「CyberAgent Developer Conference 2024」イベントレポート

技術・デザイン

2024年10月29日、30日の2日間にわたって開催した、進化し続けるサイバーエージェントの技術と創造力のカンファレンス「CyberAgent Developer Conference 2024」。
今年は “Expanding Inspiration” をテーマに、約60のセッションをオンラインにてお届けしました。

1日目の“EXPERT” Sessionsでは当社のエキスパートが中心となってこれまで積み上げてきた高い技術力とクリエイティブ力を、2日目の“NEXT” Sessionsでは当社に所属する若手技術者の創造力を発信しました。
こちらの記事では、当カンファレンスの様子を一部ご紹介します。

【基調講演】今AIを徹底的に活用することは、歴史的に見ても大きな価値がある

基調講演は、当社代表取締役 藤田の挨拶からスタートしました。サイバーエージェント創業の1998年から四半世紀にわたってインターネット業界に携わってきたからこそ、AIという大きなトレンドに素早く対応できるか否かで会社として驚くほどの差が出ると感じる、と話す藤田。加えて、会社として今AIを徹底的に活用することは、歴史的に見ても大きな価値があること、また全社を挙げていち早くAIの取り組みを開始したことについても説明しました。2,000件以上の募集があった「生成AI徹底活用コンテスト」や全執行役員を含む6,200名を超える社員を対象に実施した「生成AI徹底理解リスキリング」、一般公開した独自の日本語LLM(大規模言語モデル)「CyberAgentLM3」についても紹介しました。

その後、専務執行役員(技術担当)長瀬からは、2025年度の当社技術戦略における重要なポイントを抜粋して説明しました。詳細については「AIの発展をサイバーエージェントの競争力とするために」をぜひご覧ください。

続いて、執行役員(クリエイティブ担当)佐藤、CA Creative Center 及川より「AI時代もクリエイティブを競争力にするために」をテーマに、当社クリエイター組織における様々な取り組みを紹介しました。また、アドビ株式会社 常務執行役員 兼 CDO 西山氏とFigma Japan株式会社 日本カントリー・マネージャー 川延氏をお招きし、サイバーエージェントとの取り組みについてご紹介いただきました。詳しくは「AI時代もクリエイティブを競争力にする Adobe、Figmaと取り組む創造性の拡張」をぜひご覧ください。

【DAY1 “EXPERT” Sessions】

その後開催した “EXPERT” Sessionsでは、様々な技術領域のエキスパートによる全26セッションをお届けしました。

CyberAgent 生成AI Deep Dive with Amazon Web Services」では、Amazon Web Service Japan G.K. Customer Solutions Manager 池田氏、Solutions Architect 黒澤氏をお招きし、全社を挙げて生成AI活用を推進する専門組織「AIオペレーション室」での生成AIを活用したプロダクト作りについて、小西とともにご紹介しました。

また、「AIと創る広告の未来 ― タップルと極AIお台場スタジオの最新事例―」では、AIクリエイティブプランナー 洞ノ上が登壇。2023年9月に設立した国内最大級、広告効果最大化の追求に特化したクリエイティブ制作スタジオ「極(きわみ)AIお台場スタジオ」の特長である、広告事前効果予測ツール「極予測AI」がもつ高い効果予測AIの技術と、高性能かつ高精細な設備・技術をスタジオアセットの掛け合わせについて詳しく紹介しました。さらに、実際に広告制作において活用し、高い広告効果を感じているマッチングアプリ「タップル」中畑とともに、スタジオ活用のメリットや、新しい広告の作り方についても説明しました。

(株)AI Shift 執行役員CAIO 友松による「サイバーエージェントにおける生成AIのリスキリング施策の取り組み」では、当施策における具体的な取り組み事例や成果、直面した課題を共有することで、皆様に参考にしていただくための実践的な知見の数々をお伝えしました。なお、当施策については、「東京科学大学情報理工学院 岡崎直観教授に聞く、企業におけるAI活用・AI人材育成のあり方」も合わせてご覧ください。

その他、当カンファレンスでは、協業企業とのセッションもお届けしました。その1つがFigma Japan株式会社デザイナーアドボケート 谷氏をゲストにお招きし、AmebaLIFE事業本部 ソフトウェアエンジニア 原と登壇した「Figma Dev Modeで進化するデザインとエンジニアリングの協働」です。当セッションでは、デザインとエンジニアリングの協働を効率化するための新ツール、Figma Dev Modeの活用について詳しく解説しました。原の考える、長くユーザーに愛されるプロダクトを目指す上でのWebアプリケーション開発のあり方については「WebパフォーマンスのExpertsが目指す 持続性の高いWeb開発」でも詳しく紹介しています。

