【動画公開】新しい「経済学」を作る、AI Lab経済学チームの挑戦
研究開発組織「AI Lab」の経済学チームは、国内でも数少ない経済学を専門とした研究チームです。企業が直面する施策の意思決定や資源の分配などの課題に対し、解決方法を示しながら実際のビジネスや社会に使える経済学を作ることを目指しています。
発足から約6年、作り上げた数々の実績は当社が展開する事業に大きなインパクトを与えています。その実態とはー。
AI Lab 経済学チームとは?
経済学は世の中の様々な経済活動の仕組みを研究する学問として幅広い分野を対象とし、マーケティングや企業の経営戦略、政府における政策決定などにその知見が活用されています。とりわけ、Googleやamazon、Netflixをはじめとする世界大手のウェブ系企業では、経済学者を積極的に採用し経済学の知見を応用した事業展開を行っています。さらに近年では、ノーベル経済学賞において2020年に「オークション理論」や、2021年に「自然実験」に関する研究といったビジネスの現場でも用いら技術と関連の強い研究が受賞したことでも話題になり、ますます経済学への注目が集まっています。
現在AI Lab経済学チームは、研究チームと社会実装チームの2つに分かれて活動を行うほか、AI事業本部内の各サービスに所属するデータサイエンティストと連携しながら幅広い研究開発を行っています。
研究チーム Econ Research
経済学領域
【研究内容】
経済学(因果効果)と機械学習の融合である経済学の高度な理論研究や、社内外のデータを用いた応用研究を行っています。また、EconometricaなどのトップジャーナルやNeurIPSなどのトップカンファレンスへの採択など、学会等の学術コミュニティへのアウトプットを目標に日々研究を進めています。
【取り組み事例】
AAAI、ICML、NeurIPS、KDDなどの人工知能や機械学習の世界的なトップカンファレンスにて論文が採択されるなど、積極的な学術貢献を行なっています。また、国内外の経済学研究者との共同研究にも取り組んでおり、日本経済学会では賛助会員として関わっています。
イェール大学の成田悠輔氏とも共同研究に取り組んでいます。
AI Lab、Yale大学・成田氏との共著論文「Efficient Counterfactual Learning from Bandit Feedback」が人工知能分野の国際会議「AAAI」にて採択
AI Lab、機械学習分野のトップカンファレンス「ICML2021」にて共著論文採択ー 異常検知・因果推論・推薦システムの開発などに応用可能な密度比推定の手法を提案 ー
AI Lab、機械学習分野のトップカンファレンス「NeurIPS 2021」にて共著論文採択ー 逐次的に収集されたデータからの意思決定評価の手法を提案 ー
AI Lab、深層学習分野のトップカンファレンス「ICLR 2022」にて共著論文採択 ー機械学習を用いる効果検証・因果推論の手法を提案ー
強化学習領域
【研究内容】
経済学と関係性が深い、意思決定の最適化を行う強化学習チームでは、強化学習の活用により長期的な視点で利益や利得を最大化する意思決定をするための研究開発を行っています。ゲーム理論やマルチエージェントと呼ばれる強化学習に関する研究および、プロダクトと連携しながらインターネット広告配信のためのバンディッドアルゴリズムの研究開発も進めています。
【取り組み事例】
ICML、AAMASやIJCAIをはじめとする国際トップカンファレンスにおいて論文が採択されています。
AI Lab、マルチエージェント分野のトップカンファレンス「AAMAS 2021」にて論文採択 ー複数の意思決定者が存在する環境における意思決定モデルの事前評価手法を提案ー
社会実装チーム Econ Social Implementation
【研究内容】
経済学のプロダクトへの応用や、アカデミアおよび行政などと連携しながら経済学の社会実装や学術貢献をミッションに日々研究を行っています。行政以外にも、小売のマーケティング政策や医療の効率化などのDX推進事業を展開しており、今後幅広い領域における実装やアルゴリズムの提供を目指しています。現実のデータを使って分析することで机上の空論ではない解決策を提供しています。慶應義塾大学の星野崇宏教授や東京大学の小島武仁教授、カリフォルニア大学バークレー校の鎌田雄一郎准教授とも共同研究に取り組んでいます。
