若手の成長は「抜擢」から。若手抜擢をシステム化する「強化指定社員セレクション会議」とは

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若手の成長は「抜擢」からはじまる。抜擢とは、小さなことでもいいので期待して仕事を任せることで、決断し、成功や失敗から学ぶサイクルが成長につながる。サイバーエージェントが人材育成において大切にしている考えです。

属人化しているものをシステム化し抜擢機会を増やす、新たな取り組みが始まりました。その名も「強化指定社員セレクション会議」。本会議がどのように若手社員の成長を支援し、会社の未来を築くのか、専務執行役員 石田に聞きました。

若手社員の抜擢をシステム化

現在サイバーエージェントでは、引き継ぎ可能な企業とするためにサクセッションプランを策定、実行している最中です。その一環として行ったのが「強化指定社員セレクション会議」。
属人に頼らず、会社全体で優秀な若手を把握し、抜擢し、成長機会を創出するための新たな取り組みです。

「強化指定社員」とは、スポーツの「強化指定選手」に倣ったもの。事業や部署の垣根を超え、社員の適性、能力、思考、人格などを踏まえ、それらをさらに磨くことで、中長期での能力開発を目指しています。

ー具体的にはどのようなことを行ったのでしょうか?

若手をよく知る管理職19名が、それぞれの現場から強化指定社員として若手3名※1を選出し、計57名ついて役員陣にプレゼンしました。プレゼンの内容は、若手の1.経歴、2.本人志向、3.能力開発テーマの3つ。人選や開発テーマなどは管轄の執行役員や人事がオブザーバーとしてサポートしています。

藤田をはじめ専務以上の執行役員がそのプレゼンテーションを聞き、「〇〇さんには、今後こういう経験をさせたほうがいい」「〇〇さんをもっと伸ばすにはこういう能力が必要かも」というように、半日かけてじっくりと議論を重ねました。
これにより、即座に抜擢される場合もあれば、数年のスパンで様々な経験を積ませてキャリアを形成させる計画を立てることもあります。

本会議に先だって、「ポスト版あした会議」という会議も実施。これは、社内で空席になっていたり、誰かが兼務していて集中できていない等、改善余地のあるポストの洗い出しと、人材の成長機会となるような新たなポストを創出することを目的としたものです。これら2パターンで21のポストを捻出しました。

今後、これらのポストと若手のマッチングを進め、成長できる機会を増やしていきます。このように全社視点で、人材の中長期のキャリアや能力開発だけに特化して話す会議は、サイバーエージェント創業以来、初の試みです。
 

ー実施してみていかがでしょうか。

皆で優秀な若手を知ることができた、という点で大成功でした。その証拠に、後日行われた役員合宿や「あした会議※2」で、異動が決まった若手社員が数名います。時間をかけ徹底的に議論したので、脳裏に情報が焼き付いてるんですよね。「あした会議」では、人事案とセットで提案することが多いので、社員を知らないがゆえにスムーズに決議できないこともあった以前と比べ、人事決定のスピードが各段に上がりました。

管理職の「洞察力」も磨かれる

一定の役職以上には、様々なリスクに備えて後任を準備しておく事が定められている企業もあるほど、管理職にとって人材の育成は重要な業務です。
当社では育成が人事評価に組み込まれていますが、効果的なリーダーシップを発揮するためには、管理職の育成も欠かせません。

今回の「強化指定社員セレクション会議」では、プレゼンを行った管理職の洞察力が養われたことも大きな成果です。
当社では経営スキルとして、洞察力を非常に重視しています。これは、有望な事業分野を見抜く能力だけでなく、成長の種を見つけて育てるための人や組織への洞察力も同じくらい重要だという考えに基づいています。
本会議は、管理職が自分のメンバーの能力やキャリア開発についてどれだけ深く考え、理解しているかを図る絶好の機会となりました。
また、他者のプレゼンを聞くことで、育成の見立てなど多くの学びを得られたようです。

今回は若手社員にフォーカスしましたが、技術者を対象とした「技術者版 強化指定社員セレクション会議」の開催も決まりました。当社には優秀な人材が多く存在しているので、各子会社、事業部、職種など社内で広く展開されていくといいですよね。様々な切り口での人材プールが、中長期の会社の成長エンジンになると思います。
 

「強化指定社員セレクション会議」の様子
「強化指定社員セレクション会議」の様子

持続的な事業成長に不可欠なループ

ー「20代成長環境」スコアが高い企業で1位※3になるなど、これまでも当社は抜擢や育成に注力してきた印象があります。

確かに当社には積極的に若手を抜擢する土壌があります。ただ、社員数がグループ全体で8,000名近くなり、新卒もビジネス職だけで約200名入社する現在、従来の洞察力に長けた代表の藤田や各事業の役員、人事の判断中心では、対応が難しくなってきます。
私自身も「若手の抜擢が多い」「若手が活躍している」と評価される一方で、採用レベルが上がり優秀な若手が増えているにも関わらず、全社的に把握しきれていないために若手の抜擢機会が減ってしまうことに危機感を持っていました。

全社で的確に個々の人となりや強みを把握するには、その能力を生かして人材も組織も成長させるには、と試行錯誤を繰り返す中で、属人的な要素をできるだけシステム化していく必要性を強く感じています。

当社には、社内のヘッドハンティングチーム「キャリアエージェント」や、社員のコンディション・キャリア志向を把握するアンケートシステム「Geppo」があり、様々な人材の情報が集まります。そのデータも活用しながら、人材の「①発掘」→「②抽出」→「③抜擢」→「④フィードバック」のループをうまく循環させていきたい。「強化指定セレクション会議」は、その発掘や抽出を担う大きな一手になりうると考えています。

継続的な事業成長に向け、人材とポストの両軸でそれぞれの可能性を最大化するための仕組み作りに尽力していきます。

※1 今回は新卒10年目以下、中途33歳以下のビジネス職が対象
※2 あした(未来)に繋がる新規事業や課題解決の方法などを提案、決議する当社の重要な経営会議
※3 オープンワーク株式会社 「Z世代が評価する『20代成長環境』スコアが高い企業」(2024年8月)

 

   石田 裕子     専務執行役員  
 2004年新卒でサイバーエージェントに入社。 広告事業部門で営業局長・営業統括に就任後、Amebaプロデューサーを経て、2013年及び2014年に2社の100%子会社代表取締役社長に就任。 2016年より執行役員、2020年より専務執行役員に就任。人事管轄採用戦略本部長兼任。
石田 裕子  専務執行役員
2004年新卒でサイバーエージェントに入社。 広告事業部門で営業局長・営業統括に就任後、Amebaプロデューサーを経て、2013年及び2014年に2社の100%子会社代表取締役社長に就任。 2016年より執行役員、2020年より専務執行役員に就任。人事管轄採用戦略本部長兼任。

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