「タップル」が拓く、恋愛×生成AIの新境地

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ー新卒1年目が牽引、「AIメッセージアシスト」開発の裏側ー

2025年9月、(株)タップルは、初回メッセージ送信場面で自分と相手のプロフィール情報を元に、生成AIが初回メッセージを提案する「AIメッセージアシスト」を公開しました。日本国内で展開しているマッチングアプリにおいて、利用者のプロフィール情報を活用して、生成AIによるメッセージ提案を行う機能を提供するのは同社が初めてです。

本記事では、2025年4月に入社したばかりで本プロジェクトの旗振りを担った中下と、機能開発担当の田中が、開発決定の裏側から今後のマッチングアプリ業界におけるAI活用の可能性などについて対談を行いました。

※ IMS認証取得マッチングアプリでタップルのみの機能(2025年9月時点)
 

Profile

  • ジアシスト」機能の開発設計を担当。入社1年目にして「AIメッセージアシスト」プロジェクトリーダーに抜擢される。

    中下 咲帆
    2025年に(株)サイバーエージェント新卒入社。(株)タップルのプロダクト本部に所属し、「AIメッセージアシスト」機能の開発設計を担当。入社1年目にして「AIメッセージアシスト」プロジェクトリーダーに抜擢される。

  • 田中 宏樹
    2023年に(株)サイバーエージェント新卒入社。MIU AI戦略本部に所属し、生成AIを活用した機能開発や業務効率化プロジェクトを担当。

プロジェクトリーダーは新卒1年目

ー 今回、中下さんは新卒1年目でプロジェクトリーダーに抜擢されましたが、どういった経緯で選ばれたのですか?

中下:大学時代にAIのシステム研究をしていた経験があったからかと思います。研究内容としては、「AI × 恋愛相談」や「AI ×法律相談」などです。恋愛相談は、相談主体が求めている回答(共感かアドバイスかなど)をAIで予想して応答するというもの。法律相談は、弁護士事務所と連携し、刑事事件の事例に対して、罰金額や懲役期間を予測するものでした。経験を踏まえてチャンスを与えてもらい、不安はありつつも嬉しかったですね。

ー その不安はどのように乗り越えましたか?

中下:過去にタップルでリリースした「恋するAI」(2024年9月サービス終了)を開発したメンバーやAIエンジニアの皆さんをはじめ、多くの先輩社員にたくさんサポートをしていただき、リリースまで無事に乗り越えることができました。今回の経験は大きな財産になったと思います。

田中:中下さんの旗振りは、プロジェクトリーダーが初めてとは思えない程やりやすかったですし、何より頼もしかったですよ!

中下:ありがとうございます。何度も皆さんに助けていただいたおかげです!
 

機能開発最大の難所は「人間らしさ」の出力

ー 9月に公開した「AIメッセージアシスト」(利用者のプロフィール情報を活用して、生成AIによるメッセージ提案を行う機能)は、どのような経緯で開発が決まったのでしょうか?

中下:ユーザーから声が寄せられていた「マッチング後の最初のメッセージが来ない、またはこちらから送っても返信が来ないことがある」「マッチング成立後、やりとりが続かないと感じることはある」という課題を解決するために、会社のAI活用戦略の一環として開発がスタートしました。「タップル」を使って恋活・婚活をしたいけれど、最初の一歩がなかなかうまく踏み出せない方々のサポートを行い、より良いユーザー体験をしていただくことが目的ですね。

男性ユーザーが初回メッセージを送る際に生成AIから文章の提案を受けられる
男性ユーザーが初回メッセージを送る際に生成AIから文章の提案を受けられる

ー 生成AIを使った新機能ということで、開発において特に難しかった点を教えてください。

中下:まずPMの視点でいうと、「良いメッセージとは何か」を定義するのが非常に難しかったですね。男性が「送りたくなる」内容と、女性が「返信したくなる」内容。その両方を満たす「正解」を見つける必要があり、まずは社内メンバーへのヒアリングを行い、仮説を立てることから進めていきました。また、AIが「会話の中で通常は拾わない話題」を拾ってしまったり、持病などのセンシティブな話題に触れてしまったり、逆に話が広がりやすい質問を出力できなかったり、といった問題が頻発し、「人間らしい会話」をAIに覚えさせることが非常に難航しました。

