アニメ制作の新時代を切り拓く「CA Soa」 クリエイターと描く未来

世界市場で存在感を増す日本のアニメ。その制作現場において、クリエイターの情熱を土台としつつ、より良い創作環境や制作プロセスへの期待が高まっています。
サイバーエージェントは、この期待に応え、アニメ業界の持続的な発展に貢献すべく、新たなアニメ制作スタジオ「CA Soa」を設立しました。
「クリエイターが真に輝ける環境」と「テクノロジーによる制作プロセスの革新」を掲げ、同社代表でアニメプロデューサーの小川、アニメーター有澤が描く“理想のものづくり”とは。設立の想いと未来への展望を聞きました。
「本気で理想の現場を」― CA Soa設立に込めた想いと使命
─ まずは、CA Soa設立の経緯や思いをお聞かせください。
小川: 設立の思いは2つあります。1つは、「質の高いアニメ作品を、クリエイターが安心して制作に集中できる環境で作り上げたい」という純粋な願い。もう1つは「信頼できる仲間たちと再び同じ志で新しい挑戦ができる場所を創りたい」という強い気持ちです。
その転機が訪れたのが約1年前です。サイバーエージェントの山内さんから「企画から制作まで一貫して手がけ、制作環境から理想を追求するスタジオを立ち上げませんか」と提案をいただきました。
このバックアップ体制なら「本気で理想の現場を作れる」と直感し、有澤くんをはじめ信頼するクリエイターに声をかけ、設立準備を進めてきました。
─ 設立によって、どのような未来を描いていますか?
小川:私たちが目指すのは「クリエイターが真に輝ける制作環境の実現」と、そこから生まれる「世界を魅了する高品質なアニメの継続的な創出」です。
日本のアニメは世界で高く評価され、表現も作画も日々進化しています。
この素晴らしい文化を未来へ繋ぐため、CA Soaはクリエイターのポテンシャルを最大限引き出す仕組みと環境づくりに力を入れていきます。
そうした取り組みが、質の高い作品を生み出すことにつながり、ひいてはアニメ業界全体のさらなる発展に少しでも貢献できればと考えています。

私自身アニメーション業界に携わって20年を超えましたが、その経験から、個々の情熱や才能を組織として生かせる伸びしろが現場にはまだあると感じます。
チームで知恵を共有し、スムーズに力を発揮できる体制、そして市場拡大の恩恵がクリエイターへ適切に還元される仕組み。これらが本当に重要だと考えています。
ですからCA Soaでは「クリエイターファースト」を徹底して、彼らが安心して創作に集中し、努力が報われ、現場主導で良い作品を追求できる、そんな新しい制作の形を示していきたいと思っています。
─ 有澤さんは、どのような期待を寄せてCA Soaに参加しましたか?
有澤:小川さんの「制作現場を根本からより良くする」という考えに強く共感しました。
特に「クリエイターファースト」は私たち作り手にとって心強く、ライフスタイルを大切にしながら質の高い作品を生み出していける…そういう理想の働き方ができるんじゃないかという期待があります。
私はこれまでフリーランスとして様々な現場を経験しましたが、もっと深く、腰を据えて作品づくりに関わりたいと常に思っていました。制作の効率化とクリエイティブの追求、その両立を目指すCA Soaで、自分もその一翼を担えるというのは、すごく楽しみです。
クリエイター主導の制作と、それを支えるテクノロジー