同じく「Ameba」における事例を紹介した「コンセプトで経営・事業・組織を動かすAmeba20周年ブランディング」では、クリエイティブディレクター 武本が登壇。新しい"コンセプト"を軸に始まったAmeba20周年のブランディングが、経営や組織、事業にどのように影響を与え、どのような成果を生み出していったのか、具体的な事例と合わせて話しました。

また、AI事業本部 データサイエンティスト 暮石が登壇した「ネット広告に未来はあるか?『3rd Party Cookie廃止とPrivacy Sandboxの効果検証の裏側』」では、3rd Party Cookieの規制というインターネット黎明期から20年以上も続いてきた仕組みの変更を受け、DSPの立場から3rd Party Cookie廃止の検証において苦労したポイントの裏側を紹介しています。

【DAY2 “NEXT” Sessions】

33セッションをお届けした2日目の”NEXT” Sessionsでは、当社で活躍する若手技術者たちの登壇のほか、学生のみなさんからの質問に答えるパネルディスカッションも配信しました。

1年目のクリエイターがつくりあげた!採用冊子CANVAS制作の裏側」では、数年ぶりにリニューアルしたクリエイター採用冊子「CANVAS」をテーマに、武田、権藤、松本が登壇。先輩社員 山幡とともに実際に冊子を紹介しながら、こだわったポイントや制作の裏側について和やかなトークが繰り広げられました。

また、ゲーム事業におけるAI活用の取り組みを詳しく紹介したのは「AIを駆使したゲーム開発戦略: 新設AI組織の取り組み」です。活用事例の1つとして、カードゲームのバランス調整支援プロジェクトについて紹介しました。こちらの取り組みでは、大規模言語モデルを用いたカード効果説明文の解釈と、転移学習により最新のマスターデータに動的に適応するカードゲームAIを開発し、新規実装カードのバランス調整に活用しています。

XR研究所 XRエンジニア 岩﨑による「Unity開発者のためのPolySpatial入門:visionOSサウナアプリ開発事例から学ぶ」では、Unity PolySpatialを用いたvisionOSアプリ開発について、基礎と実践の両面から説明しました。加えて、「Apple Vision Proで追いととのう 実証プロジェクト」の開発経験についても詳しく紹介しました。

ABEMA レコメンドシステムのアーキテクチャ変遷~事業成長や大規模イベントと共に~」では、ソフトウェアエンジニアである中野と金光が、「ABEMA」の推薦システム「Yatagarasu」について解説。社会インフラを目指すABEMAでは、より高いレベルの信頼性を要求されるほか、事業の成長に伴い推薦システムのリアーキテクチャを行ってきました。その変遷について、詳しく紹介しました。

(株)AI Shift 機械学習エンジニア 干飯による「Argo Workflowsで構築するLLMを活用したコールセンターの自動要約プロダクトの立ち上げ」では、2024年5月にリリースした「AI Messenger Summary」の開発過程について登壇しました。コールセンターにおけるアフターコールワークの課題を解決すべく、オペレーターと顧客の会話データを音声認識することでLLMで処理して要約し、企業に合わせたフォーマットで出力するプロダクトです。

加えて、デジタルマーケティング全般に関わる幅広いAI技術の研究開発組織「AI Lab」所属のリサーチサイエンティスト 井上によるセッションもご紹介します。「バナー自動生成に向けたオープンなtext-to-templateモデルの構築」と題し、text-to-template の研究をコミュニティとして促進させるための、オープンソースなモデルを実装する取り組みと、その過程で見えてきた課題と将来性について話しました。

また、当日は「学生からの質問に先輩クリエイターが答えてみた」と題し、就活や仕事、キャリアなどの質問に答えるセッションもお届けしました。メディアクリエイター編では、「ABEMA」や競輪・オートレースの投票サービス「WINTICKET」など当社メディア事業を代表するプロダクトを担当する丸、加藤、大川、落合が1日の流れやこれまで歩んできたキャリアについて紹介しました。

また、ゲームクリエイター編では、スマートフォン向けゲームの開発・運用、さらには人気タイトルのアニメ化など、ゲームの世界観を様々な形で提供しているクリエイター 丸本、岡戸、町田、山口が参加。新卒研修の様子や、普段の業務において特にやりがいに感じる点などを詳しく話しました。

今後も当社では、AIの発展を会社の競争力とすべく全社を挙げて様々な取り組みを推進します。また、培ってきた技術的知見や最新の取り組み状況を引き続き積極的に発信することで、様々な技術コミュニティに貢献していきたいと考えています。

CyberAgent Developer Conference 2024

「CyberAgent Developer Conference 2024」のアーカイブ動画・登壇資料は公式サイトにて公開しています。ぜひご覧ください。

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