新卒2年目、機械学習エンジニア。
目標に向かって社内外で突き進む
サイバーエージェントでは職種や年次に関わらず、社外のカンファレンスへの参加や、部署の垣根を超えたグループ内の横軸の取り組みを通じて得た知見を、主業務に活かそうと努める技術者が多く在籍しています。
「データの力で誰かを “ちょっと” 幸せにする」という目標の下、担当サービスの開発のみならず、社内外の活動に積極的に携わる2021年新卒入社の橋爪に話を聞きました。
Profile
自分が国際学会に参加しても良いのか、
不安を払拭してくれた先輩の一言
── 現在どのような業務を担当していますか?
マッチングアプリ「タップル」の推薦システムの分析・開発を担当しています。学生時代から、推薦システムと人の出会いに興味を持っており、自ら希望しました。
「タップル」にとって、ユーザー推薦はサービスの根幹であり、重要な役割を担っています。マッチングサービスにおける推薦システムは、ユーザーに一方的にアイテムを推薦するような通常のシステムとは異なり、サービス内の別ユーザーを相互に推薦するシステムが必要です。これは相互推薦と呼ばれており、単純な一方向の好みだけでなく、双方向の好みが関係する部分が特徴的でエンジニアとしては興味深いです。通常の推薦システムだと単方向の好みしか考慮できず、必ずしもマッチングするとは限らないため、双方の好みを考慮して推薦することが重要です。
推薦システムの改善には、推薦アルゴリズムや大規模データ処理、ユーザーの意図を汲んだモデリングなどの深い知識がさらに必要だと業務を通して日々感じていました。また、先輩から「我流で取り組む前に、 “巨人の肩に立つ” ことが大切」だとアドバイスをもらい、まずは最新技術をキャッチアップした上で、自分なりに試行錯誤し開発することの大切さを痛感しました。
── 各技術領域の深い知識、最新技術のキャッチアップの重要性を改めて感じていた際に、推薦システムのトップカンファレンス「RecSys2022」に参加することになったのですね。
同カンファレンスのIndustrial Trackに、担当サービス「タップル」に関連するプロポーザルが採択され、先輩社員に参加してはどうかと勧められたことがきっかけでした。国際学会の参加に興味はあったものの、推薦システムについては勉強し始めたばかりで、自分が発表するわけでもないのに参加して良いのかと正直不安に思っていました。そんな時「聴講だからこそ、学べることもあるよ」「自分も若手の時聴講で参加したことで、大きな刺激を得られた」という先輩方の言葉を思い出し、貴重な機会なので参加を決めました。結果的に、参加したことによって意識が変わり、目標も明確になったので、先輩方に背中を押してもらえて良かったと思っています。
── 参加してみて、どのようなことが印象に残りましたか?
特に印象的だったのは、企業からの論文も多く、研究者だけでなく機械学習エンジニアやデータサイエンティスト等様々な職種の方が多く参加していたことです。「RecSys」は特に企業からの参加者が多い学会だそうで、実務に直結しそうな論文も多くありました。レセプションの際、元々画像処理が専門で、最近推薦システムに取り組み始めた機械学習エンジニアの方とお話する機会があり、自分のキャリアとの共通点を感じ、嬉しく感じました。また、世界的な有名企業のエンジニアとカジュアルに話せたこともありがたかったです。
参考記事(本人執筆のブログ):「RecSys 2022 参加報告」
── 今回の経験を踏まえて、今後どのような対外活動に挑戦していきたいと考えていますか?
国際学会に現地参加させてもらったので、それを次に繋げる意味では、自ら論文を書きたいです。現場のエンジニアとして事業に貢献しながら、論文を書くことは簡単ではないと思っていますが、自分はどちらにも興味があるし、若手の今だからこそ興味のままに突き進んでいきたいと思います。対外活動で得た最新技術の知見を担当事業に還元することで、さらに貢献できる側面もあると思います。どちらも中途半端にはならないよう気をつけ、現場での開発だけでなく学会に参加するからこその自分なりの価値を見出したいです。
これまで、自分程度のレベルで発表しても良いのかと不安に思うことも多かったので、今後は論文に限らず、気負いすぎずに対外的なアウトプットに挑戦し、その機会を増やせればと思います。
── 学生時代からカンファレンスや勉強会には参加していたのでしょうか?
