使いこなすより、向き合い方を。 AIネイティブ世代の新卒に届けた「ABEMAでAIと働く」研修

技術・クリエイティブ

ABEMAには今年、44名の新入社員が配属されました。社会人1年目からAIツールを業務に活用することが前提となる、いわば「AIネイティブ」ともいえる世代を迎えるにあたり、メディア事業の現場に特化したスキルアップ研修「ABEMAでAIと働く」を開催しました。

ABEMAが今年の新卒に届けたのは「ツールの使い方」ではなく、「ABEMAの一員として、どうAIと向き合うか」という問いでした。AIが業務の前提となっている組織だからこそ、全員のリテラシーが揃っていることが事業の信頼と競争力に直結します。本記事では、その背景にあるAIリテラシーやセキュリティの考え方をお伝えします。

Profile

  • 熊田 和歌 ( (株)AbemaTV 経営管理本部)
    2015年入社。経営管理本部組織推進室という部署で、ABEMAの組織ごとのキャンペーンや活性化、AI活用などの推進を担当。2026年の新卒研修では、スキルアップ研修の企画・運営を担当。

AIが前提の組織で、大切にしていること

── ABEMAでのAI活用の現状や、若手がどのようにAIを駆使して仕事をしているか教えてください

熊田:ABEMAではすでにAIを業務で活用することが前提になっています。サイバーエージェントグループで取り組んでいる「AI番付」(全社のAI活用レベルを可視化して、全体のスキルを底上げするための取り組み)の結果を見ても、社員それぞれが市場のリサーチや企画案のレビュー、スコアリング、資料の骨子作りなどでAIを活用しています。

その一方、AI活用の範囲が広がれば広がるほど、正しく使うための判断力も組織全体で求められると実感しています。いわばAIネイティブの世代の若手が入ってきて、あたりまえにAIを駆使して仕事をするからこそ、便利さの裏側にあるリスクやハレーションを、入社したタイミングで一緒に考えられる場をつくりたいと考えました。

研修の冒頭には、専務執行役員 兼 (株)AbemaTV取締役の長瀬からメッセージが届きました。

長瀬:皆さんには、AIを使って仕事を前に進める力だけでなく、安全に使いこなすための感覚も、入社の段階から身につけてほしいと思っています。ABEMAでは、スピードや挑戦が大事なのはもちろんですが、それと同じくらい、視聴者や出演者、ステークホルダーとの信頼を損なわないことも重要です。攻めと守りの両方を理解したうえでAIを使いこなし、自分の仕事の幅を広げながら、最終的には事業や業績にきちんとインパクトを出せる人材に育っていってほしいと思っています。

「AIが作ったから」ではなく、「自分が作った」と言えるために

熊田:研修は講義とワークで構成されました。まず登壇したのは、Principal Platform Engineerの永岡 克利です。ABEMAにおけるAIルールの整備を担う立場から、業務でAIを使うにあたっての考え方を共有しました。

※永岡 克利( Development Headquarters Platform Division / Principal Engineer)
※永岡 克利( Development Headquarters Platform Division / Principal Engineer)

永岡:ABEMAは多くの生成AIサービスを業務で活用できる環境が整っています。汎用チャット・コードエディタ・画像生成など6つのカテゴリで20種類以上の生成AIサービスが揃っています。気兼ねなく検証や開発に使える環境がある分、正しく使うための判断軸も持ってほしいと思っています。

永岡:そして、業務を行う上で意識してほしいのは3つ。承認されたサービスの範囲で使うこと、AIの出力を自分のアウトプットとして責任を持つこと、迷ったときは自己判断せずに相談すること。特に、自律的に動くエージェント型AIを利用する場合は「AIがやったこと」は通用しません。承認前には内容が目的に沿っているか、事実関係や権利・セキュリティに問題ないかを必ず確認し、最終的な判断と責任は自分が持つようにしましょう。

