ゲーム業界を目指す学生が身につけたい“3つの力”
~専門学校HAL ・ サイバーエージェント特別講義レポート~
専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)で、サイバーエージェントによる特別講義「HAL卒業生が本音で話す ― ゲーム開発・制作に活きる学生時代の過ごし方」が実施されました。当日は3校合わせて約500名の学生が参加し、制作や進路についての質問が多く寄せられるなど、終始熱意溢れる講義となりました。
登壇したのは、いずれもHAL卒業生であり、現在はゲーム開発の最前線で働く3名。(株)アプリボット執行役員の大洞、3Dキャラクターアーティストの松田、(株)QualiArts 3D背景リードデザイナーの大井です。それぞれの学生時代の過ごし方や、現場での経験から得たリアルな学びをお伝えしました。
本記事では、その講義内容を「ゲーム業界を目指す学生が身につけたい“3つの力” 」として再構成し、ご紹介します。
目次
1. “協働力”――チームでつくる力を磨く(3D背景リードデザイナー大井)
2. “自己プロデュース力”――市場価値を高めるための動き方(3Dクリエイター松田)
1. “協働力”――チームでつくる力を磨く(3D背景リードデザイナー大井)
2023年サイバーエージェント新卒入社。スマホゲームの企画・開発・運用を行う(株)QualiArtsに所属し、3D背景リードとして新規・運用タイトルの背景デザインやディレクションに携わる。
私は、学生時代に経験したチーム制作が、今の自分を支える大きな土台になっていると感じています。
入社1年目には3D背景リードを任され、3年目には新規プロジェクトでディレクションにも携わりました。制作が重なる時期は苦しいことも多かったのですが、それでも乗り越えられたのは、HALで培った人とつくる経験があったからだと思っています。その“チーム制作”の経験を確実に力にするために大切な考え方をご紹介します。
◾️ 挑戦して役割を広げる
学生時代、私は監督やリーダーといった「まとめ役」に手を挙げることが多くありました。当時は「自分の作品を作れたらいいな」くらいの気持ちでしたが、実際にやってみると3Dの技術よりも人を動かすことの難しさを実感することが多かったです。メンバーによって熱量の差がある、意見がぶつかる、誰か一人だけ頑張っても前に進まない。そういった“チームでつくる難しさ” を学生時代に経験できたことが、入社後も非常に活きていると感じています。
このように挑戦してみるからこそ初めて知ることが多いと思います。挑戦の形はリーダーという経験だけでなく、新しいツールを使ってみる、企画をしてみるなどさまざまですが、学生は失敗も含め全て学びになります。ぜひみなさんも学生のうちからさまざまなことに挑戦してみてほしいと思っています。
◾️ コミュニケーションにこだわる
チーム制作では、“コミュニケーション”がプロジェクトの成功を大きく左右します。リーダーを経験して感じたのは、相手にどう伝えるか を意識することの重要さです。
たとえば進捗を確認したり相談したりする際には、伝え方に気を配っていました。
・事実
・思ったこと
・意図
を分けることで、高圧的にならずコミュニケーションもスムーズになります。これはリーダーに限らず、どんな立場の人にも必要な姿勢だと感じています。また、毎週決まった時間に話す、情報共有ツールを使うなど、場づくりも大切です。
◾️ 俯瞰した目線で、いろいろな業務を知る
ゲーム開発には、多くの職種が関わっています。そのため、ツールやワークフロー、工数の考え方など、自分の専門外の知識を少し持っているだけでも、現場での立ち回りは大きく変わります。学生のうちから、ぜひ「自分以外の職種の動き」も気にしてみてください。
2. “自己プロデュース力”――市場価値を高めるための動き方(3Dクリエイター松田)
2023年サイバーエージェント新卒入社。スマホゲームの企画・開発・運用を行う(株)アプリボットに所属し、3Dキャラクターチームのサブリードとして運用タイトルのキャラクター/武器/衣装モデルと関連素材の制作、ディレクションなどを担当。
参考記事:専門学生からゲーム業界へ。コンテスト受賞から始まった3DCGクリエイターへの道
限られた時間の中で理想の企業に近づくためには、「どうすれば“その企業が一番欲しい人材”になれるか」を常に考えて行動することが大切です。そこで私は学生時代、「自分の市場価値をいかに上げられるか」を考えて動いていました。その中で特に意識していたのが、「上手くなる」と「目立つ」の2点です。
◾️ いかに他の人よりうまくなれるか?
