株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:藤田晋、東証一部上場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員の富樫陸及び大谷まゆ並びにアドバイザーであり、画像・映像検索研究における第一人者の佐藤真一氏らによる共著論文が、Web分野の国際会議「WSDM 2021」(※1)にて本採択されたことをお知らせいたします。
「WSDM」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「The Web Conference」「KDD」(※2)などと並び、Web・データマイニングの分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。2021年度は採択率がおよそ18%と難易度の高い年となり、この度「AI Lab」から採択された論文は、2021年3月にオンラインで開催される「WSDM 2021」で発表を行います。
■研究背景
「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取組むとともに、産学連携によって培ってきた技術を当社のビジネス課題と結びつけるような、より実践的な研究開発を行ってまいりました。
近年、インターネット広告を含め様々なウェブサービスにおいて、ユーザー毎にどのような配信コンテンツや広告が好まれるかを高精度に予測し配信する技術は、ユーザーの満足度を左右する重要な役割を果たしています。
ユーザー毎に適した広告クリエイティブを選択するためには、ユーザーの行動・嗜好を分析するのみならず、広告の中にどのような「人物」や「商品」の素材が使われていたらクリック率が高くなりやすいかを分析する必要があります。例えば、映画など映像コンテンツで人物が写っている作品の視聴レコメンドでは、その人物の関連情報(過去の出演作品や、所属グループなど)をもとに、広告やコンテンツの推薦を行うことが重要ですが、このような関連情報を広告クリエイティブ内で使われている人物画像やコピー文から取得することは困難です。
■知識グラフの研究について
このような課題から、近年「知識グラフ」と呼ばれる外部データを利用した情報推薦技術が注目を集めています。
知識グラフは、「ある俳優AがBというグループに属している」というAとBの間における関係性を(A, 所属, B)という三つ組みとして表すことで、知識をグラフとして表現したデータです。例えば、「Wikipedia」を元にして作られた「DBpedia」 (※3)は誰でもアクセスができる知識グラフの一つです。
これまで、「知識グラフを用いたコンテンツの推薦手法」は、ウェブサービスにおける推薦システムの構築や情報補完において利用されてきました。しかし、従来の「知識グラフを用いたコンテンツの推薦手法」では、新しいコンテンツや配信頻度の低いコンテンツが学習時にうまく活用されず、高い配信実績を持つ一部のコンテンツに偏って学習してしまうという傾向がありました。そのため、例えユーザーの嗜好に合っていたとしても、それが新規のコンテンツやマイナーなコンテンツの場合、推薦手法がうまく適応されず、配信がされにくくなるという課題がありました。
■論文研究の概要
このような背景のもと、当社では知識グラフを事業に導入する際に発生する課題の解決を目指し、本年度より佐藤真一氏との産学連携を開始し、研究を進めてまいりました。今回採択された共著論文「Alleviating Cold-Start Problems in Personalized Recommendation through Pseudo-Labeling over Knowledge Graph(※4)」では、知識グラフを用いたグラフニューラルネットワークを使った新規コンテンツの推薦手法を開発し提案しました。
本研究では、「ユーザー」と「実績の少ないコンテンツ」の間における、知識グラフ上での「近傍構造」を活用した半教師あり学習により、配信実績の少ないコンテンツの活用を促す学習手法を提案しております。
「WSDM」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「The Web Conference」「KDD」(※2)などと並び、Web・データマイニングの分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。2021年度は採択率がおよそ18%と難易度の高い年となり、この度「AI Lab」から採択された論文は、2021年3月にオンラインで開催される「WSDM 2021」で発表を行います。
■研究背景
「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取組むとともに、産学連携によって培ってきた技術を当社のビジネス課題と結びつけるような、より実践的な研究開発を行ってまいりました。
近年、インターネット広告を含め様々なウェブサービスにおいて、ユーザー毎にどのような配信コンテンツや広告が好まれるかを高精度に予測し配信する技術は、ユーザーの満足度を左右する重要な役割を果たしています。
