iOSの「Next Experts」に選出されるまで

技術・デザイン

抱き続ける高い志と、組織への想い

2023年9月1日から開催される、iOS関連技術をコアのテーマとしたソフトウェア技術者のためのカンファレンス「iOSDC Japan 2023」に、サイバーエージェントは今年もプラチナスポンサーとして協賛します。
当社では様々な事業においてiOSエンジニアが活躍しており、所属プロダクトだけでなく横断的な取り組みや、担当分野を超えた開発経験を通して培った知見を、積極的に社外に発信する文化が深く根付いています。

入社5年目のiOSエンジニア 永野は、社内外で着実に積み上げてきた実績を高く評価され、2023年5月、「Developer Expert制度」の次世代版である「Next Experts」に選出されました。「Next Experts」に選ばれるまでの道のりや、iOSエンジニアとして高みを目指す転機になった「iOSDC Japan」との出会いについて話してもらいました。

Profile

  • 永野一馬
    タップル iOSエンジニアチームリーダー。2019年新卒入社。
    マッチングアプリ「タップル」のiOSアプリ開発に携わった後、モバイルエンジニアとして同SREチームに参画し、信頼性向上にも取り組んでいる。

「Next Experts」として、サイバーエージェント iOSエンジニアたちの凄さを伝えていくのが自分の責務

── iOSエンジニアを志したきっかけを教えてください。

ほとんど開発経験のなかった学生時代、とあるスタートアップでアルバイトとして働き始めたのですが、初めて触ったのがiOSでした。その後いくつかの言語に触れていく中で、Swiftが良い言語だと感じたのが一番のきっかけです。Swiftの魅力の1つはコミュニティが活発で、Apple主導で日々アップデートされていること。また、型が強い言語なので、ロジックや設計意図をコードに落とし込みやすいのも魅力です。

スタートアップでのアルバイトだけでなく、友人と共に複数のアプリをリリースしたものの、いずれも成功させられなかった悔しさがありました。そのため、新規だけでなく様々な既存サービスの運用に携われるサイバーエージェントに入社しました。

── iOSエンジニアとして、「タップル」や当社メディア事業のどのような点に魅力を感じていますか?

「タップル」では「恋愛総量の最大化」というパーパスを掲げているため、技術力の向上だけでなく社会貢献への実感を持てることが、モチベーションの1つです。また、ユーザーの大事なライフイベントに関わっているという強い意識を持っています。もし障害を起こしてしまうと、本来出会えていた方々の運命をも変えてしまう可能性があると考えています。だからこそ、チーム一丸となって品質を高めていく責任を日々感じています。

また、1年目の頃から、周囲の人々に助けてもらいながらも、認証機能刷新プロジェクトのリーダーや、新規プロジェクトのリードエンジニアを担当できたことに感謝しています。この経験が、確実に今の成長につながっていると思います。

さらに、社内には素晴らしい取り組みや業界をリードする技術力を持っているエンジニアがたくさんいるため、各プロダクトのソースコードやアーキテクチャを見ながら意見交換を行ったり、グループのiOSエンジニア全体でのLT会が行われる点も魅力です。

加えて、1つのプロダクトだけでなく、グループ全体に影響力を持つ取り組みに関われるのも、サイバーエージェントならではだと感じます。自分自身も、技術者版あした会議の「CA BASE SUMMIT」や「次世代マネジメント室」への参加を通じて、育成施策の提案や、評価指標制度のブラッシュアップ、採用イベントの企画等に携わりました。

── 「Next Experts」に選出されるべく、これまでどのような実績を積み重ねてきたのでしょうか?

担当業務においては、課題解決のための “引き出し” をたくさん作っておくよう、常に意識していました。以前は自分が好きな技術から新しい機能を考えたり、アーキテクチャの提案を行っていたのですが、適切なイシューがあるからこそ、プロダクトへの貢献や成果に繋がることが次第に分かってきたからです。難易度の高いイシューが発生した時のために、知見のストックを日頃から増やしておくことの重要性を感じました。そのためには、例えば発表されたばかりのiOSの新機能やAppleの新しいAPIなどにどんな価値があるのか、「タップル」にどう活かすことができるか深く考えてきました。

蓄積してきた知見を課題解決に活用できた取り組みの1つとして、BitriseからGitHub Actions self-hosted runnersへのCI移行が挙げられます。「タップル」iOSチームではマシンスペックと実行コストのトレードオフや、それに伴うクレジット管理に悩まされることが増えていたため、CI/CD環境のコスト削減とパフォーマンス向上を目指して取り組みました。全社横断のインフラ組織「CIU(CyberAgent group Infrastructure Unit)」に相談し、同組織が提供するGitHub Actions self-hosted runnersにおけるMac OSに、インスタンストライアルプロジェクトとして導入することを決めました。

導入中は、self-hosted runnerならではのトラブルシュートや使用感のフィードバックに苦戦しました。ただ、CIUメンバーの多大な協力もあり、今ではGitHubの強力な CI/CD エコシステムを活用した上で、高スペックなマシンのもと、実行時間を気にすることのない環境を構築できました。2023年7月に開催した「CyberAgent Developer Conference 2023」にて、「iOS開発におけるGitHub Actions self-hosted runnerを利用したオンプレCI/CDのすゝめ」と題したセッションで詳しくお話しましたので、ご興味ある方はぜひアーカイブをご覧ください。

また、当社主催のiOSエンジニアのための勉強会「CA.Swift」の運営や、2019年から4年間連続での「iOSDC Japan」登壇など、対外的な活動も認めていただき嬉しかったです。

── iOS分野における「Next Experts」として、今後どのような役割を担う必要があると考えていますか?

