【対談】福井県×タップル “一歩踏み込んだ取り組み”で恋愛総量を最大化
2024年5月に福井県とマッチングアプリ「タップル」が「恋愛および結婚支援に関する連携協定」を締結しました(※1)。これまでの自治体と連携した取組みに加え、福井県との連携においては広告・広報の強化や、福井県民限定のアプリ内キャンペーンの実施など、恋愛総量最大化に向けて「一歩踏み込んだ」取り組みを目指しています。
4人に1人がマッチングアプリがきっかけで結婚する(※2)など、近年ではマッチングアプリの活用が進んでいます。福井県 鷲頭美央 副知事と(株)タップル代表平松が、今回の連携の背景や具体的な取り組みなどについて対談を行いました。
※1 恋愛および結婚支援に関する連携協定
※2 2023/11/16 明治安田生命「いい夫婦の日」に関するアンケート調査より
福井県の人口戦略、結婚支援
─ 福井県における人口戦略や少子化対策の取り組みについて教えてください。
まず福井県の現状についてお話しします。
福井県の人口は2000年の82.9万人をピークに現在74万人と、この24年間で約10%減少しており、今後も減少が見込まれております。人口減少は非常に厳しい課題ですね。
なぜこうなっているかというと、30代の人口が、この40年間で約40%減ってしまっていることが要因です。
また、婚姻に関しては、1980年代には30代前半女性の未婚率が1桁台でしたが、現在は約30%にまで上昇しています。
同時に晩婚化も進んでおり、出生率も全国的には高い方ではあるものの、1980年代には合計特殊出生率が2に近かったのですが、現在は1.5を下回っている状況です。
一番大きな課題は若者の県外流出で、新たに親となる若者世代が減ることで、さらに人口が減少するという負のスパイラルに陥っています。
こうした若者世代が進学や就職、結婚、出産の際に取る選択の積み重ねが、人口減少に直結している、そこを課題と捉え、そのような課題に取り組むため、令和2年度に第2期「ふくい創生・人口減少対策戦略」を策定しました。
この戦略では福井の将来を担う次世代の育成を最重要施策課題とし、4つの基本戦略に基づいて取り組んでいます。
1つ目が「希望が叶う結婚・出産・子育て応援の強化」、2つ目が「県内定着・UIターンの拡大」、3つ目が「若者に魅力ある仕事の創出とまちづくり」、そして4つ目が「持続可能な共生社会の実現」です。
結婚に関しては、人とシステムの両輪で結婚を希望する方に対して出会いの機会を拡大するなど様々な支援を行っています。
人による結婚支援としては、ボランティアで相談者のお見合いのお世話などを行う「地域の縁結びさん」や、ふくい結婚応援企業で社員の婚活のお手伝いを行う「職場の縁結びさん」に活動していただいております。
加えて、システムによる結婚支援として、福井県と県内全市町でふくい結婚応援協議会を設立し、令和2年度から「ふく恋」マッチングシステムの運用や県内全域での婚活イベントを開催し、若者世代の出会いの機会を創出しています。
恋愛総量を最大化するための連携
─ ありがとうございます。今回なぜマッチングアプリ「タップル」との連携を行おうと思われたのでしょうか。
先ほど申したような結婚に対する取り組みは毎年拡充してきているのですが、県内の婚姻数自体がずっと減少傾向にあることが、非常に悩ましい課題でした。
我々が実施してきた結婚支援は、結婚を真剣に希望する方に対しての出会いの場の提供や交際支援だったので、30代の方が主なターゲットになっていました。
一方民間の調査では、20代男性の46%、20代女性の30%が一度も交際経験がないというデータ(※3)がありますので、結婚の前にまずは恋愛をする若者を増やしていかないと、次に繋がらないのではないかという議論に至りました。
そうした中で、20代の会員が多い「タップル」と提携することで、20代との結節点を作り、恋愛の関心を高めていただき、結婚を意識していただくことに繋がれば良いという希望から、連携を提案させていただきました。
※3 令和5年 リクルートブライダル総研調査
これまで他自治体とも連携協定を結んできました。
その背景としてはマッチングアプリが世の中に受け入れられ、安心・安全に使えるようになったということの理解の広がりが第一にあります。
これからは恋愛総量を最大化させるため、何かまた別のアプローチをしたいと考えていた際に、ありがたいことに福井県からお声がけいただきました。
恋愛と結婚は分離したものではなくグラデーションだと思っています。
福井県は若い世代への恋愛の活性化にも積極的な姿勢をお持ちでいらっしゃるので、是非我々としても新しい施策をご一緒できたらと思い、具体的なご提案をさせていただきました。
─ 実際に今回の締結において、どのような施策を行っていくご予定でしょうか。
大きく3つの取り組みを進めたいと思っております。
1つ目は「若者目線での効果的な広報の展開」、2つ目は「安全にマッチングアプリを利用するための啓発」、3つ目は「若者へアプローチするための意識調査の実施」です。
「若者目線での効果的な広報の展開」では、若者が恋愛に対してポジティブになるようなキャッチコピーをつくり、県民を対象に広報していこうと考えており、「安全にマッチングアプリを利用するための啓発」ではマッチングアプリは恋人を探す若者にとって身近なツールになってきているので、タップルが持つ「安心・安全」に使用するための知識を県民に届けていきたいですね。
また、「タップル」は20代の会員が多いことも特徴の1つなので、若者は何を求めているのかを20代の「タップル」会員を対象に意識調査をさせていただきたいと考えています。
楽しい恋愛のような明るいキャッチコピーを福井県と一緒に作成して、若い世代の方に広げていき、盛り上げていきたいと思っています。
大学生も車での移動が多いと伺ったので、道路広告なども実施してキャッチコピーを広げていきたいですね。
また、当社の福井出身の社員が“化石マッチング”をしたいと言っています。中身は未定ですが福井の方が愛着の沸くようなキャンペーンやデートスポット特集なども盛り込んだ策を一緒に打ち出していけたらと思っております。
今後の展望~「恋愛」することで幸福実感を高めたい
─ 今後の展望についてどのようにお考えでしょうか。
福井県は豊かな生活環境や安定した雇用、子育てしやすい環境や高い教育水準が評価されて、長らく幸福度が日本一となっております。
若い世代も含めて、“1人よりも2人でいる方が幸せを感じる”という気持ちが今回の連携を通して広がり、個人個人の幸福実感を高めていくことに繋がればいいなと思っております。
また、新幹線が3月に県内開業したタイミングなので、県外からのお客様をお迎えしようと魅力的でおしゃれなスポットもたくさんできております。
これは県内にいる若者にとっても出かけて楽しくなるスポットになっていると思うので、是非たくさん思い出を作ってほしいですし、さらにそれが地域活性化にもつながっていくので、タップルと連携した取組みや広報力に期待したいです。
幸福度日本一や、就業率の高さなどは、これまで福井県内で様々な施策を積極的に展開されていたからこそだと思います。
今回も新しいアプローチとおっしゃっていただいているので、幸福度を更に高めるためにも福井県と恋愛総量の最大化を目指し、自治体と民間のマッチングアプリができる新しいモデルケースになるような挑戦を一緒に行いたいですね。
新しいチャレンジなので、まず1つやってみてうまくいかなかったら次のアプローチを考えて、という形でトライアンドエラーを重ねつつ、一緒に頑張っていければと思っております。
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