「N organic」のクリエイティブディレクターが語る、緊張感に満ちたリアルプロダクトをつくる魅力
リアルプロダクトのデザインは、単なる見た目の美しさだけではなく、機能性や使い心地、そしてブランドの世界観を形づくる重要な役割を担っています。
本記事では自然派スキンケアブランド「N organic」のクリエイティブディレクターを務める(株)シロクの米川が、プロダクトデザインの魅力と奥深さをお伝えします。
Profile
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米川 優衣 / (株)シロク 「N organic」クリエイティブディレクター
総合大学在学中に知り合った教授と一緒に、作品づくりをするようになりデザインに興味を持ち、デザイン・アートを学ぶために1年間留学。卒業後、女子美術大学 短期大学部 造形学科 デザインコースに再入学する。2012年株式会社サイバーエージェントに新卒入社後は、ゲーム事業に配属。メディア事業でのUI/UXデザイナーを経て、サイバーエージェントの子会社である株式会社シロクに異動。「N organic」の担当となり、リアルプロダクトのデザイナーへシフト。現在はクリエイティブディレクターとしてチームと「N organic」ブランドを育てる。
容器から店舗まで、すべてをデザインしてプロダクトの在り方を形づくる
リアルプロダクトをデザインする時は、まずはどういう商品にするかという強みやコンセプトを考えて、それに基づき競合分析をして、ターゲット設定を行います。そこからさらにデザインコンセプトに落とし、ポンプなどの容器や化粧箱などのパッケージを考えていきます。中身が出づらくないか、などの使い心地や触り心地まで考えて工場や印刷会社の方たちと何度も改良を重ねます。
また、その商品を紹介する同梱物や冊子、ポスターなどの掲示物やCM、キービジュアルも作成するため、カメラマンやスタジオの設備とも連携しながら進めていきます。さらに直営店を出すにあたっては、ブランドを体現する什器や内装、体験を模索しながら、インテリアデザイナーや建築士とも一緒に仕事をすることになります。バラエティショップやドラッグストアでも商品を展開しているので、「N organic」のブランドコンセプトを守りつつも、薬局ならではの色使いなどで目立たせ、商品を訴求することもあります。
「N organic」の世界観を守りながらも各販売経路や展開先に合わせてカスタマイズし、様々な関係者と幅広くデザインができる面白さを日々感じているところです。
リアルプロダクトが生まれるまでの張り詰めた緊張感と高揚
リアルな物は、一度生み出すと途端に在庫を抱えることになるため、簡単に修正が利きません。だからこそ、1つのプロダクトにかける思いがとても強くなります。
容器であれば製造工場、パッケージや紙関連であれば印刷会社、店舗であればインテリアデザイナーや建築士、その他サプライヤーなど、幅広い関係協力者の方達と業界や会社ごとに異なるスピード感の中ディレクションすることが求められます。
とにかく考え続けて、本当にこれでいいのか何度も議論し、各所とやり取りをしながら制作を進めていくと、時間もかかるからこそ積もる思いがあります。
そして制作が進めば進むほど、リアルプロダクトを生み出す怖さが増していきます。例えば冊子をつくる場合、一文字でも誤字脱字や間違った表記があれば何万部も刷り直しになってしまいます。万が一やり直しとなれば、工数や費用、協力会社の方々のへの影響も非常に大きく、リアルプロダクト制作はどの局面でも緊張感であふれています。
その分、多岐にわたる業務を通じて感じる達成感と緊張感、そしてリアルプロダクトが世に出る瞬間、多くの人が手に取ってくれた時の喜びは、他では味わえない特別なものです。
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~クリエイターのビジネス視点を育む講座「芸術総合講座Ⅳ コンテンツビジネス実務」レポート~
多くの著名なクリエイターを輩出している日本大学芸術学部(以下:日藝)と共同で、未来のクリエイターのためのビジネス視点を養うための産学連携講座「芸術総合講座Ⅳ コンテンツビジネス実務」を実施いたしました。この記事では、共同で実施した背景や実施内容について、本講義の責任者である日藝 加藤准教授と、Ameba事業本部責任者下山に話を聞きました。