お客様に選ばれる”企業”、使われる”アプリ”を実現する
テック企業 × 小売企業のパートナーシップ

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AmazonをはじめとするECの台頭によって、顧客がデジタルの買い物に慣れ、小売企業にとっては国内だけでなく海外のデジタル巨大企業も競合となっています。そのような状況下で小売企業にとってDXは、今後顧客に選ばれるための必須条件です。

小売におけるDXで重要なことは、リアルとデジタルを通じて顧客の購買体験をどれだけ便利にできるか。そこで要の一つとなるのが、お客様にとって最も身近でリアルとデジタルを繋ぐ「スマホアプリ」です。アプリを通した顧客体験の向上を共同で進めるサッポロドラッグストアーの富山社長にお話を伺いました。

UIUXを徹底追求、幅広い世代のお客様に「使われる」アプリを目指す

  サツドラホールディングス株式会社 
代表取締役 社長 兼 CEO 
富山 浩樹   
1976年札幌生まれ。札幌の大学を卒業後、日用品卸商社に入社。2007年株式会社サッポロドラッグストアーに入社。営業本部長の傍ら2013年に株式会社リージョナルマーケティングを設立し、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の事業をスタートする。2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年8月にサツドラホールディングス株式会社を設立し代表取締役社長に就任。「地域をつなぎ、日本を未来へ。」のコンセプトのもと、店舗や地域の資産を活かして新たな課題解決型ビジネスの創造を目指す。
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役 社長 兼 CEO
富山 浩樹

1976年札幌生まれ。札幌の大学を卒業後、日用品卸商社に入社。2007年株式会社サッポロドラッグストアーに入社。営業本部長の傍ら2013年に株式会社リージョナルマーケティングを設立し、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の事業をスタートする。2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年8月にサツドラホールディングス株式会社を設立し代表取締役社長に就任。「地域をつなぎ、日本を未来へ。」のコンセプトのもと、店舗や地域の資産を活かして新たな課題解決型ビジネスの創造を目指す。

サッポロドラッグストアーは国内のドラッグストアにおいて、特にDXに取り組まれていますが、ここまでDXに注力されている理由はなぜでしょうか?

富山氏:やはりお客様が変わってきているのが大きいです。これまでは小売対小売の戦いの中で、どうやってお客様にサツドラを選んでもらうか?を考えてきました。しかし、AmazonなどのECや色々なデジタルサービスが身近になる中で、どれだけデジタルを取り込んで我々が変わっていけるか、お客様の一歩先、半歩先で変化していけるかが、今後選ばれる企業になれるかの境目だと思っています。

藤田:富山社長の仰られた通り、小売におけるDXでは、デジタル活用によって顧客ニーズの変化に対応し、付加価値を高めていくことが求められています。なかでもスマートフォンはお客様の購買行動の起点であり、アプリを中心にデジタルとリアルを繋ぐ重要な役割を担っています。

富山氏:そうですね、今回サイバーエージェントさんと開発した「サツドラ公式アプリ」は買い物と薬局(薬急便)の機能を合わせたアプリですが、このアプリで目指したUIUXは「いかにシンプルに使えるか」という点です。
小売のアプリは、多くの情報や機能を詰め込もうとして複雑になりがちです。しかし、我々の店舗は幅広い世代のお客様にご利用いただいており、どなたにも簡単に使っていただけるシンプルなUIUXが重要だと考えました。

藤田:アプリは開発をゴールとしがちですが、実際は使って頂けてこそお客様に価値提供ができるという点でスタートです。まず使われるためにシンプルであること、必要な機能の絞り混みや操作性の追求をしています。
アプリの利用満足度を高めるには、顧客体験を設計するUX(ユーザーエクスペリエンス)と使いやすさを実現するUI(ユーザーインターフェース)の知見と専門性が欠かせません。当社は、1000万人以上が利用するABEMAをはじめとして、100を越えるアプリ開発の実績があります。さらに開発だけでなく自社サービスを成長させるために行ってきたアプリの改善ノウハウも併せ持っているのが他社にはない強みです。

そのノウハウをDX領域で活用していくための専門組織「DX Design室」を立ち上げており、今回のサツドラ公式アプリも「DX Design室」とサツドラ様とフルスクラッチで開発しています。

「使いやすさにつながる」徹底した顧客目線での運用改善

富山氏:アプリ活用で重要なのは、変え続けていくことです。リテラシーの高くないお客様が使うシーンも沢山あるので、開発後に新しい課題もどんどん出てきます。
お客さまのニーズも時代の変化と共に変わっていきますし、「お客さまから選ばれるサツドラ」であり続けるためにはアプリが完成して終わりではなく、よりお客さまに買い物の楽しさを提供できるように機能を都度見直し、アップデートしていく必要があります。

