開国は今だ。
世界で戦う日本発のコンテンツを創る
Profile
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Content Producer
株式会社storyboard 代表取締役社長
藤野 良太
大学卒業後、2006年に株式会社フジテレビジョン入社。 主なドラマプロデュース作品に「水球ヤンキース」(2014)、「恋仲」(2015)、「好きな人がいること」(2016)、「刑事ゆがみ」(2017)、「グッド・ドクター」(2018)など。 プロデュースしたドラマは国際エミー賞・バンフ世界メディア祭・ニューヨークフィルムフェスティバルなどに出展。
第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞・作品賞受賞。 フジテレビ在籍中からCM制作を手掛け、代表作に山﨑賢人を起用したGalaxy S7 edge「どんな君も、逃さない」シリーズなど。
2019年7月1日、日本発のコンテンツスタジオ、株式会社storyboardを立ち上げる。2020年2月20日「ABEMA」にて放送開始予定のドラマ「僕だけが17歳の世界で」のプロデュースを担当。
「ABEMA」がダメになったら日本のコンテンツ産業が終わる
──「ABEMA」にジョインした理由を教えてください。
「ABEMA」立ち上げ前から、編成制作本部制作局長の谷口さんとは知り合いで、私の独立をきっかけに声を掛けてもらいました。フジテレビで培ったドラマ制作のスキルを生かして、ネットやアニメ、CMなど様々なコンテンツにもチャレンジしたいと思ったことも独立した理由の1つだったので、ネットコンテンツにはいずれチャレンジしたいと思っていました。
世界的にみて、現在日本のコンテンツの影が薄くなってきていると感じています。そんな状況の中、「ABEMA」がダメになってしまったら日本のコンテンツ業界は終わると思っています。それもジョインしようと思ったきっかけですね。
現在は民放局以外にも、Netflix、Amazonなど予算もスケールも大きくクオリティの高い作品が手軽に見れるような環境になってきています。そして、来年にはDisney+やHBO Maxといった配信サービスがやってきます。「ABEMA」が成功しないと、日本発の動画プラットフォームって二度と出てこないのではと思っているんです。今、「ABEMA」は若い世代が圧倒的に見るようなプラットフォームになってきています。ドラマ制作を通して、「ABEMA」を成長させる一助になることにやりがいを感じています。
あとは、とにかく人がいい(笑)。「ABEMA」で会う人はいい人で純粋だから、私も感化されています。“藤田晋”というカリスマがいて、彼が指針としているものに全員が向かいながら、付加価値をどうだすか日々考えている環境です。私自身も新入社員になったつもりで藤田社長から多くのことを吸収させていただいています。
──「ABEMA」と地上波の違いは何だと思いますか?
マスにコンテンツを届けることが宿命の地上波は老若男女誰が見ても理解でき、誰もが面白いと思えるコンテンツでなければなりません。でも、今はコンテンツに対する欲求がとても細分化されていると感じています。それに対して「AbemaTV」は対象を絞った企画も実行することができます。例えばティーンズをターゲットにしたドラマをつくろうとか、そういう対象を絞った企画が「ABEMA」だと出来る。これはすごく面白いです。
あとは、良い意味でまだ未完成で急激に成長中の組織です。民放局は長年のノウハウが溜まっている分、しっかりとしたルールがあります。それにくらべて、「ABEMA」は手探りながら自分たちでルールを創っていかなければなりません。与えられたルールの中で仕事をするか、自分たちで汗をかきながらルールをつくるか。これは本当に大きな違いだと思います。
ものづくりの原点を学んだフジテレビ時代
──フジテレビでのキャリアを教えてください。
2006年に新卒で入社をした私は、昔からドラマや映画が好きだったので、ドラマチームへの希望を出していたのですが配属されたのはイベント事業部。入社までに取得必須の資格などを全て無視していた結果です(笑)。
最初はジャニーズ事務所さんの担当をさせていただき、配属初日に「横浜アリーナでライブがあるから行ってこい」と言われて現場に向かいました。今だからこそ言えますが、それまで正直ジャニーズさんのタレントのファンでもないですし、かつ希望通りの配属ではなかったことが二重にショックで、道中は一人で文句を言っていたんですよ(笑)。
でも、そんな気持ちは開演と同時に吹き飛びました。ものすごい演出とパフォーマンスで、一万人以上の観客を笑顔にし、会場中が歓喜で溢れている。「これぞエンターテイメントだ!」と、とても感動したのを覚えています。この経験が本当に大きくて。
それまで私は、ものづくりは自分の感性だけでするものだと思っていたのですが、世の中が面白いと思うことを捉え、多くの人に届く面白さとはなんだろうかと考えるようになりました。最初がドラマではなく、イベント事業からスタートしたからこそ身についた考えだと思います。
そこから2年間舞台やコンサートのプロデュースをさせてもらったのですが、非常に濃い経験をしました。1年目からフロントに立ち、企画から演出、キャスティングなど自分で動かし、全てに責任を持つポジションを任せてもらいました。ドラマ制作では到底関われないような方々と仕事をさせてもらうなど、本当に恵まれていたと思います。
ドラマに異動したのは3年目から。すぐにプロデューサーをさせてもらえるかと思いきや、まずは現場からだと、2年間アシスタントディレクター(AD)を経験しました。これが記憶もないくらい本当にきつかった(笑)。ただその中でも「絶対にヒットコンテンツを創る」というモチベーションで日々仕事に取り組んでいました。
──どのようにしてプロデューサーになったのでしょうか?
