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技術

AI戦略本部、ゲーム・AI分野における国際会議「IEEE Conference on Games(CoG 2025)」にて論文採択

ゲーム・エンターテインメント事業部(SGE)において、AIツールの開発・研究を行う「SGE AI戦略本部」に所属する、伊原滉也、唐井希らによる論文が、ゲーム研究と技術の最前線を扱う国際会議「IEEE Conference on Games(CoG2025)」にて採択されたことをお知らせいたします。

「IEEE Conference on Games(CoG2025)」は、ゲームを対象とした人工知能やインタラクティブ技術の応用に関する研究を扱う国際会議であり、同分野において重要な国際会議の一つとして広く知られています。強化学習、進化的アルゴリズム、自動ゲーム生成、プレイヤーモデリングなど、ゲームとAIの融合領域における先進的な研究成果が発表される場となっています。

このたび採択された論文は、2025年8月にポルトガルにて開催される「IEEE Conference on Games(CoG2025)」にて発表いたします。


■論文の概要
「On-Device, Diverse, Difficulty-Driven Level Generation for Match 3D Puzzles via Reinforcement Learning」
著者:伊原 滉也、髙橋ともみ、黒田 和矢、神保 直幸(サイバーエージェント SGE AI戦略本部)
タイプ:Full paper

<概要>
3Dオブジェクトを3つそろえて消す3Dマッチパズルでは、プレイヤーごとに適切な難易度と多様なレベルを継続的に提供することが不可欠ですが、従来はレベルデザインの人的コストが大きな課題でした。本研究は、強化学習を用いたオンデバイスレベル生成モデルを開発し、スマートフォン上でリアルタイムに無限のレベルを自動生成できることを示しました。モデルは人のプレイ時間を用いて学習した難易度推定器を報酬に組み込み、目標難易度を正確に満たすレベルを生成します。
実験では、生成レベルが狙い通りの難易度に収束しつつ、オブジェクトの組み合わせに高い多様性を維持することを確認しました。さらに、ONNX + Unity Barracudaでの推論により「Google Pixel 6」で平均 37 msとユーザーが体感しない速度でレベル生成が完了することを示しました。このシステムは今後リリース予定のタイトルに実装され、世界初となるPCGRL(Procedural Content Generation via Reinforcement Learning)の商用スマートフォンゲームへの実導入を達成しています。

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「A Practical Evaluation of UI Element Detection for Automated Mobile Game Testing」
著者:唐井希、伊原滉也(サイバーエージェント SGE AI戦略本部)、 石本達也(TOKYO GameFi)、久保大貴(アプリボット)、菊池 康太郎 (サイバーエージェント AI Lab)
タイプ:Short paper

<概要>
本研究は、モバイルゲームの自動テストを実現するために、画像からのUI要素検出手法を評価したものです。頻繁に変更されるUIに対して柔軟に対応するため、画像解析に基づくアプローチが有効とされます。実験では、『ガールフレンド(仮)』『IDOLY PRIDE』『ポコロンダンジョンズ』という特性の異なる3タイトルからUIスクリーンショットを収集し、UI要素をアノテーションすることで独自のデータセットを構築しました。UIED、OmniParser、Ferret-UIといった既存の検出モデルのモバイルゲームにおける性能を評価し、正確な検出には限界があるものの、モンキーテストなど特定の用途においては実用水準に達していることを示しました。
本研究は、モバイルゲームにおけるUI要素検出の難しさを浮き彫りにするとともに、自動テストの基盤技術としての可能性を提示するものであり、今後はGUIエージェントとの連携や精度向上による応用拡大が期待されます。



■今後
これらの研究成果は、SGE AI戦略本部が推進する「ゲーム開発の生産性向上」と「ユーザー体験の最適化」に向けた取り組みの重要な一歩です。レベル生成の研究では、プレイヤーごとのスキルや嗜好に応じたゲーム体験をリアルタイムに提供できる技術基盤を構築し、今後はパーソナライズやエンゲージメント最適化を支援するAIシステムへの展開を目指します。また、UI要素検出の研究は、リリース後のゲーム運営におけるQA効率化やGUIエージェントの導入を通じて、開発負荷の大幅な削減と品質保証の高度化に貢献することが期待されています。

SGE AI戦略本部では、これらの成果を既存・新規タイトルへの実装にとどまらず、将来的には自動化と創造性の両立を可能にする次世代のゲーム制作フローの構築を見据えています。今後も最先端のAI技術を積極的に取り入れ、プロダクト価値の最大化とゲーム体験の革新、さらには国内外における技術・学術の発展に貢献してまいります。