が注目されてきました。しかし、CMA-ESは連続的な変数のみを最適化対象としているため、レイアウト構造の最適化に現れる離散的な変数を効率的に扱うことができないという課題がありました。このような背景のもと、これまでAI Labでは連続的な変数と離散的な変数を同時にかつ効率的に最適化するCMA-ESの開発に取り組んでまいりました※3。
そしてこのたび採択された論文では、新たなタイプの離散変数に対応可能なCMA-ESとCMA-ESに関する理論的な知見について提案しています。
クリエイティブ制作においては、より魅力的なデザインを学習するために、デザインに影響を与える変数の最適化が重要となります。例えば、グラフィックデザインを支援するためのレイアウト自動生成※2においては、最初に自動生成したレイアウトに対して最適化を行うことで、望ましいレイアウトの生成を実現しています。最終的な成果物の品質を高めるためには、最適化の精度を向上させることが重要となります。
レイアウト自動生成における最適化アプローチとして、有望な進化計算法の1つであるCMA-ES (Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy) が注目されてきました。しかし、CMA-ESは連続的な変数のみを最適化対象としているため、レイアウト構造の最適化に現れる離散的な変数を効率的に扱うことができないという課題がありました。このような背景のもと、これまでAI Labでは連続的な変数と離散的な変数を同時にかつ効率的に最適化するCMA-ESの開発に取り組んでまいりました※3。
そしてこのたび採択された論文では、新たなタイプの離散変数に対応可能なCMA-ESとCMA-ESに関する理論的な知見について提案しています。
■採択された2本の共著論文について
「CMA-ES for Discrete and Mixed-Variable Optimization on Sets of Points」
著者:内田絢斗(横浜国立大学)、濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)、斉藤翔汰(横浜国立大学・株式会社スキルアップNeXt)、 白川真一(横浜国立大学)
「Natural Gradient Interpretation of Rank-One Update in CMA-ES」
著者:濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、 白川真一(横浜国立大学)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)
著者:内田絢斗(横浜国立大学)、濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)、斉藤翔汰(横浜国立大学・株式会社スキルアップNeXt)、 白川真一(横浜国立大学)
レイアウトの最適化問題では、オブジェクトの配置位置を複数の候補から選択することが求められます。本研究では、連続的な変数に加え、そのような配置位置の集合を変数に含む場合でも効率的に最適化が可能なCMA-ESを提案しました。 <論文リンク> https://arxiv.org/abs/2408.13046 <解説ブログ> https://cyberagent.ai/blog/research/19974/ |
「Natural Gradient Interpretation of Rank-One Update in CMA-ES」
著者:濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、 白川真一(横浜国立大学)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)
近年、進化計算法を理論的な観点から再解釈するための研究が行われており、手法の信頼性や拡張性を保証することが可能になっています。本研究では、CMA-ESの一部の更新方法に対して、自然勾配の枠組みから新たな解釈を与えました。 <論文リンク> https://arxiv.org/abs/2406.16506 <解説ブログ> https://cyberagent.ai/blog/research/19972/ |
■今後
CMA-ESはクリエイティブ領域以外にも応用が可能であり、本研究において提案された方法も機械学習モデルの自動チューニング※4などの様々な問題に対して応用が期待されます。「AI Lab」は今後もAI技術を取り入れたより品質の高い広告配信技術の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 「PPSN」Parallel Problem Solving From Nature
※2 AI Lab、マルチメディア分野のトップカンファレンス「ACM Multimedia」にて共著論文採択 ー最適化による制約を満たしたレイアウトの生成手法を提案ー
※3 AI Lab、進化計算分野のトップカンファレンス「GECCO2022」にて共著論文採択 ー離散的な変数と連続的な変数を同時最適化する手法を提案ー
AI Lab、進化計算分野のトップカンファレンス「GECCO2023」にて共著論文採択
ー 効率的に離散的および連続的な変数を同時最適化する手法を提案 ー
※4 AI Lab、人工知能分野のトップカンファレンス「AAAI 2021」にて共著論文採択 ー 事前情報を活用した効率的なハイパーパラメーター最適化手法を提案 ー
AI Lab、データマイニング分野の主要国際会議「CIKM」にて共著論文採択ー 正解情報のないデータに対するハイパーパラメーター最適化手法を提案 ー
※1 「PPSN」Parallel Problem Solving From Nature
※2 AI Lab、マルチメディア分野のトップカンファレンス「ACM Multimedia」にて共著論文採択 ー最適化による制約を満たしたレイアウトの生成手法を提案ー
※3 AI Lab、進化計算分野のトップカンファレンス「GECCO2022」にて共著論文採択 ー離散的な変数と連続的な変数を同時最適化する手法を提案ー
AI Lab、進化計算分野のトップカンファレンス「GECCO2023」にて共著論文採択
ー 効率的に離散的および連続的な変数を同時最適化する手法を提案 ー
※4 AI Lab、人工知能分野のトップカンファレンス「AAAI 2021」にて共著論文採択 ー 事前情報を活用した効率的なハイパーパラメーター最適化手法を提案 ー
AI Lab、データマイニング分野の主要国際会議「CIKM」にて共著論文採択ー 正解情報のないデータに対するハイパーパラメーター最適化手法を提案 ー