「ABEMA」が次世代クリエイターと挑む、新しいアニメ創出の形
SNS発の自主制作アニメが世界的な注目を集め、劇場公開など商業展開の事例も増えています。こうした市場変化を捉え、「ABEMA」が始動させたのが「Project PRISMation」です。
アニメのオリジナル番組やイベント等を通じてクリエイターにスポットを当ててきた「ABEMA」。本プロジェクトでは、個人や少数精鋭の作家とパイロットフィルムを共作し、物語作りからクリエイティブ面まで全面的にサポートします。
第1弾作品『Poppin-Play Kitchen』が公開わずか10日で100万再生を突破し、現在は200万再生を超える※など、国際的な映画広告賞にもノミネートされ早くも国境を越えて反響が届いている本プロジェクト。数値や効率を超えた「個」の熱量をどう守り、世界へ届けるのか。牽引役のプロデューサー團にその真髄を聞きました。
※2026年4月17日時点
「個」の才能を一過性で終わらせず、アニメIPを育てる
ー まず、このプロジェクトが始動した背景を教えてください。
自主制作アニメの文化は以前からありましたが、ここ数年、SNSを通じて「個」の力が市場を動かす時代になりました。海外では『Hazbin Hotel』、国内でも『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』のように、YouTubeから世界的ヒットが生まれる事例も出てきています。こうした流れを、「ABEMA」というメディアの力を使って最大化できないかと考えたのがきっかけです。
これまで「ABEMA」では、アニメ作品の配信に加えて、『声優と夜あそび』や『SHIBUYA ANIME BASE』といったオリジナル番組、さらにはオフラインの『ABEMAアニメ祭』などにおいて、クリエイターの方々に焦点を当てた企画を積極的に展開してきた経緯があります。その土壌を生かし、アニメ作品の配信や番組制作で培ったノウハウを掛け合わせることで、次世代の才能と共に「一過性のバズで終わらない、心に残るアニメ作品」を創出し、資産として育てていくことを目指しています。
ー このプロジェクトは、團さん自身の社内提案から始まったそうですね。
はい。2020年に入社し、「ABEMA」のアニメ部門でキャリアを積む中で、自分だからこそ挑戦できる領域として「オリジナルアニメの創出」を提案しました。元々、一人のファンとしてSNSで作家さんを追いかけることが大好きだったんです。
彼らの圧倒的な感性に触れ続けてきたからこそ、「ABEMA」というプラットフォームがあれば、作品を単なる「投稿」で終わらせず、クリエイター自身にしっかりと還元される仕組みを作り、次へ繋がる持続可能な作品へと育てていけるという確信がありました。
プロジェクト名の「Project PRISMation」は「PRISM(プリズム)」と「Animation(アニメーション)」に由来しており、多彩な才能(プリズム)が集まりアニメ作品として光輝く場所を提供したいという想いを込めています。
「独占」よりも「拡散」。100人へのDMから見出す唯一無二の才能
ー 参加クリエイターの選定は、どのように行っているのでしょうか?
SNSなどを隅々までチェックし、素敵だと思った方には国籍を問わずDMやメールで直接コンタクトを取っています。これまでに100人以上の方とお話ししてきました。
重視するのはフォロワー数といった数字のみではなく、「この人にしか描けない独自の世界観があるか」「一度見たら忘れられない魅力的なキャラクターがいるか」「数分の映像でもう一度見たくなるような中毒性があるか」といった点です。
現在は、タイを拠点に活動するZemyataさん、武蔵野美術大学映像学科卒のメンバーを中心に結成されたアニメーション制作集団・うぐいす工房、そしてRaPisさんとTusさんの2人からなるベトナム在住のクリエイターユニット・rapitusの3組を含め、計10組のクリエイターとプロジェクトを進行しています。
ー 作品の配信を「ABEMA」独占にしない理由は?
インディーアニメはSNSの口コミから火がつくため、まずは広く知ってもらうことを最優先しています。そのため、あえて「ABEMA」独占にはこだわらず、尺を4~7分程度の「パイロット版」としてSNSでも公開し、反応をダイレクトに確認するようにしています。
第1弾として公開したオリジナルアニメのパイロットフィルム『Poppin-Play Kitchen』(原案・監督・脚本・制作:Zemyata)が、公開からわずか10日で100万再生を超え、現在もその勢いのまま200万再生を突破。あわせて国際的な映像広告賞『第47回テリー賞 People's Telly部門』にノミネートされました。
「個」の感性を突き詰めた作品が、瞬時に国境を越えてクオリティまでも認められる。スピード感をもってコメント欄のリアルな熱量を確認してから、続編制作や追加投資を検討できる。このファンと共に作品を育てていく仕組みによって、ファンの皆さんが何を求めているかを丁寧に汲み取りながら、より確実な作品づくりに繋げていきたいと考えています。
「編集者」として並走。作家の熱量を守り、創作に集中できる環境を築く
ー 制作体制において本プロジェクトが担う役割は何でしょうか。
私たちの役割は、漫画における「編集者」に近いです。
クリエイターのオリジナリティを核に据えつつ、ストーリー構成などを一緒にブラッシュアップしていきます。今回は制作子会社を介さず「1対1」の体制で作り上げました。製作委員会方式と比較して非常に短いスピード感で進められることが特長である一方、個人制作ゆえのペースは尊重し、それぞれの歩幅に合わせて小回りを利かせながら進めています。
そのようなプロデュース面でのサポートに加え、SNSを中心としたPRや映画祭出品などの煩雑な事務作業を全面的に担い、クリエイターが「創作活動のみ」に没頭し、その才能を最大限に発揮できる体制を敷いています。
実制作面では、パイロット版の制作費補助や、プロの声優キャスティングや音響・BGM制作、さらには翻訳までを支援し、作品を高品質に仕上げるための環境を整えています。
実制作後は、サイバーエージェントグループのアセットを使ったマーケティング、ビジネス面でのサポートも行い、すでにいくつかの展開が決定しています。
ー クリエイターとの関係において、大切にしていることは何ですか?
何よりも「純粋な創作意欲を尊重すること」です。作品の権利についても、プロジェクト側で責任を持って展開しつつ、クリエイターの意向を最優先するスタンスを徹底しています。また、二次利用収益をロイヤリティとして適正に配分する仕組みも整えました。クリエイターが安心して次作へ向かえるような、持続可能な協力体制を築いていきたいです。
将来的には、次世代のクリエイターが持つ圧倒的な才能を、世界が注目する作品へと昇華させ「Project PRISMationというプロジェクト自体を応援したい」と思ってもらえるようなプラットフォームへ育てていきたいです。その挑戦が、アニメ業界全体の発展へと繋がることを信じています。
「Project PRISMation」において、初のリアルイベント「PRISMation Film Fes. 2026」を開催します。
厳選された傑作群23作品を劇場の巨大スクリーンで特別上映するほか、注目のクリエイター 見里朝希、玉川真吾、藍にいならによるスペシャルトークを実施。さらに、本イベントでは「Project PRISMation」に関する重大発表を世界最速で公開するほか、会場限定のオリジナルグッズ販売も行います。
■「PRISMation Film Fes. 2026」開催概要
日程:2026年5月17日(日)【第1部】開場14時30分/開演15時 【第2部】開場18時15分/開演18時45分
会場:ユナイテッド・シネマ豊洲(シアター10)
チケット価格:3,500円(税込)
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(※)DTP(Desktop Publishing): パソコン上で印刷物のレイアウト設計を行い、原稿作成から編集、デザインまでを完結させること。ミリ単位の配置指定や印刷用の特殊なデータ構造など、独自の専門技能が求められる。