藤田:お客様のニーズに迅速に対応していくために、更新頻度の高さは、アプリの使いやすさに直結する指標だと考えています。ウォルマートやクローガー、ウォルグリーンといった、アメリカの主要な小売は、週一回程度の高い頻度でアプリの見直しを行い、その結果アプリの評価も5点満点で4.5点を超えるものが多いです。

国内の小売アプリを見ると、数ヶ月から半年に一度しか改善が行われていない例もあります。

これではお客様が感じている課題に応えていくのは難しいでしょう。サツドラアプリでは最低でも数週間に一度、短いときでは毎週に近い頻度でアップデートが行われており、国内のドラッグストアアプリの中でも高い評価をお客様からいただく事ができています。徹底した顧客目線での運用改善で効果を最大化すること、これは当社が広告事業・メディア事業ともに構築してきた運用体制やノウハウが最大限活かせるポイントだと考えています。

DX推進の条件は、トップのコミットメントと連携体制

藤田:DXのプロジェクトをサツドラ様と一緒に進めさせていただく中で、改めて大事だと感じたのは「トップのコミットメント」です。アプリ開発では富山社長と直接、将来的な「購買体験の理想像」をUXデザインの視点からまとめ、理想のすり合わせを定期的に行わせていただいています。アプリだけでなくDXのプロジェクトは複数同時に進んでいますが、富山社長がプロジェクト全体から理想像まで理解し意思決定していただけるので、スピード感を持って各プロジェクトを進めることができています。

富山氏:もちろん現場にしっかり権限移譲をして、やるべき取り組みがどんどん進められる体制は作っていますが、やはりプロジェクトを進める中で現場との認識のズレや、ちょっとしたすれ違いは生じてくる。それらをしっかり解消するためのタスクチームを、自分を含めて作れていることは一つ大事なポイントかなと思っています。

AIカメラを活用したサイネージ広告
AIカメラを活用したサイネージ広告

藤田:当社ではデータサイエンティスト、UIデザイナー、プロダクトマネージャーなど、様々な職種の担当者が、それぞれの視点から「こう変えればいいのでは」という箇所を日々上げてきます。施策の実行に関する意思決定に時間がかかってしまうと、スピード感のある改善ができなくなってしまいます。その点、サツドラ様との取り組みでは、現場同士の密な連携で細かなアプリ改善の意思決定が早くなっているのを日々感じています。

リアルな現場に泥臭く向き合って生まれるパートナーシップ

今後進めていきたいことやサイバーエージェントに期待していることを教えて下さい。

富山氏:我々からするとサイバーエージェントさんはインターネット企業でありながら小売のリアルな現場にも真剣に向き合って頂ける。そこがとても心強く、そういったスタンスに共感して良いパートナーシップが組めていると思います。
前提として、我々小売のようなリアルを中心とする企業とサイバーエージェントさんのようなデジタルを中心とするテック企業では文化が違います。リアルな小売の現場でまだまだわからない部分がある中でも、泥臭く喧々諤々やっていける、その辺が一緒にパートナー企業としてやらせて頂けている理由だと思っています。
 

サイバーエージェントさんとアプリ開発の他には、AIカンパニーのAWL社と3社共同で、小売企業の広告事業創出を支援する「リテールコネクト」の提供と、サツドラの店内に設置したサイネージで広告配信を行い、AIカメラによって視聴率などの広告効果を分析する「Satudora InStore Ads」という取り組みを開始しました。

これまで測ることができなかった広告効果を、店舗で得られるデータをもとに可視化できるのが大きな特徴です。今後、小売の資産価値を一層上げられる取り組みとして、他の小売業の皆様へも販売を進めていこうと思っています。

また、僕らは「ライフコンシェルジュ構想」と言っていますが、急速なテクノロジーの変化により、店舗の果たす役割は「モノを売ること」から「モノ×サービスの提供」へと変化していきます。例えば遠隔地の店舗内にオンライン診療を受けることができる接客ブースを設置するなど、リアルの場とデジタルを組み合わせて新しく便利な顧客体験を作っていくことは、本当にやりたいと思っています。

そのためにも、お客様の動向やどのような顧客体験を作っていくのが良いのかといったことに、お互い泥臭く向き合っていかなきゃいけないと思っているので、より一層強いパートナーシップを期待しています。

藤田:北海道は日本で一番早く少子高齢化などの課題に直面する場所だと思っています。そこでサツドラさんと共に小売DXのロールモデルを作ることは、今後、日本全体が直面する課題に対して、どう向き合えば良いのかの道筋を立てることに繋がるとも思っています。
リアルでの事業に長けたサツドラ様と、デジタルを得意とする当社。両者の強みを活かしながら、小売DXの正解を作っていければと思います。

【DX特集動画】『テクノロジー』と 『実行力』でパートナーのDXを実現する - サイバーエージェントの協業DX -

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