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プレスリリース

AI Lab、コンピュータ・グラフィックス分野における主要な学術雑誌「Computer Graphics Forum」にて主著論文採択

ー3Dスキャンデータからの衣服の自動抽出手法を提案ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」研究員の高琪琪・武富貴史らによる論文が「Computer Graphics Forum」※1に採択されたことをお知らせいたします。
「Computer Graphics Forum」は、コンピュータ・グラフィックス分野における主要な学術雑誌です。Computer Graphiccs Forumに採択された論文は、「Eurographics」や「Pacific Graphics」などのコンピュータ・グラフィックス関連の主要な学会での発表機会が得られます。



■研究背景
近年インターネット広告市場の急速な成長に伴い、広告効果の最大化を目的に、AI技術を活用したクリエイティブ制作や運用の効率化が注目されています。
なかでもコンピュータ・グラフィックス(CG)技術は様々なクリエイティブ表現が可能であることから、「AI Lab」におけるCG分野の研究チームでは、CG技術を活用したクリエイティブ制作支援技術の研究開発に注力しています。
これまで、「SCA 2022」や「Eurographics 2023」での論文採択など学術貢献を行うとともに、著名人の公式デジタルツインを制作しキャスティングするサービス「デジタルツインレーベル」など実サービスでの技術応用を推進するなど、社会実装にも積極的に取り組んでいます。



■採択論文の概要
CG技術において、衣服はコンテンツの写実性を向上させる重要な要素の1つです。一方、高精細な衣服のモデリングにはCGアーティストの大量の労力や経験が必要とされるため、衣服のモデリングの自動化が重要な課題となっています。

このたび採択された論文「Garment Model Extraction from Clothed Mannequin Scan」では、マネキンにモデリング対象の衣服を着衣させた状態で、フォトグラメトリー技術を用いて3D復元したデータから衣服の領域のみを自動抽出し実世界の衣服の高精細なテクスチャ(模様)付き3Dモデルを生成できる方法を提案しました。これまでも、着衣した人間のスキャンデータから衣服を抽出する研究は存在していますが、それらのほとんどが着衣していない状態の人体の3Dモデルを基準としているため、スカートやワンピースなどの人体の3Dモデルから大きく離れるような構造を有する衣服への対応が難しいという問題点があります。


そこで本研究では、マネキンに着衣させた状態でフォトグラメトリーなどの方法で形状情報を取得することを前提としたうえで、衣服領域とマネキン領域を高精度に分離できる方法を考案しました。
本手法はマネキンの姿勢から定義される四肢の方向やマネキンの色情報等の事前情報を用いることによって実現しています。
図1 提案手法による衣服の抽出結果例
図1 提案手法による衣服の抽出結果例
図1に示すように、提案手法は体にぴったりとフィットするような衣服と、体から大きく離れた部分が存在する衣服の2種類を1つのパイプライン※2で抽出することを可能にしました。
※2 スキャンデータから衣服を抽出するための一連の処理のこと

従来の手法では体から大きく離れた部分が存在する衣服の抽出が困難であり、別途処理が必要であったり、精度が落ちる場合がありました。今回1つのパイプラインかつ高精度で異なるフォルムの衣服を抽出できるようになった点が本研究のポイントとなっています。また、抽出した衣服は図2に示すように、既存のシミュレーションソフトウェアで利用可能です。
図2 提案手法で抽出した衣服を利用したシミュレーションの結果例
図2 提案手法で抽出した衣服を利用したシミュレーションの結果例

■今後
本研究の成果は、当社で取り組む「広告に用いるデジタルヒューマン」の演出技術として、関連するコンテンツの制作環境の効率化等に繋がることが期待できます。
「AI Lab」は今後もAI・CG技術を用いたクリエイティブ制作や研究開発を推進するとともに、フォトグラメトリー技術やデジタルヒューマン等CG制作を強みとする株式会社CyberHuman Productions等と共同開発を行い、デジタル空間だからこそ作ることができる表現・価値創造に挑戦してまいります。



※1 Computer Graphics Forum