学生時代から好奇心が強く、新しい技術に触れたり人と話すことが好きだったので、様々な会に参加していました。サイバーエージェントに興味を持ったきっかけも、大学4年の時、企業による合同研究カンファレンス「CCSE」に参加したことでした。サイバーエージェントの研究が面白く、運営メンバーとして参加していた社員と話した際、自身の業務についてとても楽しそうにお話する姿が印象的でした。
大学院1年の後半から、コロナ禍でオンライン開催が主流になり、より参加しやすくなったものの、直接話せる機会が少なくなってしまい残念でした。技術的に興味深い話が聴け、刺激を受けられる良い機会だったからです。ただ、そんな中でもカンファレンスがきっかけで、学年や居住地の異なるデータサイエンスを学ぶ学生同士で定期的にZoomで話す機会を設けたりと工夫していました。
最近ではオフライン開催も増えてきたので、たくさんの方と交流を持つことで学びに繋げていきたいです。
組織横断の取り組みだからこそ、
身についたスキル
── 社内で複数の組織横断の取り組みに参加していると聞きました。どのような役割を担っているのでしょうか?
入社1年目に「秋葉原ラボ技術報告書」の編集委員を担当しており、様々な技術に触れられたことが楽しかったため、最近では、当社のAI / データ領域における取組みを紹介する冊子「AI / Data Technology Map」プロジェクトに参加しました。2020年に発行された初版のブラッシュアップと情報更新を目的に、初版の提案者である先輩社員、同期らと共に進めたプロジェクトです。構成変更の提案や、原稿の依頼、収集を行ったり、関係各所と連携する役割を担いました。
「AI / Data Technology Map」が、ブランディングや採用に繋がればと願っています。サイバーエージェントには、グループ内で非常に多くのデータ活用事例があり、私の所属するメディア事業におけるデータ活用も奥深くて面白いですが、その魅力をより一層社外に伝えていく必要があると考えています。この取り組みを通してメディア事業のデータ活用組織について1人でも多くの方に興味を持ってもらい、一緒に楽しく働いてくれる仲間が増えれば嬉しいです。
── 組織横断の取り組みを通して、主業務にも活かせると感じた経験はありますか?
他部署や子会社のメンバーとの繋がりが増えたことです。大きな組織なので、意識的に動かなければ関われない社員が多くいます。例えば同じくML/DSに携わるメンバーであれば、他部署でも同じような課題を抱えていたり、その解決策を知っている場合もあるので、気軽にコミュニケーションを取れるようになったことは魅力の1つと言えると思います。
また、ソフトスキルを学ぶ機会にもなりました。横断活動では自ら提案したり様々な部署の社員と連携する機会が多いため、プロジェクト推進力や決断力、スムーズに連携する術などを学べたと思います。普段の業務で一緒に仕事をする機会のない同期とのやりとりでは、思わず真似したくなるような仕事の進め方を発見できました。横断活動を通して得た知見を主業務に活かすことで、さらに事業貢献できればと考えています。
ユーザーに価値を届けるために、
限界を作らず突き進みたい
── 最後に今後の目標、挑戦したいことを教えてください。
目標は、自分の技術力と課題発見力を高め、データの力で誰かを “ちょっと” 幸せにすることです。技術や対外発表も大切ですが、エンジニアとしてはユーザーに価値を届けることにこだわりたいと思っています。
「タップル」にとって、ユーザー推薦はどのユーザが出会うかを決める重要な役割を担っており、推薦システム改善のためには、アルゴリズムの実装だけでなく、ユーザーの課題を発見するための分析も重要です。さらに、累計会員数が1,500万人を超える大規模サービスのためデータ量が多く、推薦システムでは分散処理などの技術も必要とされています。マッチングサービスは特殊なドメインのため、改善も一筋縄ではいかないのが実情です。ただ、学生時代に共同開発したサービスを色んな方に使ってもらえたことが嬉しくてエンジニアを目指したので、今後も自分が開発した機能で、誰かを少しでも幸せな気持ちにできれば嬉しいです。
挑戦したいことは、戦略性をつけてチームを牽引することです。事業貢献のためには、施策の優先度を適切に決めて実行する力が欠かせません。データで実現できることは多くあるものの、どの施策に見込みがありそうか効果面、工数面で見極めることができないと、効果の少ない施策に時間を費やしてしまう可能性があるからです。そのためには、ドメイン知識と技術力どちらをも兼ね備える必要があると感じているので、日々鍛錬していきたいです。
まだ2年目なので、これからのキャリアがどのように変わっていくかは分かりませんが、自分の考えを日々アップデートし続けながら、限界を作らず突き進んでいければと思います。
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