ニューヨークを熱狂させた「進撃の巨人」-the Musical-が魅せる、革新的な舞台演出へのこだわり

コミックス累計発行部数1億4千万部を突破した、大人気漫画『進撃の巨人』(別冊少年マガジン/講談社)。本作の舞台化には、2.5次元ミュージカルを展開するネルケプランニングも参加しています。「進撃の巨人」-the Musical-は、2023年に大阪と東京で初めて上演され、翌2024年10月にはアメリカ・ニューヨークで海外初公演を果たしました。ニューヨークでは全4公演で約9,000人の観客を動員し全席完売、現地メディアや観客からも高い評価を得るなど、大成功を収めました。12月には東京、そして翌1月には大阪で日本凱旋公演を上演予定です。
本インタビューは、「進撃の巨人」-the Musical-のプロデューサー松本美千穂に、本舞台の見どころや制作のこだわり、またニューヨーク公演の成功について話を聞きました。
最新のテクノロジーやギミックを駆使した
「進撃の巨人」-the Musical-のこだわり
─ 「進撃の巨人」の舞台化が決まった時の心境は?
2.5次元ミュージカルを世界で上演するには原作の高い認知度が不可欠ですが、「進撃の巨人」は絶対に世界に通用するという自信がありました。世界的に人気の高いタイトルを舞台化できる喜びとともに、制作過程から世界進出を念頭に置いて取り組みました。

幼少期からエンターテインメントの世界に触れ、2006年株式会社ネルケプランニングに入社。
2016年取締役に就任。主な作品として、舞台「鬼滅の刃」、舞台「パタリロ!」、「ヒプノシスマイク」-Division Rap Battle-』Rule the Stage –、劇団EXILE公演、乃木坂46出演作品など。様々なジャンルの舞台化の企画に携わる。
─「進撃の巨人」-the Musical-は原作のどの部分を描いた作品なのでしょうか?
およそ原作の1巻から4巻くらいまでを描いています。どの作品も漫画の導入部分には作品の軸が描かれていると思っており、世界で通用するにはその導入部分をしっかり描くことが重要だと考えました。作品によってはもっと長い巻数を描くこともありますが、そうするとどうしてもダイジェストのような描かれ方になってしまいがちです。世界観をより深く伝えるためには丁寧に描く必要があると考え、「進撃の巨人」においては冒頭部分を舞台化しました。
─ 「進撃の巨人」-the Musical-のこだわりを教えてください。
ネルケプランニングの舞台づくりは「原作に忠実」をモットーにしており、「進撃の巨人」-the Musical-においても意識したポイントです。脚本づくりの段階から脚本家と密に連携し、ファンの期待を裏切らず、かつミュージカルならではのダイナミックな演出を心がけました。
キャスティングにおいては、常に骨格を重視しています。キャラクターの体型や顔の造りなどを原作から綿密に研究した上でキャスティングしています。ニューヨーク公演でも、各キャラクターが登場するたびに観客から大きな歓声が上がり、原作ファンの期待に応えられたのではと感じています。

最大のこだわりは巨人の演出です。演出家の植木豪さんのアイデアで、登場する巨人の演出は様々な手法を用いて表現しています。植木さんはテクノロジーとアナログの融合で演出を考えるのが非常に上手な方で、映像や巨大パペットなど、様々な表現方法を用いて巨人を舞台上に出現させました。
また、立体機動装置のアクションも本作の大きなこだわりの一つです。ワイヤーと映像を巧みに組み合わせることで、キャラクターたちが街を縦横無尽に動き回ったり、巨人と戦うシーンをリアルに表現しています。観客の目の前で繰り広げられる、まるで空中を飛んでいるかのような迫力あるアクションは、本作の大きな見どころとなっています。

引用元:「進撃の巨人」-the Musical-YouTube
全4公演で約9,000枚のチケットが完売!
ニューヨーク公演を経た海外での手応え
─ 2024年10月にはニューヨークで初めて上演されました。手応えはいかがでしたか?
「ニューヨーク・シティ・センター」にて4公演を行い、全日程のチケット約9,000枚が完売するなど、大きな手応えを感じました。特に印象的だったのは、公演開始前の出来事です。開演前に劇場内で巨人の足音を出す演出があるのですが、その時点で観客からの歓声と拍手が鳴り止まなかったんです。正直なところ、開演前は楽しみ半分、世界に通用するのかという不安が半分という心境でした。しかし、観客の反応を目の当たりにし、新しい歴史を刻んだ瞬間を見た気がしました!
公演中も、エレン・イェーガーをはじめとする人気キャラクターが登場するたびに大きな歓声が上がりました。さらに、全公演でスタンディングオベーションをいただき、日本発のコンテンツが持つポテンシャルを強く実感しました。「進撃の巨人」という作品の世界的な人気と、2.5次元ミュージカルという日本独自の舞台が、国境を越えて人々を魅了する力を持っていることを改めて認識しました。

