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プレスリリース

AI Lab、ロボティクス分野の主要ジャーナル「International Journal of Social Robotics」にて論文採択 ー 自律声掛けロボットにおける対話開始手法を検討 ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、 人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」研究員の岡藤勇希、尾崎安範、馬場惇および、大阪大学の中西惇也特任助教(常勤)、吉川雄一郎准教授、石黒浩教授らによる共著論文が、ロボティクス分野の主要論文誌「International Journal of Social Robotics」※1に採択されたことをお知らせいたします。
「International Journal of Social Robotics」はロボティクス分野における主要論文誌の1つであり、Human-Robot Interactionの分野においては権威ある論文誌として知られています。


■研究背景
「AI Lab」では、2017年から大阪大学とともに、ロボットなどの対話エージェントによる接客・広告技術の確立や科学的知見の獲得を目的とした共同研究に取り組んでおり、これまでトップカンファレンス「HRI2022」、「IROS2021」における論文採択や発表実施など、積極的な活動を行ってまいりました。
近年、対話ロボットによる推薦技術は、利用者の行動変容を促す手段として注目されており、店舗や施設、自宅など多くの場所で日常的な利用が進むとともに、高い効果があることが報告されています。その一方、ショッピングモール等の街中に設置されたロボットは、通行人から無視されることが多いことが課題としてあげられています。このことから、多くの通行人と交流を持つことができる、自律ロボットの行動の調査が必要となります。



■研究背景
このような背景のもと、今回採択された論文「Behavioral assessment of a humanoid robot when attracting pedestrians in a mall (arXiv※2では、3種類の声掛け手法を自律ロボットに実装し、ショッピングモール内の通行人への影響力を調査いたしました。

具体的には、クーポン券を配布するというタスクにおいて、「挨拶行動(greeting behavior)」、「困った行動(in-trouble behavior)」「ダンス行動(dancing behavior)」の3つの自律ロボットの行動を比較し、通行人の「立ち止まり率」・「クーポン券の配布成功率」の2つの観点でロボットの行動を評価しました。


・挨拶行動の例:「こんにちは、僕とお話ししようよ!」
・困った行動の例:「困ったな~誰か僕のお話聞いてくれないかな~?」
・ダンス行動の例:「ロボットダンス楽しいな!みんなも僕と一緒に踊ろうよ!」


▼実験の様子
動画はこちら https://youtu.be/k7OQa5ux8e4
また、同じ環境で人間が同じクーポン券を配布した時のパフォーマンスを計測し、ロボットのパフォーマンスと比較しました。人間とロボットのパフォーマンスを比較することによって、対話ロボットが実社会でどの程度活躍できるかを検討することが可能となります。
検証にあたり、2019年7-8月と2019年11月に大阪南港ATCホール内の通路上にて、ロボットと人間によるクーポン券の配布を行いました。
主な実験結果として、下記の項目が確認できました。
 
<3種類の声かけ手法について

ロボットの3種類の声掛け手法では、「困った行動」が「立ち止まり率」・「クーポン券の配布成功率」において高いパフォーマンスを示した。約12%の通行人を立ち止め、立ち止まった通行人のうち約42%にクーポン券の配布ができた(全通行人のうち約5%にクーポン券の配布ができた)。

<人間とロボットのパフォーマンス比較について>

・クーポン配布タスクにおいて、複数人の実験参加者のうち、一番高いパフォーマンスを示した参加者は、約4%の通行人を立ち止め、立ち止まった通行人のうち約71%にクーポン券の配布することができた(全通行人のうち約3%にクーポン券の配布ができた)。

・ クーポン配布タスクにおいて、「通行人の立ち止め」はロボットの方がパフォーマンスが高く、「立ち止まった通行人に対するクーポン配布」においては人間の方がパフォーマンスが高い。全通行人に対するクーポンの配布率では、ロボットの方が高い。

これらの結果から、ロボットは困った動作をすることによって通行人への影響力が高くなり、クーポンの配布タスクにおいては人間よりも高いパフォーマンスを示すことが確認できました。


■今後
本研究では、自律ロボットの声掛け方法を工夫することによって、商業施設における通行人への影響力を高めることが可能なことが確認できました。またクーポン配布タスクにおいては、人間を超えるパフォーマンスを出せることが確認できました。これらの成果は、対話ロボットの普及には非常に重要な指標となると考えています。今回発見した知見をもとに、さらなる実験を行い、遠隔操作ロボットが十分な接客サービスを提供できるために探索してまいります。「AI Lab」は今後も、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取組むとともに、「人とロボットが共生できる世界」を目指し、より一層ロボットを含めた対話エージェントによる接客対話技術の研究開発に努めてまいります。


※1 International Journal of Social Robotics
※2 Yuki Okafuji1, Yasunori Ozaki, Jun Baba, Junya Nakanishi, Kohei Ogawa, Yuichiro Yoshikawa and Hiroshi Ishiguro, Behavioral assessment of a humanoid robot when attracting pedestrians in a mall, International Journal of Social Robotics, (to appear)
     https://arxiv.org/abs/2109.02771