株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の加藤真大、安井翔太および東京大学の今泉允聡氏、テンプル大学のマクリン謙一郎氏ならびに慶應義塾大学の筧悠夫氏による共著論文「Learning Causal Models from Conditional Moment Restrictions by Importance Weighting」が、機械学習分野の国際会議「ICLR2022」(The International Conference on Learning Representations ※1)のSpotlightにて採択され、発表を行ったことをお知らせいたします。
「ICLR」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「ICML※2」「NeurIPS※3」と並び、機械学習や深層学習の分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。このたび「AI Lab」から採択された論文は、2022年4月にオンラインで開催された「ICLR 2022」にて発表を行いました。
発表ポスター:https://masakat0.github.io/materials/poster/IWMM.pdf
発表スライド:https://masakat0.github.io/materials/slide/npiv.pdf
■研究背景
近年、様々なウェブサービスにおいて、実施したマーケティング施策に対する「効果検証」を行うことが、サービスの売上を左右する重要な役割を果たしています。
例えば当社が提供を行うDXサービスにおいては、アプリやクーポンなどの各施策の適切な効果検証を通して質の高いフィードバックを獲得することで、DXにより得られるデータ活用の最大化と、より最適な施策設計に繋げることが可能となります。
このように施策の効果検証を適切に行うためには、実験を行った上で「施策以外の要因」が均質になる状況を作り出す必要があります。一方、実際のビジネスにおいては、施策以外の要因(コストやユーザー間の公平性など)を考慮した実験を実施できない状況が多く存在するという課題がありました。
こうした背景から、施策以外の要因がある状況においても、適切に効果を検証する「因果推論」や「計量経済学」などの分野が注目を集めております。当社ではこれらの分野に関連する論文が「NeurIPS」や「ICML」、「AAAI」※4といった国際学会に採択されるなど、積極的に研究に取り組んでまいりました。
本論文では、因果推論や計量経済学において用いられる「ノンパラメトリックモデル」について着目しています。一般的に施策の効果を分析する際、その効果の定義を分析者が決める必要があり、その際にいくつかの仮定が設定されます。「ノンパラメトリックモデル」を用いた効果検証では、柔軟なモデルを利用することで効果に対する仮定がより少なくなり、結果としてより柔軟な効果検証を行うことができます。
「ICLR」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「ICML※2」「NeurIPS※3」と並び、機械学習や深層学習の分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。このたび「AI Lab」から採択された論文は、2022年4月にオンラインで開催された「ICLR 2022」にて発表を行いました。
発表ポスター:https://masakat0.github.io/materials/poster/IWMM.pdf
発表スライド:https://masakat0.github.io/materials/slide/npiv.pdf
■研究背景
近年、様々なウェブサービスにおいて、実施したマーケティング施策に対する「効果検証」を行うことが、サービスの売上を左右する重要な役割を果たしています。
例えば当社が提供を行うDXサービスにおいては、アプリやクーポンなどの各施策の適切な効果検証を通して質の高いフィードバックを獲得することで、DXにより得られるデータ活用の最大化と、より最適な施策設計に繋げることが可能となります。
このように施策の効果検証を適切に行うためには、実験を行った上で「施策以外の要因」が均質になる状況を作り出す必要があります。一方、実際のビジネスにおいては、施策以外の要因(コストやユーザー間の公平性など)を考慮した実験を実施できない状況が多く存在するという課題がありました。
こうした背景から、施策以外の要因がある状況においても、適切に効果を検証する「因果推論」や「計量経済学」などの分野が注目を集めております。当社ではこれらの分野に関連する論文が「NeurIPS」や「ICML」、「AAAI」※4といった国際学会に採択されるなど、積極的に研究に取り組んでまいりました。
本論文では、因果推論や計量経済学において用いられる「ノンパラメトリックモデル」について着目しています。一般的に施策の効果を分析する際、その効果の定義を分析者が決める必要があり、その際にいくつかの仮定が設定されます。「ノンパラメトリックモデル」を用いた効果検証では、柔軟なモデルを利用することで効果に対する仮定がより少なくなり、結果としてより柔軟な効果検証を行うことができます。
研究概要
今回採択された共著論文「Learning Causal Relationships from Conditional Moment Restrictions by Importance Weighting」※5 では、ノンパラメトリック操作変数法と呼ばれる手法において機械学習・深層学習を応用する方法を提案しました。
本研究では、さまざまな種類の施策効果を数学的に定義できる「条件付きモーメント制約」を用いて、施策効果を定義しています。
この「条件付きモーメント制約」で定義される施策効果は、操作変数と呼ばれる特殊な確率変数を用いる手法(操作変数法)によって調べることが可能で、実際にこれまでも商品の価格を変更した時に、売上がどの程度変化するかという価格弾力性の推定において用いられるなど、広く活用されてきました。
しかし、条件付きモーメント制約で定義されている施策効果は、高次元データを扱う状況下では、推定が難しいという課題がありました。
本研究ではこの問題に対して、密度比を利用することで難しい問題をより簡単な問題に変換する方法を提案し、適切な理論補償のもとで施策効果を精度良く調べることを発見しました。
■今後
本研究において提案された方法は、当社で提供しているDynamic Pricingやクーポンリワードの調整といった、価格に関連するソリューション・プロダクトへの応用を予定しており、多様な環境における価格最適化への貢献が期待されます。
「AI Lab」は今後もビジネス課題の解決に向けたAI技術をプロダクトに取り入れることを目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 「ICLR」International Conference on Learning Representations
※2 「NeurIPS」Neural Information Processing Systems
※3 「ICML」International Conference on Machine Learning
※4 「AAAI」Association for the Advancement of Artificial Intelligence
※5 https://openreview.net/forum?id=7twQI5VnC8
本研究では、さまざまな種類の施策効果を数学的に定義できる「条件付きモーメント制約」を用いて、施策効果を定義しています。
この「条件付きモーメント制約」で定義される施策効果は、操作変数と呼ばれる特殊な確率変数を用いる手法(操作変数法)によって調べることが可能で、実際にこれまでも商品の価格を変更した時に、売上がどの程度変化するかという価格弾力性の推定において用いられるなど、広く活用されてきました。
しかし、条件付きモーメント制約で定義されている施策効果は、高次元データを扱う状況下では、推定が難しいという課題がありました。
本研究ではこの問題に対して、密度比を利用することで難しい問題をより簡単な問題に変換する方法を提案し、適切な理論補償のもとで施策効果を精度良く調べることを発見しました。
■今後
本研究において提案された方法は、当社で提供しているDynamic Pricingやクーポンリワードの調整といった、価格に関連するソリューション・プロダクトへの応用を予定しており、多様な環境における価格最適化への貢献が期待されます。
「AI Lab」は今後もビジネス課題の解決に向けたAI技術をプロダクトに取り入れることを目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 「ICLR」International Conference on Learning Representations
※2 「NeurIPS」Neural Information Processing Systems
※3 「ICML」International Conference on Machine Learning
※4 「AAAI」Association for the Advancement of Artificial Intelligence
※5 https://openreview.net/forum?id=7twQI5VnC8