プレスリリース
AI Lab、機械学習分野のトップカンファレンス「ICML2023」にて共著論文採択
ー 評価が数値ではなく選好情報によって与えられる問題に対する効率的な最適化手法を提案 ー

「ICML」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「NeurIPS」※3 と並び、機械学習・深層学習・最適化等の分野において権威のある会議の1つです。このたび「AI Lab」から採択された論文は、2023年7月にハワイにて開催される「ICML2023」にて発表を行います。
■研究背景:高品質なクリエイティブ制作のための最適化
「AI Lab」は、幅広いAI技術を研究・開発し、マーケティング全般に関わる様々な技術課題に取り組んでいます。大学・学術機関との産学連携を強化しながら、クリエイティブ領域における活動も行っています。その一環として、クリエイティブ表現全般に関わるAI技術を研究し、さらにメディア理解の基盤となる画像生成AIの評価指標の分析も行っています。応用研究に加えて基礎研究にも注力しています※4。
クリエイティブ制作においては、魅力的なデザインを学習するために、デザインに影響を与える変数の最適化が重要です。例えば、グラフィックデザインの支援においては、最初に生成されたレイアウトを最適化することで、望ましいレイアウトを実現しています※5。最終的な成果物の品質向上には、最適化の精度を向上させることが不可欠です。
このような最適化は事前に設定された評価指標に対して実行されますが、評価を数値として計算するよりも、数値の代わりに選好(比較)によって評価を与える方が適切な場合が存在します。例えば、広告クリエイティブの良し悪しを視覚的に人間が評価する場合、具体的な数値として評価を与えることは困難な場合がある一方で、2つの広告クリエイティブのどちらが良いかという判断は比較的容易と考えられます。
今回採択された共著論文「Towards Practical Preferential Bayesian Optimization with Skew Gaussian Processes」 ※6 では、評価が数値ではなく選好情報(比較情報)によって与えられる最適化問題に対する効率的な最適化手法を提案しています。提案法を用いることで、このような人間が評価に関わるような最適化問題をより効率的に少ない計算時間で解くことが可能になります。本手法はクリエイティブ領域にも応用可能であり、より高品質なクリエイティブの制作を可能にすることが期待されます。
■今後
本研究において提案された方法は、クリエイティブ領域以外にも、人間の評価を用いた様々な最適化問題に対して応用が可能です。「AI Lab」は今後もAI技術を取り入れたより品質の高い広告配信技術の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 2023年3月まで「AI Lab」にて協働研究員として就業
※2 「ICML」International Conference on Machine Learning
※3 「NeurIPS」Neural Information Processing Systems
※4 AI Lab、コンピュータビジョン分野のトップカンファレンス「CVPR2023」にて3本の主著論文採択
※5 AI Lab、マルチメディア分野のトップカンファレンス「ACM Multimedia」にて共著論文採択 ー最適化による制約を満たしたレイアウトの生成手法を提案ー
※6 Shion Takeno, Masahiro Nomura, Masayuki Karasuyama, Towards Practical Preferential Bayesian Optimization with Skew Gaussian Processes