私の場合は、ADをやりながら脚本を全部書き直してプロデューサーに渡していました。「こうした方が面白いですよ!」という感じで。それに対して怒られることもありましたが、面白がってくれるプロデューサーもいて。そういった形で自分に求められるタスク以上のことをしていった結果じゃないかと思います。
そしてその時期は視聴者の意識や感覚が新しくなっていたので、新たな視点で時代に合った番組をつくれるプロデューサーを育てようという時期でした。そこで深夜帯に枠を設けることになり、入社5年目でチーフプロデューサーとしてデビューすることができました。
── 一番印象に残っている仕事を教えてください。
月9ドラマ「恋仲」にはすごく思い入れがあります。恋愛ドラマが当たらなくなってきたと言われている中で、若い視聴者に向けて、若いキャストで作品を作って欲しいというオーダーをもらいました。10代が見てくれたらいいと思いつくったところ、初回放送は同枠初の1ケタ視聴率9.8%という結果に。しかし、そこからTwitterとの連動企画や、生放送を導入するなど、様々な仕掛けを実施したところ、終わってみれば平均10.8%を記録し、同シーズンのドラマの中では上位に食い込むことができました。10代の視聴率が伸びただけではなく、その上の層にも波及し、良いムーブメントを起こせましたし、やりきった作品だと思います。
その時にある視聴者の方から手紙をもらったんです。「恋仲」は簡単に言うと、幼馴染に想いを伝えられずに離れ離れになってしまい、7年後に再会をするという話です。その手紙をくれた方も幼馴染が好きで想いを伝えられずにいたと。しかし、「恋仲」をきっかけに相手から花火大会に誘われたらしく、そこでどうなるかわからないけど想いを伝えてみますという内容だったんです。さらに続きもあって、「グッド・ドクター」の時にも同じ方から手紙をもらい「ちょうど進路に悩んでいたのですが、ドラマを見て看護師の仕事に興味を持ちました」という内容でした。
嬉しいですよね、誰かの人生を変えるきっかけになることもある。ものづくりって面白いなと思いました。
黒船がやって来た、開国は今だ
──どのような方と一緒に働きたいですか?
スケールの大きな話になってしまいますが、資源も乏しく、GAFAのような巨大なプラットフォームにまだまだ敵わない日本の、世界での勝算はコンテンツ産業だと思っています。
日本は島国なので自国のみを見ていけば良かったんですけど、それが崩れたのが今年だったんです。
今の日本は幕末と似ていると感じています。黒船がやってきたんです。
それは韓国発の人気グループBTSやBLACKPINK。彼らは東アジアだけでなく、欧米をも熱狂させて成功させた。向こうの若者が、韓国発のコンテンツに目を向けているんですよね。また、タイで開催された人気野外フェス「S2O SONGKRAN MUSIC FESTIVAL」に足を運んだ時に、日本はエンターテイメントの分野で負けていると強烈に思い知りました。
黒船がきて、日本が幕府を解体し近代国家へと発展したように、今回も世界からの刺激を受け自国の動画プラットフォームや、コンテンツが育つと信じています。開国は今なんです。
だから「ABEMA」は明治維新を起こさなければなりません。そういう混沌とした時期に必要なのは、藩を超えて習慣やルールに縛られずに縦横無尽に動く自ら動ける人材だと思います。そういった人が新しい価値感、未来を作れると思うので、チャレンジ精神あふれる人と働きたいですね。
──今後どのような仕事をしていきたいですか?
「現象を創るドラマ」を生み出したいです。月9を担当している時は、ドラマをつくっているという感覚よりも、いかに憧れのライフスタイルを創出できるかを考えていました。これから「ABEMA」に入ってくる人たちは、私とは全然違う感性を持っているはず。そんな仲間と一緒に“次世代の憧れ”を創る仕事をしていきたいですね。若い人に支持されているプラットフォームだからこそ、実現できると思っています。
次世代の憧れを作る人、求ム
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