
「学際的情報科学センター」で学際的な研究開発に従事する高野雅典と徳島大学 社会産業理工学研究部 横谷謙次准教授、京都大学 人と社会の未来研究院 阿部修士教授、九州大学 医学研究院 臨床医学部門 加藤隆弘准教授の共著論文「Predicting social anxiety disorder based on communication logs and social network data from a massively multiplayer online game: Using a graph neural network」が国際論文誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に採択されました。学際的情報科学センターでは、社外の研究機関と協働しながら、情報科学とその隣接領域の学術的な知見に基づき、主に当社のメディア事業における研究開発に取り組んでいます。
「Psychiatry and Clinical Neurosciences」は精神医学と神経科学分野の国際ジャーナルです。この度採択された論文は社交不安症の早期発見手法を提案する研究です。
■論文の概要
社交不安症(Social Anxiety Disorder、SAD)は人前での緊張や不安を強く感じる精神疾患で早期発見と治療が重要です。しかし、その症状から診察や診療を避ける人もおり、発見が遅れてしまうことがあります。そこで本研究はオンラインの行動とソーシャルネットワークデータを用いることで、SADの予測を試みました。
具体的にはアバターコミュニケーションアプリ『ピグパーティ』を題材としてソーシャルネットワークデータに対してグラフニューラルネットワークを用いることで、SADを予測するモデルを構築しました。その結果、高い精度でSADの傾向を持つユーザーを特定できることが示されました。
これは、オンライン上の交流パターンからSADを予測できる可能性を示唆します。この発見は、アバターコミュニケーションアプリなどオンラインコミュニケーションプラットフォームがユーザの交流の場としての役割に加えて、SADの早期発見と支援の場として活用できる可能性を示しています。アプリ内の行動データは、従来のアンケートやインタビュー調査に比べてユーザの負荷が少ないという利点があります。早期にSADの兆候を捉えることで、適切なサポートや介入につなげることが期待されます。
現代社会では、オンラインゲームやSNSが人々の交流の場として重要な役割を果たしています。今回の研究は、そのようなデジタル空間が心の健康を支える新たな手段となり得ることを示唆しています。今後、さらなる研究と実践を通じて、多くの人々の心の健康に貢献できると考えています。
■論文
・著者: 横谷謙次、高野雅典、阿部修士、加藤隆弘
・タイトル: Predicting social anxiety disorder based on communication logs and social network data from a massively multiplayer online game: Using a graph neural network
・論文誌: Psychiatry and Clinical Neuroscience
・URL: https://doi.org/10.1111/pcn.13804 (オープンアクセス)
※ オープンアクセス化に関しては、徳島大学が獲得した文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の補助金を使用しました。
学際的情報科学センターは今後も、より安心して利用いただけるサービス運営に繋がるよう、外部の研究機関と協働し、情報科学とその隣接領域における学術的な知見に基づいた研究開発に努めてまいります。
・タイトル: Predicting social anxiety disorder based on communication logs and social network data from a massively multiplayer online game: Using a graph neural network
・論文誌: Psychiatry and Clinical Neuroscience
・URL: https://doi.org/10.1111/pcn.13804 (オープンアクセス)
※ オープンアクセス化に関しては、徳島大学が獲得した文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の補助金を使用しました。
学際的情報科学センターは今後も、より安心して利用いただけるサービス運営に繋がるよう、外部の研究機関と協働し、情報科学とその隣接領域における学術的な知見に基づいた研究開発に努めてまいります。