サイバーエージェントの“自走する”人材育成
ー挑戦する企業文化ー
人材が大きな競争力であり、企業成長の源泉と考える当社。
いわずもがな人材育成に力をいれていますが、育成施策だけではなく、人が育つ土壌、企業文化が何より大事だと考えています。
当社の育成方針や、大切にしている「セルフ・リーダーシップ」「自由と自己責任」といった考え方、88.6%※の社員が「働きがいがある」と答える理由等について、専務執行役員 石田に聞きました。
※ サイバーエージェント単体 「2022年度ストレスチェック」より
「企業文化」が人材育成の土壌
─ サイバーエージェントの人材育成方針とは。
当社は「決断経験が人を育てる」と考え、自ら主体性を持って決断し、自走できる人材育成を目指しています。
そのために、一人一人の才能を見つけて能力やスキルを活かし、またその才能を伸ばすためのミッションや機会を提供する。その中で様々な経験や知識を身に着け、失敗も次に繋げていく、そのすべてを人材育成と捉えています。
もちろん事業・職種ごとに必要な専門知識や、リスクマネジメント、リーダーシップなどを学ぶ様々な研修を全員に行うことは前提です。
ただ、一方的な知識のインプットより、実践でどう成長していけるかという育成計画を各部署、各職種単位で組み、より実務に密接したやり方に重きを置いています。
というのも、環境や技術進歩に適応し多様な事業展開を行う当社では、必要な知識やスキルがどんどん変化していきますし、それだけで人が伸びていくわけではありません。
習得したものを活かす場がないと意味がなく、決断し実行できる機会や環境というような“育成の土壌”が重要だと思います。
当社はインターネット黎明期から、ビジョン「21世紀を代表する会社を創る」を実現するために、新たな市場を開拓し沢山の事業をつくることで会社を成長させてきました。
成功と失敗を繰り返してきた25年の積み重ねが、難易度が高いことにもどんどん挑戦するというカルチャーとして根付いています。
決断決定の数やミッションの難易度の掛け算が個人の成長になります。
達成したミッションは事業の成長につながっていくので、人の成長が会社の成長となる。
そういう個人の成長機会を数多く創出していくことが、育成での大切な事だと考えています。
人材が“勝手に”成長するループが理想
─ 創業以来、オリジナルの育成施策や制度が数多くありますね。
一人一人が自走するために「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」というセルフ・リーダーシップを大切にしています。こと育成に関しても、力を入れている人材の「採用・育成・活性化・適材適所」に必要なことは、自由にやってみようという考えがベースにあります。
なかでも、部署と年次を超えて役員と社員が会社の課題・未来を議論する「あした会議」は、継続的な事業創出や課題解決が主な目的ですが、参加者にとって経営視点を養う絶好の機会という側面も持ち、ここから数多くの取り組みが生まれています。
全社での「あした会議」は基本的に年に1度の開催ですが、各子会社、事業部、局、職種、世代別でも「あした会議」は行われ、多くの社員の育成機会となっています。
社内のヘッドハンティングチーム「キャリアエージェント」や、社員のコンディション・キャリア志向をつかむアンケートシステム「GEPPO」の開発も「あした会議」発。
人材の情報を集約・分析し、そこから見出した社員の才能開花や、適材適所を実現させています。
本人の意志で異動をチャレンジできる社内異動公募制度「キャリチャレ」の運用を担うのも「キャリアエージェント」。応募者の約7割の異動実績を持っています。
ほかには、若手活性組織「YMCA」。
有志の若手メンバーが集まって、20代のトップラインを引き上げるには、自分たちに足りないものは、会社の未来にどんなことがあると良いのか…を自分たちで考えて、決めて、周囲を巻き込みながらどんどん進めます。そしてそれがまた次の世代にも引き継がれていく。この一連のすべてが彼らにとって成長の機会です。
「自由と自己責任」も当社の大切にしている考え方の1つですが、自分のアイデアを自分で実現してもらうことで、モチベーションとコミットを引き出しています。
極端な言い方をすれば、勝手に学び、勝手に挑戦し、勝手に失敗から次へと生かすという、ループが自然に回っていることが理想。そうなれば、人も会社もどんどん成長していきます。
─ 育成について、経営層はどう考えているのでしょうか。
もちろん、経営層の意思も欠かせません。
役員のコミットメントが上がると、育てられる側、つまり社員の熱量や本気度も同時に引き上がっていくからです。
当社では普段から気軽に相談できる関係性があったり、採用活動、懇親会など社内イベントへの役員参加率も高い。社内コミュニケーションの量と質の高さは相当なものだと自負しています。
毎週行われる役員会でも時間の半分を人材戦略に充てています。人に関する情報の共有や、適材適所の決議など、顔写真のついた資料を使ってかなり細かく人材の話をしており、社員数6,000人を超える規模で、ここまで話す会社はそうないと思います。
88.6%の社員が「働きがいがある」
─ 今後さらに会社が成長するために、どういう人材が必要だと考えますか。
会社には目指す未来があって、ビジョンやパーパスで明文化しています。
当社ではあえて抽象的な表現にしているので、それぞれの解釈で、会社の向かう先と自分の未来とを重ね合わせてもらえればと思います。
だから一人一人違っていいんです。
全員に経営者やリーダーを目指してほしいわけではないですし、同質性の高い組織をつくりたいわけではありません。
常務執行役員CHOの曽山も「自分の才能に驚く社員を、1人でも増やしていきたい」と常々話すように、社員のモチベーションや個性を引き出し、自走しながら、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えていきたいと思います。
─ パーパスを制定したことで何か変化はありましたか。
変化の1つとしては、個人のビジョンの解像度が格段に上がりました。
それは内定者、入社1年目、10年目でも同様で、社歴の長さには関係なく、しっかりと意思や実現したいことを持っています。
会社の目指す未来やパーパスに共感し、自身の存在意義との繋がりを感じたことで、モチベーション高く働く社員が増えたのだと思います。
─ 「働きがいがある」と答える社員は88.6%と日本平均と比べてかなり高いですね。
理由は事業、サービス、人、カルチャーが好き...様々だと思いますが、成長実感を感じられる環境だということも大きいと思います。
当社では日常的に、意図的な「抜てき」が行われています。
抜てきとは単に肩書を上げることではなく、小さなことでもいいので、期待して仕事を任せること。決断し、成功や失敗から学ぶというサイクルが自信に繋がっていきます。
そんな風に組織貢献が自分の成長に繋がると実感できると、目線が組織に向き、周りも応援できるようになる。そういった一つ一つが、働きがいにつながってなっていくのだと考えています。
ここまでお話してきたことは全て、「人材が重要な経営資源」だと考える証。
近年、人的資本という考え方が広まっていますが、サイバーエージェントも人材こそが最大の競争力であり、企業成長の源泉です。
これからも、一人一人の活躍の幅を広げ、さらなる企業成長を目指して挑戦を続けていきます。
そうして生まれる新たな事業や価値こそが、活気あふれる社会の実現に繋がると考えています。
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