また、AI事業本部の各サービスにおけるビジネスサイドのメンバー・エンジニア・データサイエンティストと連携をとりながらプロジェクトを進める点も大きな特徴です。
【取り組み事例】
①アップリフトモデリングの活用事例
位置情報を用いて、ユーザーの属性から個別的因果効果を予測するアップリフトモデリングの手法を活用することで、再来訪確率を予測し、消費者の属性情報によって再来訪確率が高い消費者をターゲティングできる可能性を示しました。
AI Lab、日本経済学会の公式な国際査読誌「The Japanese Economic Review」にて共著論文採択 ーO2Oマーケティングにおける広告効果の副次的な効果を分析ー
さらにアップリフトモデリングをベースにした広告配信アルゴリズムの実証実験も実施しました。
「IEEE Big Data」に広告の因果効果にもとづいた広告入札戦略システムに関する共著論文が採択
②ナッジ理論の活用事例
行動経済学とオンライン広告を組み合わせた研究として、「ナッジ理論」を活用した「新型コロナウイルス感染拡大防止を目的としたユーザーの行動変容」の実験を実施し、ユーザーの週末夜間の活動量を減少させることを可能としました。
AI Lab、行動経済学「ナッジ理論」で新型コロナ感染防止対策を促すランダム化比較実験を理化学研究所・慶應義塾大学と共同で実施 -週末夜間の活動量において、統計的に有意な変化を確認-
③マッチング/メカニズムデザイン・ゲーム理論の活用事例
東京大学マーケットデザインセンターの小島武仁氏、鎌田雄一郎氏と社会課題の解決に取り組んでいます。行政DXのプロジェクトとして進めていた「保育所の利用調整」の取り組みでは実際に、多摩市の利用調整ルールが改正されました。
サイバーエージェントと東京大学マーケットデザインセンター、多摩市との「保育所の利用調整」に関する実証実験のもと、利用調整ルールを改善
多種多様なメンバー
現在、経済学出身のメンバーは、AI Labの経済学チームをはじめ、様々なプロダクトに所属するデータサイエンティストも合わせると約15名ほどが在籍しています。バックグラウンドは、大学教員などのアカデミア・中央省庁、中央銀行、自治体などの行政関係など多岐に渡り、それぞれが強みを活かして活躍しています。
「新しい経済学を作る」チャレンジに向かって
サイバーエージェントにおいて経済学の活用先は、広告配信技術だけでなく、小売のマーケティングから医療の効率化、さらには待機児童問題まで広がっています。
学術貢献はもちろんのこと、研究のための研究ではなく事業やプロダクト、社会還元を通し、現実世界でのインパクトを追求するチームとして今後も活動を続けていきます。
企業の中で経済学をするというのは、「新しい経済学を作る」ということ。
そのチャレンジを楽しめる方に、ぜひ飛び込んできていただけると嬉しいです。
採用情報
サーチサイエンティスト、データサイエンティスト、リサーチエンジニアの募集
https://cyberagent.ai/ailab/recruit/
大学院博士後期課程に在学中の学生を対象としたテーマ選択型のリサーチインターンシップ
https://cyberagent.ai/ailab/careers/internship/research-internship/
※カジュアル面談もご用意していますので、お気軽にご連絡ください
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~クリエイターのビジネス視点を育む講座「芸術総合講座Ⅳ コンテンツビジネス実務」レポート~
多くの著名なクリエイターを輩出している日本大学芸術学部(以下:日藝)と共同で、未来のクリエイターのためのビジネス視点を養うための産学連携講座「芸術総合講座Ⅳ コンテンツビジネス実務」を実施いたしました。この記事では、共同で実施した背景や実施内容について、本講義の責任者である日藝 加藤准教授と、Ameba事業本部責任者下山に話を聞きました。