技術でファン体験を変える:CLバックエンドエンジニアの成長ストーリーと価値創造への想い

日本のみならず海外利用者も多く抱えるライブ配信サービス「CL」。ファンが求める体験をテクノロジーで実現することを大切にする本サービスには、動画配信技術からコミュニティ機能まで、幅広い技術領域のエンジニアが関わっています。
今回は、インターンシップを経て2022年に新卒入社し、現在は「CL」でバックエンドエンジニアとして活躍する山野井に、エンジニアとしての成長ストーリーを聞いてみました。
Profile
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山野井 柊 (FanTech事業本部 CL事業部 CL開発グループ)
23年新卒入社のバックエンドエンジニア。CLに配属後、バックエンドエンジニアとしてCLの新機能開発や保守を担う
インターンシップから2年目まで:技術力と責任範囲の段階的成長
── 在学中の研究など、入社前に取り組んでいたことを教えて下さい
もともと動画や音声に関する通信技術に興味があり、研究室では音声の通信と音源分離をテーマに研究をしていました。また、在学中にはスタートアップを中心としたアルバイトでプロダクト開発に携わっていました。
就職活動では「企業のミッションやバリューに共感できること」「多様な人から技術やマインドを吸収できること」「エンジニアリングだけでなく事業にもコミットできること」を軸に会社選びをしていました。サイバーエージェントは事業ドメインが広告からメディア、ゲームと幅広く、エンジニアとしてさまざまな事業の経験が身につきそうだと感じました。
また、採用基準にある「素直でいいやつ」を、面接や先輩社員との面談を通じて実感できました。入社後も、先輩・後輩関係なく尊敬できるのは、サイバーエージェントの企業カルチャーの特徴だと思っています。
── サイバーエージェントのカルチャーを実感できたエピソードがあればぜひ教えて下さい
内定者アルバイトでは2つの部署に参加しました。1つ目は「ABEMA」で、大規模プロダクトにおけるマイクロサービスアーキテクチャの設計手法や、複数のドメイン間でシステム連携が必要となる場合の開発業務の進め方などを学ぶことができました。
また、VM で管理していた Redis Cluster を複数サービスで参照していたため単一障害点になっていたそれを Google Cloud の Cloud Memorystore に移行するという方針が決まり、一部のマイクロサービスのメモリストアのリプレイス案件に携わりました。メモリストアの移行計画やキャパシティプランニングからリリースまでを任せていただき、とても勉強になりました。
2つ目は子会社のAI Shiftで、Kubernetes関連のタスクを中心に取り組みました。それまであまり経験がなかったGitOpsや継続的デリバリーにチャレンジする機会となりました。具体的には、ArgoCDの導入を任せていただき、プロダクトリリースまでの全体像を理解することができ、とても有意義でした。
── 1年目、2年目で、所属先の部署でどんなプロダクトに関わり、どんなタスクを担当したか教えて下さい
入社後の配属先は海外利用者も多く抱えるライブ配信サービス「CL」でした。1年目は、デジタルコンテンツの新規販売機能やアーティストが配信中にユーザーとリアルタイムで質問できる機能の開発を担当し、設計から実装、負荷試験、リリースまで一貫して経験することができました。
また、動画関連に興味があったため、管理画面における動画フォーマットの変換機能や、配信アプリの品質を改善するための調査にも関わることができました。1年目は「CL」の開発の進め方や使われている技術を理解できた一年だったと思います。
2年目はより大規模な開発を任せていただけました。特に、ファンの方が抽選でデジタルコンテンツや限定リアルグッズなどを得られる「くじ機能」はファンの方々にも大変人気の高い機能です。期間限定で公開することもあり、予期せぬスパイクが想定されていたため、技術的にもプロジェクトの進め方としても2年目の難易度としては高いものでした。
リリース後、多くの方にご利用いただき、SNS等で嬉しい反応も見られ、事業部としての売り上げにも大きく貢献できてやりがいを感じています。
現在はCL5周年に向けて新機能の開発に取り組んでいます。動画配信機能の拡張として新しい視聴体験ができる機能を絶賛検証・開発中です。また、新しくデジタルコンテンツの開発も行っており、周年イベントでの大きな盛り上がりを期待しています。

