サイバーエージェントは「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、創業以来28期増収を続けております。2025年度は、メディア&IP事業が「ABEMA」開局後10年ぶりに黒字化をすると共に、ゲーム事業において複数の新規タイトルがヒットし、上方修正後の予想を大きく上回る大幅増益になりました。
変化の激しいインターネット業界において、当社は「変化対応力」を強みに、スマートフォン事業への転換、ゲーム事業への参入、そして「ABEMA」の開局と、時代の変化に合わせ事業を創出してきました。昨今、インターネットの登場と同等の変化と捉えているのがAIです。AIを活用する企業とそうでない企業の間には、将来的に明確な差がつくと確信しており「AIの活用を競争優位性にする」と掲げ、新たな価値の創造や全社的な業務効率化を推進しています。
持続的な成長には、将来の課題から目を背けず、新たな事業を準備し続けることが不可欠だと考えています。この「先送りを撲滅し、変革を怠らない文化」を象徴する取り組みは、2006年から実施している経営会議「あした会議」です。執行役員を中心としたチームが、新規事業の立案のみならず、中長期のリスクや課題を炙り出し、解決策を議論・実行します。実際、この「あした会議」から強化分野の子会社設立に加え、社員の適材適所を実現する専門部署の新設や、成果を適正に評価するマネジメントシステムなど、「攻めと守り」の仕組みが数多く生まれました。何より、こういった取り組みを継続して実施することで、課題に対して先手を打つ姿勢や潮流を捉える思考が全社に浸透したと考えています。
当社を「創業者の会社」から「真のパブリックカンパニー」へと進化させるため、2022年より自身のサクセッションプランを実行し、3年半にわたる研修等を経て、山内隆裕が代表取締役 社長に就任いたしました。創業社長から2代目への継承は極めて難易度が高いため、当面は代表取締役2名体制をとり、私自身、会長として新体制に伴走します。この期間は役割分担をあえて明確にせず、ゼロから社長業を引き継ぎ、事業構想力や洞察力、求心力といった社長として必要な力を確実に養い、経営の移行をグラデーショナルに進めていきます。
今後も、事業と人材の成長を通じて社会的価値を創造し、「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスの実現を志してまいります。
代表取締役 会長
藤田 晋
平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。 このたび、代表取締役 社長に就任いたしました山内隆裕です。
2006年4月に新卒で入社後、子会社取締役を経て(株)CyberZを設立し、経営者としての経験を積ませてもらいました。現在は(株)AbemaTV 取締役COOとして、「ABEMA」の集客力を生かしたオリジナルコンテンツの創出やメディアとしての地位確立、マネタイゼーションの強化を図るとともに、「ABEMA」と関連性の高いアニメ&IP事業本部の立ち上げを行っています。
昨今、日本のコンテンツがグローバルで注目されるなか、国内トップクラスの広告事業やゲーム事業とのグループシナジーを最大化しつつ、原作からマネタイズまでを一気通貫できる体制を構築し、世界で通用するIPの創出を目指します。
また、広告事業において培ってきたAIの技術力を当社グループ全体の競争優位性にすると共にAI活用を機会と捉え、広告主と消費者を繋ぐ新たな手法を確立しつつ、インターネット広告市場を牽引していければと考えています。
約3年半にわたる社長研修を通じ、社長業の重責を改めて認識しました。創業社長からの継承にあたり、藤田と対話を重ねる中で、実際にその立場に立ち、実践を通じてこそ経営の本質を掴めると確信しています。 当面は藤田が会長として伴走する中で引き継ぎに専念し、2027年には私から中長期ビジョンを発表できるよう邁進してまいります。
入社して約20年、サイバーエージェントの競争力の源泉はカルチャーと人にあると感じています。社員の能力を最大限に引き出し、挑戦と変革を繰り返してきたことが当社の成長を支えており、私自身もその環境下で多くの経験を積み、成長してきました。「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンの実現に向け、現在の経営戦略を堅持しながら、全力を尽くす所存です。
代表取締役 社長
山内 隆裕