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プレスリリース

AI Lab、ロボティクス分野のトップカンファレンス「IROS 2024」にて3本の論文採択

ーロボットの振る舞いやインタラクションデザインを探求ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の星牟禮健也・宋思超および大阪大学大学院基礎工学研究科の波多野遥太氏・中西惇也特任講師(常勤)・吉川雄一郎准教授・石黒浩教授らによる主著論文がロボティクス分野の国際会議「IROS 2024」(IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems)」※1に採択されたことをお知らせいたします。

「IROS」は世界中の研究者や専門家が集まる国際会議で、「ICRA」「RSS」「HRI」※2などと並び、ロボティクス分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。この度採択された論文は、2024年10月にアラブ首長国連邦のアブダビで開催される「IROS 2024」での発表を予定しています。
今回採択された論文のうち2本は、ロボティクス分野のレター論文誌「IEEE Robotics and Automation Letters(RA-L)※3に採択され、同時投稿制度によって「IROS 2024」にも採択されています。


なお、本研究はムーンショット型研究開発事業※4の研究プロジェクトの一環として、大阪大学大学院基礎工学研究科の先端知能システム共同研究講座※5との共同研究において実施されました。
 

■背景

「AI Lab」では、2017年から大阪大学大学院基礎工学研究科と共に、ロボットなどの対話エージェントによる接客・広告技術の確立や科学的知見の獲得を目的とした共同研究に取り組んでおり、2020年からは「遠隔対話ロボットで働く」をテーマにした実証プロジェクトを行っています。

店舗にて商品やサービスの販売・利用促進を行うロボットのインタラクション技術は、小売における業務効率化や生産性向上に貢献することが期待されています。対話エージェント分野の研究チームでは、これまでに実際の店舗など30以上の実環境において実証実験を実施してきました。

今回の論文では、実際のフィールドでの検証や、過去の実証実験で蓄積されたインタラクションデータの分析を通して、ロボットの振る舞いや接客インタラクションに関する新たな示唆を発見しました。
 

■論文の概要

「Where and when should the teleoperated avatar look: Gaze Instruction Dataset for Enhanced Teleoperated Avatar Communication」
著者:星牟禮健也 (サイバーエージェント AI Lab)・馬場惇(サイバーエージェント AI Lab)・中西惇也(大阪大学)・吉川雄一郎(大阪大学)・石黒浩(大阪大学)
アバターの視線はコミュニケーションにおいて重要な要素の一つで、対話の文脈や現場の状況を踏まえて操作する必要があります。しかし、どの状況でどこに視線を向けるべきかは明らかになっておらず、適切な視線の動きの指示が難しいという課題を抱えています。

本研究では、操作者が対話中にアバターに注視してほしい位置を指示した視線の動きに関するデータセットを作成し分析を行い、以下のようなアバターの視線の制御に関する示唆を発見しました。


示唆➀顧客が商品に興味を示している場合でも対象商品へ視線を向ける指示が少ないことから、アバターの視線を効果的に切り替えるための操作支援が必要と考えられる


示唆②アバターへの視線の指示の割合は、操作者が画面を見ているかどうかに関わらず変化しないため、操作者の視線の動きをそのままアバターに反映させるのは適切ではない

示唆③推薦のようにアバター主導で対話をする場面では主な対話相手への割合が減少し、その他の対象の割合が増加したことから、複数の相手に視線を分散させることでより自然な印象になる可能性がある

本研究はロボットに限らず、実際の店舗などで働くあらゆる対話エージェントの視線の動きを改善し、対話エージェントがより社会に受け入れられるための足がかりとなることが期待されます。

<論文URL>
TBA



「Wingman-Leader Recommendation: An Empirical Study on Product Recommendation Strategy Using Two Robots」
著者:宋思超(サイバーエージェント AI Lab)・馬場惇(サイバーエージェント AI Lab)・岡藤勇希 (サイバーエージェント AI Lab)・中西惇也(大阪大学)吉川雄一郎(大阪大学)石黒浩(大阪大学)
本論文では、2体のロボットを店頭と店内にそれぞれ離して設置した上で2体の連携の効果を調査しました。

調査の結果、「店頭ロボットが店内ロボットを紹介し、店内ロボットが商品を推薦する」複数ロボットの連携方法が、実店舗における推薦効果に最も寄与することが明らかになりました。顧客からロボットに話しかける行動は信念と行動の一貫性を保つ心理から、推薦を受け入れる行動(つまり購買行動)を促進し、その結果として推薦商品、ひいては店舗全体の売上向上を実現できる可能性を示しています。

<詳細のプレスリリースはこちら>
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=30033



「Field Experiments on the Effects of Multiple-Robot Expressions for Robot Influence in Recommendation Situations」
著者:波多野遥太(大阪大学)・馬場惇(サイバーエージェント AI Lab)・中西惇也(大阪大学)吉川雄一郎(大阪大学)石黒浩(大阪大学)
本論文では、1箇所に設置した3体のロボットが連携して1組の顧客と対話をすることでロボットの影響力を高めることができるかを調査しました。

調査の結果、先行研究※6におけるオンライン調査で影響力を高める演出とされた「3体全員で一つの役割を同調して演じる」演出は、実際の販売促進においても1体のロボットに比べて有意に高い購入率を示すことが分かり、先行研究の結果が支持されました。その一方で支持されない結果もあり、実際のフィールドでは顧客が演出に会話で関与できる状態であることがオンライン調査とフィールド実験の結果の違いに現れている可能性を示しています。

<詳細のプレスリリースはこちら>
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=30033

 

■今後

今回採択された3つの論文では、ロボットが店舗業務の一部を担うために、ロボットの振る舞いやインタラクションを設計する上で重要な知見を発見できました。これをもとにさらなる実験を行い、店舗で接客に従事するロボットの可能性を探索してまいります。
「AI Lab」は今後も、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組むとともに、「人とロボットが共生できる世界」を目指し、より一層ロボットを含めた対話エージェントによる接客対話技術の研究開発に努めてまいります。




※1:IROS(IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems)

※2:「ICRA」 IEEE International Conference on Robotics and Automation
「RSS」Robotics: Science and Systems
「HRI」ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction

※3:IEEE Robotics and Automation Letters(RA-L)での論文採択について

※4:ムーンショット型研究開発事業

※5:先端知能システム(サイバーエージェント)共同研究講座                                         
2017年4月1日より発足した、サイバーエージェントAI Labと大阪大学大学院基礎工学研究科石黒浩教授との共同研究講座。人と社会において調和的に関わることができる、ロボットを含めた対話エージェントの実現に向けた基礎技術の確立及び、人の持つ対話能力に関する科学的な知見の獲得を目指しています。

※6: Yota Hatano, Jun Baba, Junya Nakanishi, Yuichiro Yoshikawa, and Hiroshi Ishiguro. 2023. Exploring the Recommendation Expressions of Multiple Robots Towards Single-Operator-Multiple-Robots Teleoperation. In Human-Computer Interaction: Thematic Area, HCI 2023, Held as Part of the 25th HCI International Conference, HCII 2023, Copenhagen, Denmark, July 23–28, 2023, Proceedings, Part III. Springer-Verlag, Berlin, Heidelberg, 46–60. https://doi.org/10.1007/978-3-031-35602-5_4




【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 広報
E-mail:cyberagent.ai_pub@cyberagent.co.jp