─ クリエイターファーストとテクノロジー活用の具体策を教えてください。
小川:CA Soaのクリエイターファーストは、単なるスローガンではなく、最高のパフォーマンスを発揮できる環境を制度や仕組みから本気で構築する、ということです。
サイバーエージェントの強固な経営基盤があるからこそ、バックオフィス業務やビジネス面でのサポート体制を強化できるのはもちろん、CA Soaの経営会議にはサイバーエージェントの各事業のプロフェッショナルも参加し、「いかに良い作品を生み、ヒットさせるか」を共に考えてくれています。
グループのアセットを持ち寄り、フラットな目線で議論できるのは非常に心強いですね。
そうしたサポート体制があるからこそ、私たちはクリエイターが専門外の業務に煩わされることなく創作活動に没頭できる環境を整えることに注力できます。
また、このスタジオの立地においても、クリエイターの働きやすさを考慮しつつ固定コストを抑制し、生まれた原資は報酬や制作環境の充実に還元します。これは、かつての業界の良き利益還元文化を現代的に仕組み化する試みです。
そして、このクリエイターファーストな環境を、テクノロジーでも強力に後押しします。
グループ内には技術者の専門組織があって、現場の声を丁寧に聞きながらクリエイターを支える技術を開発しています。
CA Soaもグループが持つ技術やDXの知見を積極的に導入して、制作の「見える化」で情報共有を円滑にし、データに基づく的確な意思決定を支援します。
ここで得た新しい知見を、いずれはグループ全体へ良い形でフィードバックできたら理想的だと考えています。
ただ、大前提として、テクノロジーはクリエイターを支える手段であり、主役は常にクリエイターです。
─ テクノロジーの導入は、クリエイターの仕事にどう影響しますか?
小川:例えばAIには単純作業や補助業務を担ってもらい、クリエイターは作画や演出といった、創造性の核となる部分に集中できます。AIが全てを行うのではなく、人間の創造性を最大限引き出す「下支え」をする、というスタンスです。
特に新しい作品や、キャラクターの細やかな表情、感情の機微は、AIだけでは表現しきれません。ここがクリエイターの技術と感性が最も輝く領域であり、CA Soaの強みです。

有澤:新しい技術に期待と不安を感じるクリエイターもいるかもしれません。しかし小川さんが話すように、ここでは現場の良さや手仕事の価値を重視しています。
効率化はテクノロジーの力を借りつつ、そこで生まれた余力は人間の感性が求められる部分、例えばキャラクターのアップの緻密な描き込みや画面全体の空気感など、手描きならではの表現に最大限投入できます。
実際、視聴者も手描きとそうでないものでは感じ方が異なると言います。「人の手による熱量」や「表現の機微」はAIでは再現できないですし、そこは私たちが守り継承すべき大切な部分です。特に若いクリエイターには、この価値を伝えていきたいと強く思います。
クリエイターと描く、世界への未来図
─ CA Soaでは、どのような方々と一緒にものづくりをしたいですか?
小川:現状に疑問を持ち「より良いものを追求したい」という探究心と熱意のある方です。
アニメ業界には素晴らしい歴史がありますが、旧来の慣習に捉われず、新しい視点で制作現場の仕組みや働き方をアップデートする意欲が今こそ必要です。
CA Soaは皆で文化を創る、アイデアを形にしやすいスタジオです。「より良い現場で良い作品を」という純粋な想いと、新価値を共に創造する気概を持ち、課題解決を楽しみながら創作の原点を大切にできる方。そんな仲間とチームで知恵を出し合う文化を育みたいです。

─ 有澤さんはいかがですか?
有澤:「アニメが好き」「ものづくりが楽しい」という純粋な気持ちと探究心が何より大切です。
そうした向上心を持つ方にとって、ここは刺激的な環境です。
そして、「何のために創るか」という本質を考えることが今後より重要になってくると感じます。
CA Soaでは「心から愛情を注げる作品と現場」を皆さんと築きたい。人の持っている表現の力を信じて、新しい手法にも情熱を注いでいける、そんな方々と一緒に素晴らしい作品作りに邁進したいです。
─ 最後に、CA Soaが目指す今後のビジョンをお願いします。
小川:まず盤石な制作体制で信頼を得て、将来的にはオリジナル作品へ挑戦します。クリエイターが主役で、本当に良いものを作るという信念で、世界に通用する作品を目指します。
今、業界では“現場主導のアップデート”が求められています。
CA Soa発の新しい仕組みやカルチャーが業界の良い刺激となり発展に貢献できるよう、「クリエイターの価値」と「素晴らしい作品が生まれる環境」を何よりも大切にし、業界の進化をリードしたいです。
有澤:「何を目指し、どのような仲間と、どう働くか」が一層重要になる時代です。
本気でものづくりを突き詰め新たな挑戦をしたい方に、CA Soaは可能性と刺激を提供します。業界全体を“自分事”として捉え、未来志向のクリエイターと共に発展していける、そんな場所でありたいですね。
CA Soa 採用情報 https://ca-soa.com/#recruit

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