【AI超入門】テック企業のイノベーションを生み出す「企業研究所」を簡単解説
近年、AI技術のビジネス活用が注目されるなか、数多くの企業で研究開発組織が設立され、研究活動が盛んに行われています。
本記事では、「企業研究所が実際に何をやっているのか、また事業とどんな関わりがあるのかを知りたい!」というビジネスパーソン向けに、わかりやすくその実態を解説します。
企業の「研究開発組織」は、何のためにある?
近年、GAFAなど先進的な企業を中心に、「研究開発組織」が増えていると聞きます。「研究開発組織」は、何のためにあるのでしょうか?
事業に関連する研究や新技術の開発により、競争優位性を確保し、企業の持続的な成長を推進するためです。
具体的には、これまで誰も解明していない技術を追求する基礎研究から、実際のサービスに導入するための応用研究まで幅広い研究を行っています。
また、生み出した技術の特許取得や論文発表を行うことで、世の中へ手法の普及も行っていますよ。
【 ワンポイント メモ 】
基礎研究・・基本原理の解明や、知的資産の蓄積を目的とした研究
応用研究・・問題の解明・解決を目的とした、より実用的な研究
日本ではどんな企業が「研究開発組織」を持っているの?
日本ではどんな企業が研究組織を持っていますか?
高度経済成長期では、特に製造業などにおいて研究組織が設立され事業の発展を支えてきました。近年では、特に人工知能分野で新興IT企業やベンチャー企業が研究組織を創設することが増えています。
研究成果の発表も盛んで、昨年度発表された、国際学会の論文実績を元にしたランキング(※1)では、日本からは9社がランクインしており、この中にサイバーエージェントも入っています。(グローバル企業トップ100のうち、日本からはNEC、NTT 、三菱 、Preferred Networks 、日立、富士通、サイバーエージェント、ソニー 、東芝がランクイン)
※1「2020年のAI研究ランキング」 著書:Gleb Chuvpilo氏 引用
ICML2020とNeurIPS2020の論文実績を元に算出
サイバーエージェントの研究開発組織「AI Lab」では、何をしているの?
サイバーエージェントのAI技術の研究開発組織「AI Lab」では、何をしているのですか?
AIによるビジネス価値の創出と学術貢献への挑戦です。社会にイノベーションを起こすことを目指しています。
主に4つの領域で、新しい広告やマーケティングを創り出す技術の研究をしています。
【2】人が信頼したくなるエージェントの開発を目指す「接客対話エージェントチーム」
【3】経済学と機械学習を組み合わせて次世代の意思決定手法を作ることを目指す「Econチーム」
【4】学習モデルの性能をより効率的に引き出す「ハイパーパラメータ最適化チーム」
さらに大学など学術機関との産学連携も強化しその数は20を超えるほどに。学術貢献と社会実装を進めています。
「社会実装」とは?
「学術貢献」とは?
研究者にとって「学術貢献」は重要だと聞きました。「学術貢献」とは何でしょうか?
研究によって得られた新しい手法・発見を世に広め、科学や社会の発展に貢献することです。
AI Labでは年間で約40本以上の論文を公開しています。各学問、研究領域において、世界で最も権威のある国際学会等でも発表しており、直近の研究実績は以下があります。
【国際学会での論文発表例】
・AI Lab、自然言語処理分野のトップカンファレンス「NAACL-HLT 2021」にて共著論文採択ー 広告効果を考慮した広告文生成手法を提案 ー
・AI Lab、Web・データマイニング分野のトップカンファレンス「The Web Conference 」にて共著論文採択 ー推薦のための高速・高精度なランキング学習を可能にする手法を提案ー
・AI Lab、人工知能分野のトップカンファレンス「AAAI 2021」にて共著論文採択 ー 事前情報を活用した効率的なハイパーパラメーター最適化手法を提案 ー
AI Lab、ロボティクス分野のトップカンファレンス「IROS」にて共著論文採択 ー 人型ロボット vs スマートスピーカー、ホテル居室でのおもてなし勝負を考察 ー
「学会」とはどんなところ?
そもそも、論文を発表している「学会」とはどのような場なのでしょうか?
それぞれの学問分野における学術研究の進展を目的として、研究者を中心に運営されており、その学会に採択をされることを目指し、世界中の多くの研究者たちが論文を投稿しています。
「学会で論文が採択される」のは凄いこと?
「学会で論文が採択される」とはどういうことですか?また、世界的に有名な学会に採択されるのはどのくらい難しいのでしょうか?
最先端の研究をしており、世界で一目置かれるということ、です。
学会は研究者にとって「研究能力を示す場」でもあり、採択されることで研究業績として世界中に認知度が広がります。
また、「権威ある国際学会(=トップカンファレンス)」での論文採択は、その分野において最先端の研究をする優秀な研究者が最も多く集まる場で認知されるということです。その影響力は更に大きくなります。
難易度を例えると、有名な国際トップカンファレンス「NeurIPS」の昨年度実績では、世界中から約12,000件を超える論文投稿があり、採択された論文はそのうちわずか16%でした。
さらに AI Lab研究員が採択された「Spotlight」枠(※2)は採択率3%程度と、非常に難易度が高いものでした。
※2 採択論文のなかでも限られた研究のみにあたえられた口頭発表
サイバーエージェントの特に凄いところは?
サイバーエージェントの企業研究所、ここがすごい!を教えてほしいです。
実例として、プロダクトの課題を軸にした研究テーマで、実際のデータを元に研究を行い、その成果がトップカンファレンスに採択されたという実績があります。このようにサイバーエージェントでは、研究組織・開発組織・事業が一体となりシナジーを生み出すことができる環境があることで、迅速に研究成果をサービスに導入できるという強みがあります。
さらに約20を超える大学と共同研究を行う体制を確立できていることも、学術貢献/社会実装の実現において欠かせないポイントとなっています。
また、現在AI Labにはコンピュータビジョン・機械学習・経済学・自然言語処理(NLP)・ヒューマン コンピュータ インタラクション(HCI)など、様々な領域の研究者が多く所属しています。異なる分野でも研究者間の距離が近いので、異分野の研究者が一緒に取り組む学際的な研究が増えているのも特色の一つです。
各領域の研究者がどんどん増えており、研究議論も活発です。技術で事業の競争優位性をつくる。そんな想いを持つ仲間と一緒に、サイバーエージェントらしい研究開発組織のカタチを作っていきたいと思っています。
▼研究体制の例
効果を出すAI - サイバーエージェントのAI研究とビジネス実装力
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インターネット上だけでなく、私たちが生活するリアルな実世界において、AIサービスを実現するための基盤研究に取り組むAI LabのActivity Understanding(行動理解)チーム。2023年から始まった研究領域ですが、既に当社が展開するリテールメディア事業において実装が進んでいます。
多様な専門性のあるメンバーが、事業と連携し垣根を超えて生み出す新たな価値とはー?
Activity Understandingチーム立ち上げ当初から研究を行う3名のコメントを交えながら、紹介します。