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プレスリリース

AI Lab、Web・データマイニング分野のトップカンファレンス「The Web Conference 2024」にて2本の共著論文採択

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」研究員の富樫陸・阿部拳之・野村将寛ならびにコーネル大学兼半熟仮想株式会社の齋藤優太氏・コーネル大学の清原明加氏らによる共著論文2本がWeb・データマイニング分野のトップカンファレンス「The Web Conference 2024」※1にて採択されたことをお知らせいたします。

「The Web Conference」は、Web・データマイニング分野における世界最高峰の国際会議のひとつで、Webに関する幅広い関連技術のトップ研究者が一堂に集う最大規模の学会です。
この度採択された論文は、2024年5月にシンガポールで開催される「The Web Conference 2024」で発表を行います。

■採択された2本の共著論文について

「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究・開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。

なかでも、機械学習領域における研究チームでは、高度な理論研究や社内外のデータを用いた応用研究を行うとともに、アカデミアおよび行政との連携による社会実装や学術貢献にも注力をしています。
推薦システムはtoCサービスにおいて必要不可欠な技術であり、当社ならびに当社グループ会社の実サービスにおいて幅広い運用実績があります。



「Scalable and Provably Fair Exposure Control for Large-Scale Recommender Systems」
著者:富樫陸(サイバーエージェント AI Lab)・阿部拳之(サイバーエージェント AI Lab)・齋藤優太(コーネル大学/半熟仮想株式会社)
本研究は、「コンテンツ露出機会の公平性とスケーラビリティを考慮した推薦システム」を目的としています。

企業の代わりにユーザーがコンテンツを生成するUser Generated Contentプラットフォームやオンラインデーティングなど多くのウェブサービスでは、推薦される各コンテンツはあるユーザーに紐づくため、あるコンテンツが推薦され他のユーザーに露出する機会はそれに紐づくユーザーの満足度に大きな影響を与えます。このことから、コンテンツ露出機会の公平性はサービスの長期的な満足度のために不可欠なものだと考えられています。

従来の公平性を考慮した推薦システムの手法は、コンテンツ露出機会の公平性をいかに自然に定式化・最適化するかに焦点を当てたものが主流でした。公平性を考慮した最適化は一般に従来の公平性を考慮しない推薦システムよりも複雑になるため、スケーラビリティを考慮した設計にはなっていませんでした。

そこで本研究では、コンテンツの露出機会を考慮したスケーラブルな推薦手法を開発しました。提案手法は既存の公平性を考慮しない最速の推薦手法に匹敵する計算効率を達成し、大規模なWebアプリケーションに公平性を考慮した推薦システムを適用可能にしました。

本研究の成果は当社グループを含めた実サービスへの応用が期待されます。

<論文リンク>
https://arxiv.org/abs/2402.14369



「Off-Policy Evaluation of Slate Bandit Policies via Optimizing Abstraction」
著者:清原明加(コーネル大学)・野村将寛(サイバーエージェント AI Lab)・齋藤優太(コーネル大学/半熟仮想株式会社)
本研究は、「適切な組み合わせを提案する推薦システムのオフライン評価」を目的としています。

インターネット広告など多くのウェブサービスにおいて、過去のデータを用いて新たに学習を行った推薦システムの性能を事前検証(オフライン評価)したい場面は多く存在します。

従来のオフライン評価では、推薦システムが提案する対象は一般に単一の種類に限定されていました。しかし実際の使用シナリオでは、広告のテキストや背景画像のように、複数の要素を組み合わせて評価する必要がある場面が頻繁にあります。このような場合、複数の要素の組み合わせによって選択肢の数が著しく増加し、その結果として性能の検証が難しくなる問題が生じていました。

この問題に対処するため、本研究では組み合わせに関するユーザーフィードバックが類似しているデータを利用して、推薦システムの性能を正確に推定することができる新しいオフライン評価手法を開発しました。

本研究により、提案対象の組み合わせの数が大きい場合に、より正確なオフライン評価を行うことが可能となります。これにより、サービスに最適な推薦システムを導入することが容易になり、結果としてユーザーにとってより良い体験を提供することが期待されます。

<論文リンク>
https://arxiv.org/abs/2402.02171

■今後

今回2本の論文で提案した手法は、Web・データマイニング分野における研究開発の基礎技術になるとともに、当社の提供する広告配信システムをはじめとする実サービスへの活用等が期待されます。「AI Lab」は今後もAI技術を取り入れたより品質の高い広告配信技術の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。



※1 The Web Conference