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プレスリリース

AI Lab、マルチエージェント分野のトップカンファレンス「AAMAS 2025」にて主著論文採択

ー記憶を持つエージェントの学習の大域的なふるまいを解析ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田 晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の藤本 悠雅、蟻生 開人 、阿部 拳之らによる主著論文が、マルチエージェント分野のトップカンファレンス「AAMAS 2025」※1に採択されたことをお知らせいたします。

「AAMAS」は自律エージェントやマルチエージェントシステム分野における最難関の国際会議で、権威あるトップカンファレンスの一つです。このたび採択された論文は、採択が最も難しいとされる「Full Paper」(口頭発表あり)として選ばれており、2025年5月に米国のデトロイトで開催される「AAMAS 2025」※1において発表を予定しています。

なお、「AAMAS 2025」では「extended abstract」枠においても、AI Labから2本の論文が採択されています。


Nash Equilibrium and Learning Dynamics in Three-Player Matching m-Action Games
著者:藤本 悠雅・蟻生 開人 ・阿部 拳之(サイバーエージェントAI Lab)
Weighted Envy-free Allocation with Subsidy
著者:Haris Aziz教授(ニューサウスウェールズ大学)・Xin Huang氏(九州大学)・木村彗准教授(九州大学)・Indrajit Saha氏(九州大学)・ 孫 兆鴻(サイバーエージェント AI Lab)・Mashbat Suzuki氏(ニューサウスウェールズ大学)、横尾真教授(九州大学)
■論文の背景

近年インターネット広告配信をはじめとした様々なウェブサービスにおいて、機械学習を用いた意思決定の自動化が重要な役割を果たしております。
例えばインターネット広告のオークションにおいては、自社のモデルだけでなく他社のモデルも独立に入札額を決定するという、意思決定モデルが複数存在する状況が発生します。こうした複数のモデルを学習させる問題は「マルチエージェント環境における学習」と呼ばれます。マルチエージェント学習では、単一の主体を学習させる場合には発生しない様々な研究課題が存在します。
当社では、この領域に対して「AAMAS 2021」・「UAI 2022」・「AISTATS 2023」・「IJCAI 2023」・「AAAI 2024」・「ICML 2024」・「AAAI 2025」といった権威ある国際会議にて発表を行うなど、積極的な学術貢献を行ってまいりました。

■論文の概要

今回採択された論文「Global Behavior of Learning Dynamics in Zero-Sum Games with Memory Asymmetry」では、マルチエージェント学習において、片方のエージェントだけがが次の行動を決定する際に相手の過去の行動を記憶する「メモリ」を持つ状況を取り扱いました[図]。メモリはエージェントがより複雑かつ柔軟な意思決定を行うことを可能にします。一方で、メモリはエージェントの学習のふるまいを複雑化させ、そのふるまいの大域的な予測を困難にすることが知られています。

マルチエージェント学習の課題の一つは全てのエージェントにとって最適な状態を達成することです。エージェントがメモリを持つ状況では、学習の大域的なふるまいが予測できないため、任意の状態からこの最適な状態に到達可能であるかどうかは未解明の問題でした。

本研究は、メモリが非対称なエージェント間での学習の大域的なふるまいを分析しました。結果として、メモリを持つエージェントがメモリを持たない相手を常に搾取するように学習することを示しました[図]。また、この搾取が十分に進むと、メモリを持たない相手は上記の最適な状態に到達できることを示しました[図]。
◾︎今後
本研究はエージェントにとって最適な状態を導く方法論の一つとしてメモリが利用可能であることを示しています。本研究の成果は、今後自動入札アルゴリズムやゲームAIに応用されることが期待されます。
「AI Lab」は今後もマーケティングの課題の解決に向けたAI技術をプロダクトに取り入れるとともに、技術発展と学術発展に貢献するべく、研究・開発に努めてまいります。


※1  https://aamas2025.org/