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プレスリリース

AI Lab、ロボティクス分野のトップカンファレンス「IROS」にて2本の論文採択ーロボットを活用した販売促進効果を調査ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」研究員の岩本拓也、宋思超らによる論文2本がロボティクス分野の国際会議「IROS 2022」(IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems)」※1に採択されたことをお知らせいたします。

「IROS」は世界中の様々な研究者が一堂に集い毎年開催される国際会議で、「ICRA」「RSS」「HRI」※2などと並び、ロボティクス分野で権威あるトップカンファレンスの1つです。このたび「AI Lab」から採択された論文は、2022年10月に京都で開催される「IROS 2022」で発表を行います。 
なお、そのうち1本の論文「Playful Recommendation: Sales Promotion that Robots Stimulate Pleasant Feelings instead of Product Explanation」は、ロボティクス分野のレター論文誌「IEEE Robotics and Automation Letters(RA-L)」※3に採択され、同時投稿制度によってIROSにも採択されています。


■採択された2本の論文について
「AI Lab」では、2019年から立命館大学・大阪大学大学院基礎工学研究科とともに、ロボットなどの対話エージェントによる接客・広告技術の確立や科学的知見の獲得を目的とした共同研究に取り組んでいます。


「Playful Recommendation: Sales Promotion that Robots Stimulate Pleasant Feelings instead of Product Explanation」
Takuya Iwamoto Jun Baba Junya Nakanishi Katsuya Hyodo Yuichiro Yoshikawa Hiroshi Ishiguro

著者: 岩本拓也(サイバーエージェント AI Lab)・馬場惇(サイバーエージェント AI Lab)・中西惇也(大阪大学大学院基礎工学研究科)・兵頭亮哉(サイバーエージェント AI Lab)・吉川雄一郎(大阪大学大学院基礎工学研究科)・石黒浩(大阪大学大学院基礎工学研究科)
 
近年、ロボットを活用した販売促進は店舗や施設など多くの場所で日常的な利用が進むとともに、高い効果があることが報告されています。
なかでも、商品自体が動き出しロボットのように振る舞う「自己推薦ロボット」(※)は、人々の興味を惹きやすく、商品情報を伝達する能力に長けていることがこれまでの実験により示されています。
こうしたロボットは、発話や振る舞いなど豊かな表現を用いた商品推薦ができる一方で、推薦する商品やシチュエーションに応じて、インタラクションを変更する必要があるため、準備に時間を要するという課題がありました。

このような背景のもと、このたび採択された論文では、自己推薦ロボットの「商品とロボットが同一状態」である特徴を活かした、商品やシチュエーションに影響しにくい販促手法「Playful Recommendation(以下PR)」(図1)を提案いたしました。
PRは商品説明を行う代わりに、快感情を刺激することでお客様に商品の推薦を行います。今回はハロウィンとクリスマスのシーズン商品をロボットがPRを実施いたしました。

図1


▼自己推薦ロボットの「Playful Recommendation」の様子
https://www.youtube.com/watch?v=9XbOWus6QQc



2度の実証実験を実施した結果、以下の結果が確認できました。

・PRは、「説明をする推薦」および「通常時」よりも売り上げを有意に増加させた(※通常時の約7倍増加)(図2)
・PRは、「説明をする推薦」および「通常時」よりお客様に立ち止まってもらえる(図3)
・PRは、通常のロボットの形態より、自己推薦ロボットが効果を発揮する推薦手法である

本手法を用いることで、ロボットのインタラクションを従来よりもスムーズに設計することが可能になることが分かりました。

▼実証実験の結果


今後も自己推薦ロボットを活用した実証実験を複数予定しており、これらの結果は学会での発表を行うとともにサービス化に向けた取り組みを進めて行く予定です。

<論文リンク>
https://ieeexplore.ieee.org/document/9817646

(※)商品に生命感を付与し、自らを推薦するロボットの形態
 
「Service Robots in a Bakery Shop: A Field Study」
Sichao Song, Jun Baba, Junya Nakanishi, Yuichiro Yoshikawa, Hiroshi Ishiguro

著者: 宋思超(サイバーエージェント AI Lab)・馬場惇(サイバーエージェント AI Lab)・中西惇也(大阪大学大学院基礎工学研究科)・吉川雄一郎(大阪大学大学院基礎工学研究科)・石黒浩(大阪大学大学院基礎工学研究科)
 
近年、人とコミュニケーションができるソーシャルロボットの研究が進んでおり、ロボットの活用方法の1つとして実店舗での販売促進が期待されています。サービスロボットによる販売促進事例は増加してる一方、ロボットを通じた売り上げの向上やリピーターの獲得を実現するには、解決しなければならない課題はまだ存在します。

本研究では、遠隔操作ロボットを実店舗(ベーカリー)に2週間ほど設置し、通行人への声かけや店舗に来た顧客への商品推薦を行うことで、販売数への影響と、ロボットの発話内容や映像データから顧客の行動を分析しました。


▼ロボット設置箇所のイメージ

店頭ロボット:通行人への声掛け・集客や商品の紹介を担当
店内ロボット:商品推薦・店員スタッフとの連携による焼きたてパン等の情報発信・店頭ロボットとの連携による、来店客への情報発信を担当

その結果、遠隔操作ロボットを導入することで売上が前年と比べて大幅に増加しました。来店客数はほぼ同じである一方、ロボットがいることで平均客単価が増加していていることがわかりました。また、映像データの分析結果から、ロボットの指示式会話(例:「〇〇商品を確認してね」)を行うことで、お客様はその行動を行いやすく、ロボットの販売促進効果は特に同伴のあるグループの顧客と子供により効果が高い可能性があることも示しました。


▼ロボット導入による売上への影響(昨年度較)


今回の知見に基づいて、今後もサービスロボットの販売促進効果の研究と実店舗への導入に力を入れていく予定です。

※本研究は、ムーンショット研究開発事業※4の一環として行われた内容となります。

<論文リンク>
Service Robots in a Bakery Shop: A Field Study
■今後
本研究では、ロボットが日常的な関わりを持ち長期的に情報推薦を行っていくための重要な知見を発見できたと考えています。今回発見した知見をもとに、さらなる実験を行い、推薦効果の長期的な持続を可能にする技術を探索してまいります。「AI Lab」は今後も、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組むとともに、「人とロボットが共生できる世界」を目指し、より一層ロボットを含めた対話エージェントによる接客対話技術の研究開発に努めてまいります。


※1   IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems
※2 「ICRA」 IEEE International Conference on Robotics and Automation
    「HRI」ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction
※3 IEEE Robotics and Automation Letters(RA-L)
※4「ムーンショット型研究開発事業
超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進する制度。