技術の専門性を、事業成果につなげる。新卒から挑む「ビジネスリードエンジニア」という選択肢
サイバーエージェントは2028年度新卒採用から、「ビジネスリードエンジニア(AI・データ)」の採用枠を新設し、募集を開始しました。
これまで「機械学習エンジニア」「データサイエンティスト」として募集してきたAI・データ領域の新卒採用は、「ビジネスリードエンジニア(AI・データ)」と「テックリードエンジニア(AI・データ)」の2つの採用枠に分かれます。どちらもAI・データの専門性を活かすエンジニア職です。
ビジネスリードエンジニアとはどんなキャリアなのか。なぜ今、新設するのか。テックリードエンジニアとは何が違うのか。開発責任者と事業責任者を兼ねてプロダクトを立ち上げてきた執行役員の木村と、新卒エンジニア採用を担当する宝田に聞きました。
Profile
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宝田 靖広
技術人事室 新卒エンジニア採用担当 / CA Tech Lounge 室長
2019年(株)サイバーエージェントに新卒入社。AI事業本部で新規事業のプランナー・営業を経験し、2021年に同本部の人事へ。2022年に技術人事本部(現・技術人事室)へ異動し、新卒エンジニア採用に従事。現在は、エンジニアを志す人のための学習コミュニティスペース「CA Tech Lounge」の室長も務め、若手の学びと成長を支援する。国家資格キャリアコンサルタント。
技術を武器に、事業成果まで担う ビジネスリードエンジニアの役割
── まず、ビジネスリードエンジニアとはどのようなエンジニアなのか教えてください。
木村:総合的な技術力を土台に事業やプロダクトの現場へ深く関わり、課題発見・要件定義・設計・実装・運用までを一気通貫で担うことで、ビジネスインパクトを創出するエンジニアです。
「どうつくるか」だけでなく、「何をつくるべきか」「どの課題を解決すべきか」から主体的に考えます。ビジネスに軸足を移すのではなく、技術を武器に事業を前に進めていくキャリアです。
── 具体的には、どのような仕事をするのでしょうか。自ら手を動かして、設計や実装に携わる機会もありますか。
木村:もちろんあります。私が所属するAI事業本部では、企業向けのプロダクトを多く手がけています。事業の成長に必要な機能がまだ実現できていなければ、もちろん自ら設計・実装します。
一方で、企業向けのプロダクトはつくって終わりではありません。営業担当が提案し、顧客企業に導入され、日々使われて初めて成果につながります。
解決できるはずの課題があるのにユーザーにうまく伝わっていなかったり、機能がうまく活用されていない場合は、ログデータやヒアリングから実際の使われ方を把握し、どこで詰まっているのかを突き止めます。
機能の改善で解決することもあれば、周辺の業務プロセスの見直しを支援することもあります。営業担当のデータ分析を支援する自律型エージェントや、問い合わせ対応を効率化するAIエージェントをつくることもあります。
プロダクトの外側にある課題でも、解決の手段はやはり技術です。課題に合わせて、技術を活かす範囲を広げていく。それがビジネスリードエンジニアです。
── プロダクトマネージャーや事業責任者とは、どう違うのでしょうか。
木村:担う役割には重なる部分はあります。違いは、技術の専門性と、自ら設計・実装できる力を土台にしている点です。課題解決に必要であれば企画や顧客への提案にも関わり、その中でプロダクトマネージャーや事業責任者を兼任することもあります。たとえば、「価格エージェント」を推進する藤田も、事業責任者とシニアデータサイエンティストを兼ねながら、ビジネスリードエンジニアのキャリアを歩んでいます。
── 木村さんのキャリアも、まさにビジネスリードエンジニアに近いように見えます。
木村:振り返ると、私自身も、技術を軸に事業の課題に向き合うという意味で、ビジネスリードエンジニアに近いキャリアを歩んできたと思います。
たとえば、スマートフォン向け広告配信サービス「Dynalyst」に携わっていたときは、開発責任者の立場で、事業責任者に近い意思決定をしていた時期もありました。
技術が事業と密接に関わっていたため、顧客との対話を通じて、どのようなターゲティング技術が広告効果につながるのか、理解を深めていました。そこで必要だと分かった機能を開発チームに持ち帰り、実装して、実際の広告配信で効果を確かめることもありました。
そうした関わりの中で、広告効果を高める方法だけでなく、顧客が広告予算を投じるかどうかを判断するには、どんな情報が必要なのかも見えてきました。ビジネスの現場に深く入り込んだからこそ得られた気付きは、多かったと思います。