熊田:続いて、AI Centerの前越と小田原が、一般的な生成AIの利用において業界で実際に起きた事例を交えながらリスクを共有しました。個人情報や社外秘を承認されていない外部AIに入力したことでトラブルに発展したケースや、生成AIの出力に含まれるハルシネーションのリスクなど、世の中の事例が、「自分にも起こりうる」という視点で次々と紹介されました。

小田原:AIはどんどん活用してほしいと思っています。ただ、出力されたものの責任は使った本人にあります。情報源を確認せずうのみにしていないか、自分の言葉で説明できるか、相手の立場を想像できているか?といった視点を持ちながら使ってほしいと思います。AIはあくまでツールです。仕事のオーナーシップは、自分が握るという事が、この研修で一番伝えたかったことです。

前越:業務効率化のためにいろんなAIを試したくなる気持ちはよくわかります。でも、個人情報や社外秘の情報を入れる前に少しだけ立ち止まってほしいです。簡単な予防だと、例えば名前をイニシャルにする、社名をA社にするだけで防げるリスクがたくさんあります。30秒だけ立ち止まり、自分の頭で考えて、必要な手間を惜しまないでほしいというのが、私から伝えたいことです。

ルールの中で工夫する楽しさを

熊田:講義の後半には、チーム対抗のワーク「AIビンゴ」が行われました。設計を担当したのは、開発本部の中澤です。

中澤:ワークのテーマは「指定されたAIツールを使いながら、ABEMAとして求められる品質や視点を踏まえ、どのようにアウトプットを磨き上げるか?」でした。課題は新番組のキービジュアル案やSNS告知文の作成、新規の事業立案など、実際の業務に近い課題をテーマにしました。AIツールのルールを守ることは前提として、その上で受け手の気持ちを想像しながら品質を追求できるかをポイントにしました。

また、各チームにはメンターがつき、「なぜこういう構成にしたのか?」「AIを使ったこのアウトプットの意図は何か?」と問いかけていました。メンターの役割は、自分なりの意図や判断を持てているかを気づかせることを想定しました。どういう意図でAIに指示を出し、出てきたアウトプットを確認し、納得いくクオリティになるまでチームで磨いたか? 自分なりの考えを言語化して、相手に伝えることが大事だと思っています。バックグラウンドの違うメンバーが観点をすり合わせながら、ABEMAとしての最高品質をチームで目指すワークを設計しました。

ABEMAが考える「AIに強い人材」とは

熊田:AIに強い人材というのは、使いこなせるだけでなく、正しく判断して、責任を持って使える人だと思っています。ABEMAのAI活用がこれからも広がっていく中で、そういう人たちと一緒に組織をつくっていけたらと思っています。

今回の研修は、5月から6月にかけて展開するスキルアップ研修シリーズの第一弾です。AI活用の推進と、それを支えるリテラシーの底上げを組織的に進める取り組みの一環として、今後も継続していきます。

AIが日常になった時代だからこそ、自分の意志と判断を持ってAIと向き合える人材が求められています。ABEMAはそんな人が活躍できる場所を、これからも広げていきます。

株式会社AbemaTV採用情報

株式会社AbemaTVは、新しいアイデアやテクノロジーを取り入れながら、エンターテインメントの未来を共に創る仲間を募集しています。

この記事をシェア

オフィシャルブログを見る

記事ランキング

AI時代に「自ら考え、価値を生み出す」エンジニアを育てる
26新卒エンジニア研修の全容と次世代への期待

技術・クリエイティブ

サイバーエージェントでは、新卒エンジニアの早期活躍を後押しするため、時代に合わせ実践的な技術研修をアップデートしています。生成AIの活用が当たり前になりつつある今、エンジニアに求められる力はどのように変化しているのでしょうか。

本記事では、26新卒エンジニア67名が参加した約1ヶ月の「エンジニア研修」に密着。全体責任者を務めた上野貴史に研修テーマの背景、現場社員による講義、CHOによるワークショップの意図、実践的なチーム開発の裏側、そして次世代を担う新卒エンジニアたちへの期待について話を聞きました。

Page Top