技術力とユーザー視点を兼ね備えた、プロダクト価値を高められるエンジニアの自覚
── 山野井さんの目線で見て、「CL」というプロダクトの魅力やマーケット的な価値、社会的な意義を感じている範囲で教えて下さい
「CL」は日本だけでなく海外のファンの方も多く、日本のカルチャーを世界に発信するという時代の流れに即したプロダクトだと思っています。そのような中で、多言語対応は海外のファン向けに欠かせない機能です。
また、動画サービスが普及する中で、ファンが求めているニーズをテクノロジーで満たすのが「CL」の技術戦略の特徴です。技術の新旧に限らず、プロダクトが求めること、ファンが求めることを受け止め、ベストプラクティスな技術を選定することを大事にしています。
特に、高品質という部分は「CL」の大きな価値だと思っています。「CL」のビジネス的な価値を生み出しているのは主に「LDHのエンタテインメントパワー × CLの技術力」というところだと個人的に考えています。動画配信技術に関してはアーティストのパフォーマンスや魅力をユーザーに届けられるように「ABEMA」等の他サービスの知見を最大限生かした設定となっているため、VODも生放送もかなり映像品質が高いと感じています。
また、高負荷でもスケールするサーバーはもちろんなのですが、WebやネイティブアプリのUI/UXやデザイン、デジタルコンテンツなどのグッズ制作にもこだわり抜かれており、チーム全員がプロの仕事をしており、他のSNSなどが普及する中であえて「CL」を使う理由が作れていると感じています。
そして何より、ファンをより熱狂させる機能もプロダクトとしての魅力だと思います。各デジタルコンテンツや、アーティストとリアルタイムで繋がれる機能、アーティストとファンを繋ぐコミュニティ機能など、「CL」でしか体験できない推し活の機会を提供できていると思います。これからも市場で目新しい機能はもちろん、ユーザーの声を大切にして、より推し活を推進でき、アーティストの魅力を高める機能を開発していきたいです。
── 「CL」の開発にあたって、技術的な課題や難しさ、チャレンジしている要素などを教えて下さい
「CL」は局所的なスパイクが想定されるサービスなので、ファンの方が快適に利用できるよう、サーバーに高負荷やコストがかからないように設計を工夫したり、負荷試験を丁寧に行うことを心がけています。また、ユーザーの声やニーズの変化に対してできるだけ柔軟に対応できるように、設計段階からあらゆる未来を想像して拡張性高く作ることを常に意識しています。
サーバーの設計はアプリケーション全体の設計、ひいてはファン体験全体に影響すると考えています。自分なりに「こうした方がユーザー体験が良くなりそう」といった考えを持ちながら、それを技術的に実現できる設計を心がけています。
定期的にユーザーの皆さんに向けたアンケートを実施していますが、動画配信の品質に関する評価をいただいているのはもちろん、コミュニティ機能や「CL」でしか手に入らないデジタルグッズについても多くの好評をいただいています。技術的な取り組みがファンの方々の推し活体験向上に繋がっていることを実感でき、とてもやりがいを感じています。

── 入社してから現在までに、成長できたという点について「技術面」「マインド面」でそれぞれ教えて下さい
技術面では、設計や実装に関して深い考察ができ、自分なりの思想が日々確立して進化していっていると感じます。「CL」のサーバーサイドはベテランメンバーが半数以上なのですが、ベテランメンバーについていくのが必死だった配属当初と比べて、より建設的な議論ができるようになりました。データベースなどのミドルウェアやクラウドリソースなど、扱っている技術自体に関しても深い知見が身についており、設計に沿ったベストプラクティスの実践ができている自負があります。
マインド面では、ユーザー視点で物事を俯瞰できるようになったと思います。施策を進める際には、いかにプロジェクトチームを引っ張っていくか、スムーズな進行のために自分ができることは何かを常に考えています。また、技術的な判断をする際にも「この実装がファンの方々の体験向上に繋がるか」を意識し、ユーザーに価値を提供することを第一に考えて日々開発に取り組んでいます。
── サイバーエージェントに入社した同期や、年齢の近い先輩・後輩を見て、イキイキとチャレンジしながら会社を楽しめている人は、どんな人達ですか?
新しいことへの探究心を持ち、自分なりの軸で行動する人たちが楽しんで仕事をしている印象があります。特に僕が所属するFanTech事業本部は、世界中のファンが熱狂できる体験を創造するために、職種を問わず新しいアイデアを提案し、技術的にもチャレンジできる文化があります。
例えば、「海外ファンの視聴体験を向上させるために配信レイテンシを改善したい」と積極的にCDN設計を見直す同期や、「ライブ配信のスパイク時により安定したストリーミングを実現したい」と新しいアーキテクチャ検証を進める先輩など、常にファン目線で技術課題に向き合っている人が多いです。
「ユーザーに新しい価値を届けたい」「技術で人の体験を変えたい」といった明確な想いを持って、それを実現するために行動している人たちはみんなキラキラしています。
僕自身も、そうした仲間と一緒に働けることで、日々新しい刺激を受けながら、より良いプロダクト作りに集中できていると感じます。
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