プレスリリース
AI Lab、日本経済学会の公式な国際査読誌「The Japanese Economic Review」にて共著論文採択 ーO2Oマーケティングにおける広告効果の副次的な効果を分析ー
株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証一部上場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の森脇大輔と南カリフォルニア大学博士課程の松井暉氏による共著論文※1が、日本経済学会が発行する国際査読誌である「The Japanese Economic Review」にて採択されたことをお知らせいたします。
■研究背景
近年、オンライン広告によって物理的な店舗への来店および購買行動を促す「O2Oマーケティング」における広告効果に注目が高まっています。
2013年に行われた実証実験を用いた研究※2では、店舗内広告やクーポンを受け取った消費者に非計画的購買の増加傾向が確認されるとともに、2019年の実証実験※3ではモール内におけるショッピング行動が活発化するなどの副次的な効果が見受けられることが発表されました。
こうした研究から「広告によって店舗に来店した消費者」と「自然流入で来店した消費者」の間には、その後の行動に相違があることが示唆されており、O2Oマーケティングにおいては短期的な広告効果だけでなく、中期的かつ副次的な広告効果に関する研究を行う必要性があることがわかります。
■論文の概要
このような背景のもと、今回採択された論文「Online-to-Offline advertisements as field experiments」では、広告の副次的な効果について分析を行いました。
本研究は、単発の実証実験にもとづいた先行研究と異なり、業種や期間の異なる31種類の広告配信データを用いることで、より一般的な洞察を得たことが大きな特徴となっています。
また分析の結果、広告によって来店した消費者は自然流入と比較して(1)広範囲・長時間ショッピングをする(2)再来訪する確率が高い、という特徴があることが示唆されました。
こうした結果は、広告による店舗への流入促進は、単純に来訪者数を増加するだけにとどまらず、近隣店舗への波及的効果および長期的な売上増加につながることを示します。
さらに論文では、因果効果に基づいた広告効果を予測する「アップリフトモデリング※4」を用いて再来訪確率を予測し、消費者の属性情報によって再来訪確率が高い消費者をターゲティングできる可能性を示しました。
■今後
今回の研究結果は、広告配信プロダクトから得られたデータを分析することでO2Oマーケティングにおける広告効果の持続的・波及的効果について明らかにし、更にその知見を用いた最適化への道筋をつけるものです。今後、当社で提供している小売・広告配信をはじめとしたプロダクトへ研究成果を反映することで、プロダクトのさらなる広告効果向上において貢献が期待されます。「AI Lab」は今後も、プロダクトと協働しビジネス上重要な分野における研究・開発に努めてまいります。
※1 Matsui A, Moriwaki D (2021) Online-to-Offline advertisements as field experiments. Japanese Economic Review
※2 Hui SK, Inman JJ, Huang Y, Suher J (2013) The effect of in-store travel
distance on unplanned spending: Applications to mobile promotion strategies. Journal of
Marketing 77(2)
※3 Ghose A, Li B, Liu S (2019) Mobile targeting using customer trajectory
patterns. Management Science 65(11)
※4 【リサーチインターン】最適クリエイティブ数を予測する: UpLift Modelingを使った予測モデルの開発
■研究背景
近年、オンライン広告によって物理的な店舗への来店および購買行動を促す「O2Oマーケティング」における広告効果に注目が高まっています。
2013年に行われた実証実験を用いた研究※2では、店舗内広告やクーポンを受け取った消費者に非計画的購買の増加傾向が確認されるとともに、2019年の実証実験※3ではモール内におけるショッピング行動が活発化するなどの副次的な効果が見受けられることが発表されました。
こうした研究から「広告によって店舗に来店した消費者」と「自然流入で来店した消費者」の間には、その後の行動に相違があることが示唆されており、O2Oマーケティングにおいては短期的な広告効果だけでなく、中期的かつ副次的な広告効果に関する研究を行う必要性があることがわかります。
■論文の概要
このような背景のもと、今回採択された論文「Online-to-Offline advertisements as field experiments」では、広告の副次的な効果について分析を行いました。
本研究は、単発の実証実験にもとづいた先行研究と異なり、業種や期間の異なる31種類の広告配信データを用いることで、より一般的な洞察を得たことが大きな特徴となっています。
また分析の結果、広告によって来店した消費者は自然流入と比較して(1)広範囲・長時間ショッピングをする(2)再来訪する確率が高い、という特徴があることが示唆されました。
こうした結果は、広告による店舗への流入促進は、単純に来訪者数を増加するだけにとどまらず、近隣店舗への波及的効果および長期的な売上増加につながることを示します。
さらに論文では、因果効果に基づいた広告効果を予測する「アップリフトモデリング※4」を用いて再来訪確率を予測し、消費者の属性情報によって再来訪確率が高い消費者をターゲティングできる可能性を示しました。
■今後
今回の研究結果は、広告配信プロダクトから得られたデータを分析することでO2Oマーケティングにおける広告効果の持続的・波及的効果について明らかにし、更にその知見を用いた最適化への道筋をつけるものです。今後、当社で提供している小売・広告配信をはじめとしたプロダクトへ研究成果を反映することで、プロダクトのさらなる広告効果向上において貢献が期待されます。「AI Lab」は今後も、プロダクトと協働しビジネス上重要な分野における研究・開発に努めてまいります。
※1 Matsui A, Moriwaki D (2021) Online-to-Offline advertisements as field experiments. Japanese Economic Review
※2 Hui SK, Inman JJ, Huang Y, Suher J (2013) The effect of in-store travel
distance on unplanned spending: Applications to mobile promotion strategies. Journal of
Marketing 77(2)
※3 Ghose A, Li B, Liu S (2019) Mobile targeting using customer trajectory
patterns. Management Science 65(11)
※4 【リサーチインターン】最適クリエイティブ数を予測する: UpLift Modelingを使った予測モデルの開発