なぜ今、ビジネスリードエンジニアなのか
── なぜ今、このキャリアを定義し、採用枠を新設したのでしょうか。
木村:AIの急速な発展により、この1年で開発生産性は私たちの予想を上回るペースで向上しています。サイバーエージェントでも、2028年までに開発プロセスの完全自動化を目指しています。
「つくる」こと自体のハードルが下がる一方で、「何をつくれば事業が伸びるのか」「つくったものをどうユーザーに届け、成果を出すのか」という問いの重みは、むしろ増しています。
その問いに技術で答えられるエンジニアが、これからの事業には欠かせません。構想を形にするスピードが上がった今だからこそ、エンジニアは「真の課題は何か」を考える段階から関わり、より大きな価値を生み出せると考えています。
そうしたエンジニアをもっと増やしたい。その思いが、エンジニア向け評価制度「JBキャリアプログラム」の刷新と、ビジネスリードエンジニアというキャリアの定義につながりました。
同プログラムでは、エンジニアとしてのキャリアである「エキスパートエンジニア」「テックリードエンジニア」「ビジネスリードエンジニア」と、マネジメントのキャリアである「エンジニアリングマネージャー」の4つを定義しています。
── 新卒採用でビジネスリードエンジニアを独立した採用枠にしているのは、AI・データ領域のみです。なぜでしょうか。
宝田:AI・データ領域では、どの技術を使うかと同じくらい、「何を予測するか」「どの指標で効果を測るか」という課題の定義が事業成果を左右します。
そのため、ビジネス職と連携したり、顧客との商談に参加したりしながら課題を見つけ、技術を活かした解決策を実装し、実際に事業の成果につながったかを確かめるところまで取り組む社員が多くいます。前述の藤田のように、技術の専門性を活かしながら事業責任者として活躍する社員もいます。
AI・データ領域の専門性を活かして、ビジネスリードエンジニアというキャリアを歩めることを知っていただきたいと考え、独立した採用枠を設けました。
なお、AI・データ以外の領域でも、入社後に「JBキャリアプログラム」を通じてビジネスリードエンジニアを目指すことができます。
テックリードエンジニアとの違いと、採用枠の選び方
── 同じAI・データ領域のテックリードエンジニアとは、何が違うのでしょうか。
宝田:どちらもAI・データの専門性を活かし、自ら開発・実装を担いながら、事業やプロダクトの成長に貢献する点は同じです。採用枠による優劣もありません。
ビジネスリードエンジニアは、事業や顧客の現場に入り、何をつくり、何を変えるべきかを考えて実行します。自ら設計・実装し、必要に応じて営業や顧客への提案にも関わりながら、事業成果につながるまで取り組みます。
テックリードエンジニアは、技術的な意思決定やアーキテクチャの設計を通じて、プロダクトの品質と開発プロセスを高めます。技術選定から設計・実装・運用までをリードし、チームの技術成果に責任を持ちます。
迷う場合は、次のどちらに近い考えを持っているか比較してみてください。
ビジネスリードエンジニアに近い志向
・事業や顧客の現場で課題を見つけ、「何をつくるべきか」から考えたい
・自ら設計・実装し、現場への導入や運用まで関わって、課題を解決したい
・売上の拡大やコストの削減など、事業への効果を確かめ、成果につながるまで改善したい
テックリードエンジニアに近い志向
・事業やプロダクトの目標を踏まえ、性能・拡張性・運用のしやすさを考えて技術や設計を選びたい
・自分の実装だけでなく、チーム全体の開発・運用をリードし、品質と信頼性を高めたい
・AI活用や自動化、開発基盤の整備を通じて、チームが継続的に良いプロダクトを届けられるようにしたい
両方に当てはまる方もいますし、応募時点で将来のキャリアの方向性が固まっている必要はありません。これから挑戦したいことも含めて考えてみてください。
── 併願や、選考途中での変更はできますか。
宝田:併願はできませんが、選考途中でもご本人の意向に応じて変更できます。その場合、選考フローが一部変わる可能性があります。ご本人の適性に応じて、私たちから変更をご提案することもあります。
選考を通じて仕事内容への理解が深まったり、ご自身が取り組みたいことが具体的になったりすることもあると思います。迷いや志向の変化があれば、遠慮なく選考の中でお話しいただきたいですね。
新卒に求める素養と、成長を支える環境
── 新卒から事業の課題解決を主体的に進めるのは、難しそうな印象もあります。