アーティストとしての市場価値を上げる方法は大きく分けると2つあります。1つの分野で突出したスペシャリストになるか。もう1つはできることの幅を広げ、引き出しの多い人材になるか。私は後者が向いていると考えたため、使えるツールや技法をとにかく増やすことに力を入れていました。
ただし、幅を広げてもクオリティが中途半端になってしまっては意味がありません。そのため、作風やテイストはあえて絞り、深める方向に時間を使っていました。時間の限られた学生時代だからこそ、学ぶ量と仕上げる質のバランスを戦略的に考えることが必要だと思っています。
また、クオリティをあげるために意識していたことは「できたものを積極的に見せてフィードバックをたくさんもらう」ことです。私は学生の頃から積極的に作品を見せ、友人や先生からフィードバックを受けてきました。また、HALには同じ目標を持った仲間と高め合える環境があり、これはHAL生の特権です。
社会に出ると、難しいフィードバックに向き合う場面が多くあります。学生のうちに慣れておくことで、後の自分を助ける力になると感じています。
◾️ 自分から発信して“知ってもらう”
「目立つ」ためにおすすめしたいのが、社内外のコンテストに全力で挑戦することです。コンテストは思った以上に見られていますし、何よりも締切に向けて全力で仕上げる経験は今でも仕事に活きていると感じます。また、私はコンテストでの受賞経験以外にも、SNSでの作品公開、制作過程の発信を積極的に行っていました。それが自分の市場価値を高める大きなきっかけになったと感じています。
全力で市場価値をあげようとする経験が会社に入ってからも役に立っていると感じるので、皆さんもぜひ意識してみてください。
3. “目標設定力”――自分の芯を明確にし、時間を無駄にしない(開発責任者 大洞)
2018年サイバーエージェント新卒入社。(株)アプリボットの役員としてエンジニアやPM、QAなど開発に関わる組織づくりのほか、プロジェクトメンバーとして運用タイトルの開発責任者を担当。
「ゲーム業界で働く」という目的に向けて、どのような目標を立てるべきなのか。身につけるべきスキルや授業以外に何をするべきなのかなど、ぱっと詳細に出てくる人は少ないのではないでしょうか。学生生活の時間は限られています。そして、就職活動のタイミングは誰にとっても同じように訪れるため、限られた期間で迷わず進むために必要なのは「目標の解像度を上げる」ことだと思っています。どのように解像度をあげるのか、自分が行ったことからご紹介します。
◾️ 自分の芯を明確にする
「ゲーム業界に入りたい」という目的にも、さまざまな具体があります。
・どんな作品をつくりたいのか
・どんな会社で働きたいのか
・どんな役割を目指したいのか
これらを言葉にし、自分なりに“芯(=目的の具体)”を決めてみることが第一歩です。
私自身、学生時代はここが曖昧なまま動いてしまい、後になって「もっと早く考えておけば良かった」と後悔した経験があります。芯を決めれば、そこからやるべきことが自然と整理されていきます。また、芯は変わっても良いものです。今時点で何を芯として持つか、そこに向き合うことが大切です。
◾️ ライバルを知ることで、必要な行動が見えてくる
外部イベントや企業説明会に参加すると、自分と同じ目標を持つ学生のレベルや取り組み方が見えてきます。私も学生の頃、外部イベントに参加したことで、多くの刺激を受け、自分の芯の解像度も一気に上がった経験があります。1~2年生のうちから参加できるイベントもたくさんあります。 少しでも興味があれば、ぜひ外の世界に触れてみてほしいと思っています。
◾️ 学校をうまく活用する
学校の先輩がどのような会社に行ったのか、その人は学生時代に何をやっていたのかなど、学校にはたくさんの情報が集まっています。気になっている職種や企業に近い人から話を聞くことは目標の解像度を高める最短ルートです。特にHALにはゲーム志望の学生が多く集まる場所ですので、その環境をうまく活かしてほしいと思います。
まとめ
3名の講義内容で共通しているのは「自分で選び、自分で動く姿勢」です。ゲーム業界に限らず、どんな進路でも“主体的に選び続けること”は大きな力になります。この記事を通して、「どんな未来を描きたいのか」「そこに向けて何を選び、どう動くのか」を考えるきっかけになれば幸いです。
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