「AIが全ての産業に影響を与える」
AI新時代 に、取締役 内藤が挑む3つのこと
2019年9月、AIを活用したデジタル広告事業開発の強化や新たなAI事業の創出を目的に専門部署「AI事業本部」を発足しました。
「これからAIが全ての産業に大なり小なり影響を与える」
そう話すのは当社取締役でAI事業本部責任者の内藤です。
新組織発足の経緯や、今後の展開について、詳しく聞きました。
「インターネット×AI」という新時代
──専門部署「AI事業本部」を設立した意図は?
当社はこれまでも、「AI事業本部」設立前からAI技術の研究・開発、そしてプロダクト開発の現場にてAI活用を進めてきました。
特にブランド企業等からの需要が高まるデジタル広告において、膨大な量の広告クリエイティブを制作・配信・運用するにあたって、AIの活用は必要不可欠だからです。
現場でのAI活用にあたって、2016年から、15の大学・研究機関との産学連携を行い、技術課題の解決に取り組んできました。
Yale大学の成田氏との共著論文が人工知能分野の国際会議「AAAI 2019」(※1)に採択されるなど、その分野における一定の評価を得られるまでになりましたし、その研究成果をプロダクトに応用することで、品質の高い広告配信技術を実現させています。
AI技術の活用には、「AILab」での研究・開発に加え、高度な配信技術、オペレーションの組織体制、クリエイティブ力、AI人材の採用・育成など、様々なパーツが必要です。事業成長のために、それらを揃えて組織を育ててきた結果、AIで事業を加速させるための地力がつきました。今の状態を改めて明示するために「AI事業本部」を発足した、というのが正直なところです。
そういう現場主導の地力のつけ方は、変化対応力に長けたサイバーエージェントのカルチャーの1つかもしれません。
これまでの20年、インターネットの発展にあわせるように当社は事業拡大してきましたが、これからの20年で成長をもたらすキーワードは「AI」です。
AI活用の加速、AIを活用した新しい価値の創出は、サイバーエージェントにとって大きな事業チャンス。この領域での挑戦が、とても楽しみです。
「AI×広告」
AIと共にクリエイティブの作り方を変えていく
ここからは具体的な話をしていきますが、まず欠かせないのは、広告へのAI活用です。
デジタル広告はテレビや新聞などのいわゆるマス広告とは異なり、ターゲットにあわせて広告表現をパーソナライズすることができるわけですが、この膨大な作業量はデジタル広告を制作する代理店にとって大きな人的負担です。この課題に対し、機械学習を用いた効果的な広告配信、テキストやバナー・動画など広告クリエイティブの制作支援、自動データ分析などにAIを活用しています。
とりわけ、広告予算の最適化は、TwitterやFacebook、Instagramなど日本の主力メディアと連携を持つ当社の優位性を発揮できる部分で、予算1円単位でクリエイティブの変更が可能です。
大量のクリエイティブを制作し配信・運用を行いますが、精度やクオリティの向上は蓄積した大量のデータがあればこそ。機械学習、因果推論、計量経済学などを用い、広告配信の最適化を行なっています。これもネット広告でトップクラスの知見と実績を持つ当社ならではの強みが生かされます。
また、ここ数年のAI技術の発展は目覚ましく、動画や3DCGの領域にも大きな影響をもたらしています。
当社は世界有数の3Dスキャニング技術を持っており、今年の9月から3DCGで「CG HUMAN」の企画制作などを行うCyberHuman Productionsが本格始動。AIと3DCGの技術をかけ合わせることで多種多量な広告クリエイティブ制作や広告運用、CGコンテンツの提供を可能にしました。
CGの研究分野で高い研究力をもつ、早稲田大学の森島研究室とも共同研究を進めています。今後さらに進化するこの分野で、少なくとも日本のトップにならなくてはと思っています。
人の目に触れるものに対し、AI技術を取り入れ、”今まで見たことのない表現”を生み出す。クリエイティブの作り方そのものを変えるための研究開発をより強化していきます。
「AI×企業」
日本企業のAI化を、サイバーエージェントが推進していく
──他にAI活用を考えている領域は?
様々な領域での活用を考えていますが、一例を出すと、来店広告の拡大、店舗のAI化というようなリテールテック領域です。
スマートフォンが普及したことによって”店舗のデジタル化”が進んだことは誰の目にも明らか。デジタルマーケティング領域での取り組み先も、ネット企業から、メーカーなどリアルな店舗を持つクライアントが増えています。
米小売り大手「ウォルマート」の広告事業強化というニュースは記憶に新しいですが、日本でも同様に小売り業界の”テック化”が進んでいます。広告事業やアドテクノロジーとのシナジー効果も高いですし、この領域でのAI活用を加速させたいですね。
その一方で、データサイエンティストや機械学習エンジニアなどのAI人材不足や、AI技術の活用に関する知見やノウハウを持たないことから、AI導入が思うように進まない企業が多くみられることも事実。
そこで、これまで当社が蓄積してきたAI技術に関する知見や、保有する人材を生かして、国内企業のAI導入促進を支援する事業も開始しました。
”人間がやるべきこと”に集中できるような社会をつくりたいと思っているので、日本企業のAI化を当社が推進していきたいと考えています。
「AI×新規事業」
AIテックカンパニーとしての挑戦
──新規事業はどうですか?
現在、約20のプロジェクトを進めていて、その1つが大阪大学石黒教授とのロボットによる接客対話の自動化の研究による新規事業です。
工場では産業ロボットの導入が進んできますが、一般社会ではほとんど活用されていないのが現状。少子化が進み、人材が不足するという社会問題に対して、「人と社会において調和的に関わることができるロボット」の実現を目指して2017年から共同研究を進めています。
ホテルやイベントなどで実証実験を繰り返し行いながら、ロボットを活用した新しいおもてなしや、広告媒体を作ることに取り組んでいます。
AIを活用して世の中を変える程のインパクトのある事業を創出したいというのが、今後の展望。20年以上前にインターネットが出てきて、インターネットがある社会が当たり前になったように、これからAIが全ての産業に大なり小なり影響を与えることになります。
このAI化の波は、大きな事業チャンスです。
そのチャンスに対して、自ら手を挙げ、可能性を見極め、大胆に挑戦ができる準備を進めておきたい。今ある技術・地力を使ってどんどん新しい領域に参入していき、サイバーエージェントの未来に繋がる種まきを、虎視眈々としていくつもりです。
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