生成AIが広告運用を再構築。2.4万時間削減目指す「シーエーアシスタント」とは
AIを活用した業務改革。近年、多くの企業が直面する課題です。サイバーエージェントでは、広告事業に従事する社員一人ひとりに独自開発のAIアプリケーション「シーエーアシスタント」を導入。AIと人間の協業で生産性と品質の向上を実現し、広告オペレーション総時間2.4万時間の削減を目指しています。AIが広告運用業務をどのように変革するのか、「シーエーアシスタント」開発責任者の紺屋に聞きました。
広告オペレーション総時間2.4万時間の削減を目指す
編集部
まず「シーエーアシスタント」とは何なのでしょうか。
紺屋
広告オペレーション業務を効率化するために独自開発した、社内向けアプリケーションです。 インターネット広告の主流である運用型広告の広告効果を最大化するためには、細かな広告配信設定や効果に応じた運用改善、レポート作成など多くの作業が生じます。その膨大で煩雑な作業を「シーエーアシスタント」がサポートします。
そうすると社員はデータ解析とインサイトの抽出に迅速に取り組むことができ、よりクリエイティブな仕事に集中したり、戦略的な判断に時間を費やせるようになります。 このようにAIと協業することで生産性をあげ、広告オペレーションの総時間2.4万時間削減、さらなる品質向上を目指しています。
編集部
具体的にどんなサポートをしてくれるのか教えてください。
紺屋
広告分析、グラフ作成、初期構築管理、テクニカルサポート、一次回答生成といった機能があります。 例えば、広告分析機能では、独自のレポーティングシステム「CA Dashboard」と連携することで、実際の広告配信実績を元に分析結果やグラフを生成できます。
そのため社員は膨大な情報が含まれるレポートを確認することなく、対話形式で簡単に、ほしい情報だけを素早く得ることができます。グラフ作成機能を使えば、報告資料を簡単に作成することも可能です。
初期構築管理機能とテクニカルサポート機能では、新規広告キャンペーンの立ち上げがスムーズになり、広告配信までの時間が短縮されます。 一時回答生成の機能を使えば、顧客との連絡に慣れていない新人でも、時間をかけず顧客へ返答することが出来るようになります。
“無意識に”生成AIを活用している状態をつくりたかった
編集部
「シーエーアシスタント」開発の背景を教えてください。
紺屋
開発に着手したのは約1年前です。世の中で生成AIの活用が叫ばれ、サイバーエージェントとしても全社的な取り組みを推進する中で、まだ生成AIに興味が薄かったり、どこか抵抗感を持ち積極的に生成AIを利用できていない社員も多いのではと感じていました。
私自身、生成AIの効果を身をもって感じていたので、社員が“意識せずとも”生成AIを使う仕組みを作れないかなと。そこで注目したのが前述の広告運用業務です。多岐にわたる業務において“無意識”に生成AIを利用し業務効率化を図ることで、よりクリエイティブな仕事に集中してほしいと思い、開発を始めました。
元々、24時間365日広告オペレーションを実行できる組織をはじめ、広告効果を高めるためのオペレーション構築には力を入れていました。これまでに数多くの独自運用ツールの開発や組織構築をしてきたからこそ、そのナレッジを活かしたプロダクト設計・開発ができ、業務に根ざしたアプリケーションを作ることができたと思います。
編集部
現在、社内にはどのくらい浸透しているのですか?
紺屋
2024年9月末までに、インターネット広告事業本部内の営業・コンサルタントの8割導入を目指しています。年内までには、同事業部内の全社員が使いこなし、AIと協働している状態を目指します。オペレーション専門子会社のシーエー・アドバンスにも導入を進めており、約1,000名が利用予定です。
そして、広告事業のみならず全社展開も視野にいれているので、「シーエーアシスタント」がサイバーエージェント社員の仕事の成果を左右するくらいの良いプロダクトに磨き上げていきたいです。
将来的には、広告主企業にも一部機能の提供を予定しています。「シーエアシスタント」を通じて両社で生成AIを活用しながら、さらなる生産性と品質向上、広告効果の最大化を目指していきます。
Profile
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紺屋 英洸 インターネット広告事業本部 オペレーションテクノロジー本部 プロダクト設計室
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値引きの常識を問い直す。サイバーエージェントが仕掛ける「値引き革命」
原材料や人件費の高騰が続くなか、企業は値上げや値引きの見直しを迫られている。
「貴社が投じている販促費、その70%は利益や顧客育成への投資に変えられるかもしれない」
もし経営者であるあなたが、こう告げられたとしたらどう感じるだろうか。にわかには信じがたい話に聞こえるかもしれない。しかし、それはすでに現実になりつつある。
DXやAI活用が叫ばれる一方で、マーケティングの4Pの中でも「価格(Price)」は、長らく手つかずの領域だった。だが今、AIと経済学によってこの“聖域”を経営レバーとして捉え直し、販促費のムダを削減しながら成長投資へと組み替える道が開かれている。私たちはこの取り組みを「値引き革命」と呼んでいる。
本記事では、長年の広告運用で培った当社の実装力とアカデミックな経済学の知見を融合させ、値引き革命に取り組む「価格エージェント」事業責任者の藤田光明と、DXダイレクトビジネスセンター統括の會澤佑介に、その本質と未来、そして彼らが「やらない理由はない」と断言する理由を聞いた。