サイバーエージェントには優秀なiOSエンジニアが多く在籍しているので、その凄さを業界全体に伝えていくことが自分の責務だと考えています。
iOSエンジニア界隈のタイムラインを眺めていると、優秀なエンジニアは全員もれなく発信しているかのような印象を持ってしまいます。でも、発信が得意ではないものの、実は事業貢献において優れていたり、専門性が突き抜けているエンジニアが、当社グループには多くいます。比較的社外に発信することが好きな自分が、サイバーエージェントの代表として、まだ知られていない才能をお伝えする手助けができればと思っています。

「自分もここに立ちたい」
学生時代の衝撃的な経験

── これまでどのように「iOSDC Japan」に関わってきたのか、教えてください。

初めての参加は学生時代です。当時は奈良の大学院にいたこともあり、新しい技術のキャッチアップ方法が全くわからない状態だったのですが、「iOSDC Japan」への参加は衝撃的な経験でした。トップレベルの技術者たちが持つ視点の高さを肌で感じ、自分もそこに立ちたいという憧れを強く持ったんです。スカラシップ制度の一員として参加したため、同年代のエンジニアと繋がれたことも大きな刺激になりました。

2019年からプロポーザルが採択されるようになり、入社1年目は5分のLTに挑戦。以降は、20分のセッションを担当し、徐々に登壇の内容に厚みを持たせられるようになりました。特に、昨年実施したセッション「モバイルアプリのオブザーバビリティを向上させるプラクティス」は多くの反響をいただき嬉しかったです。登壇後も口頭で質問に来てくださる参加者がいたり、出版社の方からお声かけいただいて雑誌に寄稿する機会に恵まれました。

── カンファレンスや勉強会に登壇する際、心掛けていることはありますか?

iOSだけでなく、「SRE Next」など他分野での登壇を行うことで、分野を横断した知見共有を意識しています。社内のSREチームと話していた時に、お互いの知見を共有し合えば開発がさらにスムーズになるのではと感じることが度々あったからです。「SRE NEXT 2022」のセッション「よりUXに近いSLI・SLOの運用による可用性の再設計」については、同カンファレンスのチェアマンに、分野を横断した良い取り組みの1つだと言及いただきました。

また、iOS関連のカンファレンスや勉強会で、他分野でキャッチアップした事例を発信すると想像以上に反響がありました。皆そこに課題感を持っているのだと、大きな発見でしたね。担当分野を横断した知見の共有は、今後さらに活発化すると考えているので注力したいです。
 

── 今後、新たに挑戦したいことはありますか?

iOS分野はVision OSの発表やSwiftの言語機能の頻繁なアップデートなど、最近特に盛り上がりを感じています。目先のことだけでなく中長期的な事業価値に繋げられるよう、引き出しをさらに増やしていきたいです。

また、コード生成AIの活用によって、新たな機能の検討や、技術戦略の策定にさらに時間を使えるため、エンジニアが事業貢献できる領域がより一層広がっていくと感じています。個人的には、生成物の品質をどう評価するか、利用側でどのように付加価値をつけていくのか、気になっています。今後もコード生成のトレンドは続いていくと思うので、積極的なキャッチアップを続けていきたいと考えています。

「タップル」は社内で最も早くGitHub Copilotを導入したプロジェクトの1つとして、現在積極的にCopilotを活用しています。各言語ごとにサジェストの精度に偏りがあるものの、TypeScriptで書かれているBFFを書く際、型定義や型チェックの書き方を教えてくれるなど助かっています。
Copilot以外だと、Figmaの開発モードが優秀だと感じました。作成したデザインのコードを生成してくれるので、デザインからコーディングまでの時間が大幅に短縮できました。特に「タップル」ではABテストで多くのUIパターンを用意する必要があるので活用しています。

── 最後に、今後の展望を教えてください

自分自身のキャリアとしては、Next Expertとして引き続きサイバーエージェントグループの技術プレゼンスを高めていきたいです。
具体的には2つあって、1つ目は「CA.Swift」のさらなる活性化です。敷居を下げて登壇しやすい雰囲気作りを行い、若手のアウトプット機会を増やしつつ、ミドル・シニアが持つ高い技術力を発信する機会も合わせて検討しています。
2つ目は、社内勉強会を通じた、グループを横断した繋がりの強化です。サイバーエージェントほど事業ドメインが広く、幅広い技術に触れられる企業はなかなかないと思います。iOS技術への熱意が社外にも伝わるくらい、グループ全体の気運を盛り上げていきたいです。

また、「タップル」iOSチームリーダーとしては、歴代で最も “強い” チームと言ってもらえるよう、チームとしての成果にこだわりたいと考えています。マネージャーとして、まだ足りないスキルが多くありますが、自分ならではのバリューを発揮し、開発生産性の高さにコミットしていきたいです。若いメンバーで構成されているチームなので、まずは育成にしっかり取り組みたいと考えています。
 

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