公演後の反響も非常に大きく、ニューヨーク・タイムズをはじめとする現地メディアから高い評価を得ることができたのは、私たちにとって大きな励みとなりました。また、実際に公演を観た現地のファンからも多くの好意的な感想が寄せられ、海外のお客様にも十分に楽しんでいただけたことを実感しました。

─ ニューヨーク公演が成功した要因はなんでしょうか?
最大の要因は、やはり原作の高い認知度だと考えています。「進撃の巨人」は世界的な人気を誇るタイトルですので、それが大きな追い風になりました。加えて、日本の漫画やアニメの舞台化自体が、ニューヨークにおいて革新的な試みだったのではないでしょうか。この点については、ニューヨーク・タイムズで「文化も人種も年齢も異なる人々が一緒に応援するというのは、劇場に観衆を呼び込む新たな方法なのかもしれない。文化は常に変化している、ブロードウェイも同じように変化していくべきだ(※)」というようなコメントがありました。
さらに、私たちが用いた映像技術やプロジェクションマッピングなどを駆使した演出方法が、現地の観客にとって新鮮だったのではないかと思います。アニメや漫画の世界観を忠実に再現しつつ、最新のテクノロジーを融合させた演出スタイルが、海外の観客の心を掴んだのだと考えています。
※引用元:https://www.nytimes.com/2024/10/26/theater/attack-on-titan-anime-broadway.html
─ 全席完売の理由は?
ニューヨーク公演を発表した際に非常に高い注目を受け、その反響が完売へ大きな弾みとなりました。また、タイムズスクエアでの屋外広告(OOH)や、インスタグラムなどを活用したPRも功を奏しました。多角的なアプローチにより、多くのファンに公演の存在を知っていただくことができました。
公演を通じて、アメリカ国内ではニューヨーク州を含む 48 の州からファンが集まり、その他、カナダ、フランス、シンガポールなど 20 か国以上の世界中のファンが駆け付けてくれました。今後は世界中で「進撃の巨人」のミュージカルが観られるようにできたらと思っています。

2024年12月から始まる日本凱旋公演への意気込み
─ 2024年12月から日本凱旋公演が始まります。どのような人に観てもらいたいでしょうか。
原作ファンの方々はもちろん、舞台やミュージカル好きな方にもぜひ楽しんでいただきたいです。本作は、主人公・エレンを筆頭に、人間が自由を勝ち取るための闘いを描いた物語です。そのため、何か困難に立ち向かう勇気や活力を得たいと思っている方にも強くおすすめしたい作品で、「進撃の巨人」を知らない方でも十分に楽しめると思います。
また、全公演での英語字幕の導入が決定し、舞台両脇の専用スクリーンに英語字幕を表示します。日本凱旋公演でも、世界中のお客様にお楽しみいただけたら嬉しいです。
─ 公演を楽しみにしているファンの方々へメッセージをお願いします。
今回の日本凱旋公演では、特別な体験をしていただけるよう、特典をご用意しました。来場者特典としてお渡しする、原作者の諫山創先生のイラストを使用した特製ビジュアルカードのプレゼントがその一つ。そして劇中曲「Now or Never!」のシーンに限り、全公演写真・動画の撮影が可能です。これはニューヨーク公演でも大好評でした。公演と合わせてこれらの特典もぜひ楽しみにしていただければと思います。
本作は、テクノロジーやワイヤーアクションなどを用いたダイナミックな演出のほか、音楽面でもミュージカル曲からHIPHOPまで、幅広いジャンルの楽曲を取り入れ、最初から最後まで飽きることなく楽しんでご覧いただける作品に仕上がっています。ぜひ劇場に足を運んでいただき、「進撃の巨人」の世界を五感で体感してください!皆様のご来場を心よりお待ちしております。

「進撃の巨人」-the Musical-
東京:2024年12月13日(金)~12月22日(日)TOKYO DOME CITY HALL
大阪:2025年1月11日(土)~1月13日(月・祝)オリックス劇場
https://www.nelke.co.jp/stage/shingeki-musical24/

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