ユーザー毎に適した広告クリエイティブを選択するためには、ユーザーの行動・嗜好を分析するのみならず、広告の中にどのような「人物」や「商品」の素材が使われていたらクリック率が高くなりやすいかを分析する必要があります。例えば、映画など映像コンテンツで人物が写っている作品の視聴レコメンドでは、その人物の関連情報(過去の出演作品や、所属グループなど)をもとに、広告やコンテンツの推薦を行うことが重要ですが、このような関連情報を広告クリエイティブ内で使われている人物画像やコピー文から取得することは困難です。
■知識グラフの研究について
このような課題から、近年「知識グラフ」と呼ばれる外部データを利用した情報推薦技術が注目を集めています。
知識グラフは、「ある俳優AがBというグループに属している」というAとBの間における関係性を(A, 所属, B)という三つ組みとして表すことで、知識をグラフとして表現したデータです。例えば、「Wikipedia」を元にして作られた「DBpedia」 (※3)は誰でもアクセスができる知識グラフの一つです。
これまで、「知識グラフを用いたコンテンツの推薦手法」は、ウェブサービスにおける推薦システムの構築や情報補完において利用されてきました。しかし、従来の「知識グラフを用いたコンテンツの推薦手法」では、新しいコンテンツや配信頻度の低いコンテンツが学習時にうまく活用されず、高い配信実績を持つ一部のコンテンツに偏って学習してしまうという傾向がありました。そのため、例えユーザーの嗜好に合っていたとしても、それが新規のコンテンツやマイナーなコンテンツの場合、推薦手法がうまく適応されず、配信がされにくくなるという課題がありました。
■論文研究の概要
このような背景のもと、当社では知識グラフを事業に導入する際に発生する課題の解決を目指し、本年度より佐藤真一氏との産学連携を開始し、研究を進めてまいりました。今回採択された共著論文「Alleviating Cold-Start Problems in Personalized Recommendation through Pseudo-Labeling over Knowledge Graph(※4)」では、知識グラフを用いたグラフニューラルネットワークを使った新規コンテンツの推薦手法を開発し提案しました。
本研究では、「ユーザー」と「実績の少ないコンテンツ」の間における、知識グラフ上での「近傍構造」を活用した半教師あり学習により、配信実績の少ないコンテンツの活用を促す学習手法を提案しております。
▼従来の「知識グラフを用いたコンテンツの推薦手法」イメージ
▼論文で提案した「知識グラフを用いた新規コンテンツの推薦手法」イメージ図
これにより、予測精度を落とすことなく、配信実績の少ないコンテンツにおいても外部知識を使用することで積極的な推薦が可能となり、推薦システムのロジックで生じていたコンテンツ間における推薦の不平等を是正するとともに、よりユーザー毎の趣味・嗜好を考慮しパーソナライズに特化した推薦が出来るようになります。
■今後
今回の提案手法は、当社が提供する「極予測AI」の効果予測技術における広告クリエイティブの素材選定やデザインをアシストする推薦ロジックなど、よりユーザー毎にパーソナライズされた推薦が必要なマーケティング活動において貢献が期待されます。「AI Lab」は今後もAI技術を用いた広告配信技術をプロダクトに取り入れるべく、より品質の高い広告配信技術の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 「WSDM」 Web Search and Data Mining
※2 「The Web Conference」
「KDD」International Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※3 DBpedia (日本語版)
※4 Riku Togashi, Mayu Otani, Shin'ichi Satoh."Alleviating Cold-Start Problems in Personalized Recommendation through Pseudo-Labeling over Knowledge Graph"
■今後
今回の提案手法は、当社が提供する「極予測AI」の効果予測技術における広告クリエイティブの素材選定やデザインをアシストする推薦ロジックなど、よりユーザー毎にパーソナライズされた推薦が必要なマーケティング活動において貢献が期待されます。「AI Lab」は今後もAI技術を用いた広告配信技術をプロダクトに取り入れるべく、より品質の高い広告配信技術の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。
※1 「WSDM」 Web Search and Data Mining
※2 「The Web Conference」
「KDD」International Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※3 DBpedia (日本語版)
※4 Riku Togashi, Mayu Otani, Shin'ichi Satoh."Alleviating Cold-Start Problems in Personalized Recommendation through Pseudo-Labeling over Knowledge Graph"