「若手が会社の未来をつくる」という意思を繋ぐ
― 若手横断組織「YMCA」10年の歩み ―
サイバーエージェントの成長を支えるのは、抜擢の文化を大切に受け継ぎながら、時代に合わせて変化させ続ける「場」の存在にあります。
前編に続き、YMCAメンバーが自ら取材した本連載。後編では、専務執行役員 石田が語った「若手は競争力の源泉である」という思想を、現場でいかに具体化してきたのかを掘り下げます。本組織の初代理事と現理事・副理事へのインタビューを通し、抜擢を「仕組み」として定着させてきた10年の歩みと、次世代へ繋ぐビジョンに迫ります。
抜擢を仕組みに変える「YMCA」の挑戦
― 2014年の発足当時、どのような背景からこの組織は生まれたのでしょうか。
きっかけは2014年の「あした会議」でした。あした会議は、役員がリーダーとなってメンバー数名を選び、会社の課題や未来をつくる提案を社長に向けて行う場です。そこで「YMCA」の共同創業者である宮田岳(現執行役員)がYMCAの骨子となる案を提案しました。当時、若手社員が急増するフェーズにあり、彼らが全社視点で議論し、熱量をぶつけ合える「場」の必要性を感じていたんです。抜擢の文化はありましたが、組織が拡大するほど、個々の「名前・顔・強み」を経営側が細やかに把握しきれなくなる懸念がありました。
―その距離を埋めるために、なぜ横断組織が必要だったのですか?
事業部ごとの縦割りでは、視座がその領域内に閉じてしまいます。そこで、会社の中に「青年会議所」のような、若手が主体となって全社経営を議論できる場を設計しました。現場の枠を超え、優秀な若手から役員へのダイレクトなパスをつくる。個々の熱量を全社的な視点で束ね、自らの意志を経営陣に証明していくための、媒介が必要でした。
―「YMCA」が担う役割とは何でしょう。
一言で言えば、役員と若手を繋ぐ機会創りです。具体的には、優秀な若手を漏れなく発掘し、覚醒する抜擢機会の提供に繋がればと思っています。例えば、後に次世代経営候補を選抜する「BREAK8」へと繋がるような育成プログラムを、役員と共に創り上げる。単に教わるのではなく、育成の場そのものを役員と共創することで、経営陣は若手のリアルな熱量に触れ、若手は経営の思考プロセスを肌で感じ、新たなリーダーの抜擢に直結していく。育成をそのまま経営の実行力へと転換する循環を目指して設計しました。
「未来をつくる」という視点を引き継ぐ
写真左:小倉匡人 2019年4月 新卒入社。インターネット広告事業部の小売DX部門で営業マネージャーを経て、2021年に株式会社サイバーエージェントDXの経営ボードとして立ち上げに従事。2024年からは広告事業部に戻り、次世代メディア本部を立ち上げ、自社プロダクトの営業局長に就任。2025年よりYMCA10期 理事に就任。
写真右:小倉大知 2019年4月 新卒入社。音楽配信サービス「AWA」でUIデザインを中心にデザイン業務を担当後、2021年に競輪・オートレースの投票サービス「WINTICKET」に参画。2023年より同サービスのクリエイティブ責任者を務める。2025年よりYMCA10期 副理事に就任。
―「YMCA」の活動に触れるなかで、特に印象に残っている思想は何ですか?
小倉匡人: 発足当初から掲げてきた「存在意義」です。単に若手が集まって交流する場ではなく、役割で成果を出すのは当然とした上で、そこから一歩踏み込んで「会社への貢献度をどう高めるか」「自身の成長スピードをいかに引き上げるか」という視点が、思想として組み込まれていました。改めて原点にある思想設計の強固さを再認識しましたね。
―副理事を務める小倉大知さんは、クリエイターの視点からどう感じていましたか?
小倉大知: 私はデザイナーとして関わり始めましたが、当初は「担当事業外で制作の幅を広げる機会になれば」というフラットな気持ちでした。しかし、組織設計の議論に加わるようになったことは大きな転換点でした。クリエイターやエンジニアは自身の専門性を追求することに誇りを持っていますが、そこに加えて、石田の話にもあった「会社全体を自分事として捉える視座」を持つことでアウトプットの幅が広がっていきました。一見専門性の外にあると感じるこの視点が、結果的に自身のアウトプットのクオリティや説得力につながってくることを、後輩たちにも経験して欲しいなと思います。
―第10期では、どのようなことを意識しましたか?
小倉匡人: 各事業部でリーダーを務める同世代のメンバーをどう結束させ、一つのビジョンに向かって走れるか。歴代の理事が繋いできたバトンの重さを感じつつ、まずは骨格となるビジョンを策定し、「何を守り、何を変えないか」を定めることに注力しました。
多様化する時代に、結束を「姿勢」として繋ぐ
―変化の激しい時代において、いま改めて次世代へ繋ごうとしている核は何でしょうか。
小倉匡人: 「若手が自ら会社の未来を考える」というビジョンです。事業や組織の規模が拡大し、第二経営体制へと移っていく中でも、若手が自ら会社の未来を考え、実行し、経営に参画する。そんな「若手の会社への当事者意識と行動力」こそが、サイバーエージェントの競争力の源泉です。このサイクルを絶やさず、体現し続けることだと考えています。
―組織の多様化が進むなかで、運営のあり方はどう変化しましたか?
小倉匡人: 規模の原理で、共通言語や一体感を生むことは以前より難しくなっています。だからこそ今期は、運営メンバー自身の「結束力を高めること」に注力しました。徹底したビジョンや施策方針の共有、役員との接点作りなど細かい積み重ねが、リーダーのロイヤリティや熱量を高め、結果として社員全体へ伝播していく。現在のフェーズでは、この地道なプロセスが最も重要だと考えています。
―最後に、これからの「YMCA」はどんな場であってほしいですか?
小倉大知: AI時代だからこそ「自ら問いを立てる力」が重要になります。職種に関係なく、どこよりも早く手を挙げる組織でありたい。挑戦する文化を、「YMCA」が最も体現し続けたいと思います。
小倉匡人: 若手が会社の未来をつくる、“震源地”であること。そして10年後、20年後に共に経営を支え合う“未来の経営同期”と出会える場であり続けて欲しいです。
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サイバーエージェントには、若手の抜擢や挑戦を後押しする文化が根付いています。しかし、それらが一過性の施策で終わらず、人材の成長を促し続けている背景には、個々の制度を支える「土壌」の設計があります。
今回は、2016年の発足から若手活性を目的として活動を続ける全社横断組織「YMCA」にフォーカス。10年目の節目に、メンバー自らが企画・インタビューを行いました。
前編では、専務執行役員 人事本部長の石田裕子に、なぜ当社では若手が育ち続けるのか、その裏側にある「組織づくりの設計思想」を紐解きます。
※「YMCA」:20代社員の成長を目的とした、全社横断組織。ヤングマンサイバーエージェントの頭文字から。