宝田:具体的な事例は記事の最後でご紹介しますが、サイバーエージェントではすでにビジネスリードエンジニアが多く活躍しています。
技術を磨くことと事業への理解を深めることの両方が、技術を成果につなげる力になる。そう考えてキャリアを歩みたい方と、新卒の段階から出会いたいと考えています。
── 入社後は、何から経験を積むのでしょうか。
木村:まずは、携わる事業の仕組みや課題を理解するところからです。チームの一員として先輩と一緒に課題に向き合い、どこに手を加えれば事業価値が生まれるのかを考え、仮説を立てて、AIの活用や機能実装などで解決に取り組みます。
最初は本人の専門性で貢献できる部分を任せ、できることが増えるにつれて、プロダクトの周辺にある業務プロセスなどへ関わる範囲を広げていきます。事業への貢献の仕方は、人によって得意なやり方が違うはずなので、それを見つけられるよう支援していきたいと思っています。
── 成長を支える仕組みや、組織づくりについても教えてください。
宝田:全職種共通の「トレーナー・トレーニー制度」があり、配属後はトレーナー社員が業務や目標の進捗を一緒に確認しながら、独り立ちを支援します。
また、ビジネスリードエンジニアの育成・採用を担う専門組織「Business Bridge室」も設立しました。事業やプロダクトの課題に対して、適切な人材が早期に参画できる仕組みを整えています。
木村:組織の面では、「iOSの開発を担うチーム」のような技術領域の区切りだけでなく、「サービスの視聴時間を伸ばすチーム」のように事業上の目的を軸にすることで、エンジニアが領域を横断して課題解決を実行できるようにしていきたいと考えています。
正直に言うと、今はその土壌づくりを進めている段階です。ただ、裏を返せば、新卒で入社する皆さんが、このキャリアのあり方や組織そのものを一緒につくっていけるということでもあります。その挑戦を一緒に面白がってくれる人に、ぜひ来てほしいですね。
── 応募時点で、ビジネス経験は必要でしょうか。
宝田:ビジネス経験は必須ではありませんが、AI・データに関する経験や知識は必要です。ビジネスの知識や経験は、入社後に現場で、トレーナーやチームの先輩と一緒に身につけていけば大丈夫です。
私たちが大切にしているのは、技術を活かして事業に貢献したいという志向です。たとえば、こんな経験も立派な素養です。
・研究で「この手法は世の中のどんな課題に役立つか」を考えたことがある
・つくったアプリやツールを誰かに使ってもらい、フィードバックをもとに改善したことがある
・研究室やサークルで困っていることを見つけ、技術を使って解決したことがある
── 選考では何を重視していますか。応募に向けた準備も教えてください。
宝田:面接は基本的に4回で、選考フローはテックリードエンジニアと共通です。一方、面接での質問は、それぞれの採用枠に求めるスキル・能力に応じて異なります。
ビジネスリードエンジニアの選考では、技術面の経験や知識に加えて、研究や開発で「何を課題と捉え、なぜそれを解決する必要があると考えたのか」「解決に向けて、自分の技術や知識をどう活かしたのか」を伺います。チームでの取り組みであれば、ご自身が何を担って前に進めたのかも知りたいですね。
あわせて、「将来、技術を用いてどのようなことを実現したいのか」「なぜサイバーエージェントで挑戦したいのか」も、ご自身の言葉で整理しておいていただけるとよいと思います。
── 配属や、入社後のキャリアの方向性はどう決まりますか。
宝田:配属は、ご本人の希望を伺ったうえで、選考や内定者期間を通じて事業との相性などを見て判断します。キャリアも一度選んだ方向に固定されるものではなく、経験や志向の変化に応じて、採用枠と異なるキャリアを目指す選択もできます。
── 最後に、学生の皆さんへメッセージをお願いします。
木村:学生時代に磨いた専門性は、論文や精度の数字の中だけで終わるものではありません。その技術で事業を動かし、世の中に届いたときの手応えは、何物にも代えがたいものです。AIによって「つくる」ことの意味が大きく変わっている今だからこそ、技術を武器に事業の真ん中に立つ価値は大きい。ビジネスリードエンジニアという新しいキャリアを、私たちと一緒につくっていきましょう。
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本記事では、嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学の学長 江村氏と、サイバーエージェント執行役員/クリエイティブ担当の佐藤の対談を通じて、連携の背景や京都で取り組む意義、次世代クリエイターの育成についてお届けします。