プレスリリース
AI Lab、インタラクション分野のトップカンファレンス「HRI 2025」にて論文採択
―ユーザーの「モチベーション」がロボットとのインタラクションにもたらす影響を調査―

株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」におけるリサーチインターンシップ参加者の小池栄美氏※1および研究員の岡藤勇希・星牟禮健也・馬場惇による論文が、インタラクション分野の国際会議「HRI 2025」※2に採択されたことをお知らせいたします。
「HRI」は世界中の様々な研究者が一堂に集い毎年開催される国際会議で、「CHI」※3「IROS」※4 などと並び、インタラクション分野で権威あるトップカンファレンスの1つです。
このたび「AI Lab」から採択された論文は、2025年3月4日から6日にかけてオーストラリアのメルボルンで開催される「HRI 2025」にて発表を行います。
※1 ウィスコンシン大学マディソン校所属・2024/07/01よりリサーチインターンシップに参加
「HRI」は世界中の様々な研究者が一堂に集い毎年開催される国際会議で、「CHI」※3「IROS」※4 などと並び、インタラクション分野で権威あるトップカンファレンスの1つです。
このたび「AI Lab」から採択された論文は、2025年3月4日から6日にかけてオーストラリアのメルボルンで開催される「HRI 2025」にて発表を行います。
※1 ウィスコンシン大学マディソン校所属・2024/07/01よりリサーチインターンシップに参加
■論文の概要
「AI Lab」では、2017年から大阪大学大学院基礎工学研究科システム科学知能システム構成論知能ロボット学(石黒研究室)と共に、ロボットなどの対話エージェントによる接客・広告技術の確立や科学的知見の獲得を目的とした共同研究に取り組んでおり、2020年からはムーンショット研究開発事業※5の一環として「遠隔対話ロボットで働く」をテーマにした実証プロジェクトを行うほか、トップカンファレンス「IROS 2024」での論文採択・発表を行うなど積極的な活動を行っております。
本研究はユーザーがロボットに近づくモチベーションを理解することによって、接客インタラクションにおけるロボットの振る舞いのより効果的なデザインを可能にすることを目的としています。
今回採択された論文「What Drives You to Interact?: The Role of User Motivation for a Robot in the Wild」では、ショッピングモールに設置された自律対話型ロボットとユーザーのインタラクションを下記条件のもと分析しました。
本研究はユーザーがロボットに近づくモチベーションを理解することによって、接客インタラクションにおけるロボットの振る舞いのより効果的なデザインを可能にすることを目的としています。
今回採択された論文「What Drives You to Interact?: The Role of User Motivation for a Robot in the Wild」では、ショッピングモールに設置された自律対話型ロボットとユーザーのインタラクションを下記条件のもと分析しました。
ロボットのタスク | 自律対話でショッピングモール内の経路案内を行う |
設置場所 | 大阪府内のショッピングモール内・案内板の横に設置 |
設置時期 | 2024年6月18日・19日(計2日間) |
具体的な分析手法 | ロボットに近づくユーザーの行動や言動を、質的分析法を 用いて時系列に分析 |

上記の実証実験から得られた、合計232組のユーザーとロボットのインタラクション※6を分析した結果、ユーザーのロボットに対するモチベーションや、インタラクションの流暢性について、下記のような特徴が確認できました。
※6 本研究では、ユーザーとロボット間の対話の有無に関わらず、ユーザーがロボットの前で一定時間立ち止まった場合をインタラクションと定義
まず、ロボットとインタラクションを行うユーザーのモチベーションは、下記の4つのタイプに分類できることが分かりました。
※6 本研究では、ユーザーとロボット間の対話の有無に関わらず、ユーザーがロボットの前で一定時間立ち止まった場合をインタラクションと定義
まず、ロボットとインタラクションを行うユーザーのモチベーションは、下記の4つのタイプに分類できることが分かりました。

ロボットの経路案内というタスクに自覚的な機能・実験目的のユーザーに対して、好奇心・教育目的のユーザーは、ロボットの機能ではなく、ロボットそのものに興味を持っているという特徴がありました。
さらに、観測されたインタラクションの流暢性を以下の5つのパターンに分類し、先述の4つのモチベーションとの関係を分析しました。
さらに、観測されたインタラクションの流暢性を以下の5つのパターンに分類し、先述の4つのモチベーションとの関係を分析しました。

これらの分析結果をまとめた図を下記に示します。

これらの分析結果から、ロボットの振る舞いをデザインする際にユーザーのモチベーションタイプを考慮することで、インタラクションの流暢性、エンゲージメント、そしてユーザー満足度の向上が期待できることが示唆されました。
またロボットの振る舞いのデザイン例として、機能目的のユーザーに対しては最小限の対話での正確なタスクの遂行を優先させたり、実験目的のユーザーに対しては最小限の対話のみに限らず、ユーザーが手を振るなどといった非言語の様々な振る舞いに対しても反応することで、ユーザーの満足度の向上につながると考えられます。
またロボットの振る舞いのデザイン例として、機能目的のユーザーに対しては最小限の対話での正確なタスクの遂行を優先させたり、実験目的のユーザーに対しては最小限の対話のみに限らず、ユーザーが手を振るなどといった非言語の様々な振る舞いに対しても反応することで、ユーザーの満足度の向上につながると考えられます。
■今後
本研究では、ロボットがユーザーの特性に合わせて、高いパフォーマンスの接客サービスを行っていくための重要な知見を発見できたと考えています。今回発見した知見をもとに、さらなる実験を行い、ロボットが十分な接客サービスを提供できるために探索してまいります。
「AI Lab」は今後も、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組むとともに、「人とロボットが共生できる世界」を目指し、より一層ロボットを含めた対話エージェントによる接客対話技術の研究開発に努めてまいります。
※2 the 20th edition of the IEEE/ACM International Conference on Human-Robot Interaction
※3 ACM(Association of Computing Machinery) CHI Conference on Human Factors in Computing System
※4 International Conference on Intelligent Robots and Systems
※5「ムーンショット型研究開発事業」
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 広報
E-mail:cyberagent.ai_pub@cyberagent.co.jp
「AI Lab」は今後も、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組むとともに、「人とロボットが共生できる世界」を目指し、より一層ロボットを含めた対話エージェントによる接客対話技術の研究開発に努めてまいります。
※2 the 20th edition of the IEEE/ACM International Conference on Human-Robot Interaction
※3 ACM(Association of Computing Machinery) CHI Conference on Human Factors in Computing System
※4 International Conference on Intelligent Robots and Systems
※5「ムーンショット型研究開発事業」
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 広報
E-mail:cyberagent.ai_pub@cyberagent.co.jp