田中:エンジニア視点では、やはり生成AIの「出力が不安定」である点が最大の課題でした。同じ指示を出しても毎回違う文章が生成されてしまうため、品質を一定に保つための制御をかけることに苦労しました。また、AIが作る文章特有の「AIっぽさ」を払拭する作業も大変でした。そもそも「AIっぽさ」とはどこから来るのかを定義づけして原因を特定し、自然な文章になるよう社内で何度もフィードバックを繰り返し改善していきました。
 

ーこの機能でもっともこだわったポイントはどこですか?

中下:ひとことで言うと「人間らしさ」です。その中でも「モラルのない発言をしないこと」には妥協せず向き合いました。この機能は恋愛の第一歩をスムーズに進めていただけるように「アシスト」するものなので、初回メッセージにおいてAIが誤って失礼な発言を提案してしまったら、恋愛の機会損失を引き起こしてしまう可能性もあるので、そこは徹底的にこだわりました。

田中:お互いのプロフィール情報を踏まえて、共通点に触れる ・趣味タグに言及するなど、バリエーション豊かなメッセージを提案できるようにしたことです。ユーザーが初回メッセージを作成するハードルの1つに「何を話せばいいかわからない」というものがあります。そこで、AIが話題を提供することで文章作成のハードルを下げる効果があると考えました。これは既存の技術では難しく、LLMならではの強みだと思っています。

ー 生成AIを活用するという点において、不安に感じる方もいるかと思います。ユーザーが安心して使える機能にするために、どんな工夫をしましたか?

田中:プロンプトに、センシティブな内容などの会話として不適切な内容を生成しないように指示を与えています。また、万が一のことを考え、LLMの出力を監視できる仕組みも導入しました。これにより、仮にセンシティブな文章が生成されても検知して対応できる体制を整えています。とはいえ完璧な対応は難しいため、送信前にユーザーご自身で確認することを推奨しています。

中下:そうですね、センシティブな内容を出力させないという点は最も優先度を高く設定し、エンジニアチームと連携しました。毎日のようにユーザー視点での要望をエンジニアチームに伝え、技術的に実現可能なのかを擦り合わせて… ただ、田中さんのお話にもあった通り、本機能はあくまでも「アシスト機能」として使っていただきたいので、ご自身で内容を編集していただくようチュートリアルで丁寧にご案内しています。ぜひうまく活用して恋愛の第一歩として役立てていただきたいです。
 

マッチングアプリ×AI活用の未来

ー 今後、マッチングアプリ業界においてAI活用はどのように進んでいくと思いますか?

中下:「タップル」では、今後もAIの立ち位置はユーザーの個性や魅力を引き出す「サポーター」的存在であることは変わりません。活用においては、例えばプロフィール作成を手助けするなど、ユーザー体験を向上させるための活用をもっと進めていきたいですね。

田中:マッチングアプリ業界全体としては、AI活用によって、現在の単なるキーワード一致によるマッチングだけではなく、写真の雰囲気や会話のニュアンスといった、より人間的な感覚に近い要素でのマッチングが可能になるかもしれません。AIが恋愛のコーチのような役割を担う未来も考えられますね。

ー 最後に、AI活用が進んでいくことを踏まえて、タップルでは今後どのような方と一緒に働きたいですか?

中下:常にユーザーファーストで物事を考え、AIをユーザー体験向上のための手段として捉えられる方とぜひ一緒に働きたいです。どんな方法でユーザーの恋活・婚活のサポートができるか一緒に考えていきたいです。

田中:中下さんの意見に加えて、新しい技術への探求心がある方ですね。AI活用のリスクもきちんと理解し、ユーザーのために何が最善かをバランス良く考えられる方がタップルにはフィットすると思います。一緒に道を切り開いて行きたいです。
 

(株)タップルは中途採用を実施しております。

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