テクノロジーで競輪の映像体験をアップデートする
―WINTICKETが提供する新機能「WINLIVE」

競輪・オートレースのインターネット投票サービス「WINTICKET(ウィンチケット)」が新機能「WINLIVE」の提供を開始。
その裏側には、テクノロジーの力で市場拡大を実現させてきた「WINTICKET」の挑戦が。本記事では、機能開発の背景などを、(株)WinTicket代表の佐野の言葉とともにご紹介する。
従来の競輪の映像が、新規ユーザーの理解を難しくしていた?
競輪をやったことのない人たちを競輪ファンにしていく。
これが「WINTICKET」が、後発サービスながら業界ナンバー1となった所以だ。
「競輪をやったことない人たちが競輪の魅力を感じてくれるためには?」という一貫した価値観で、競輪を予想する体験、決済する体験、マーケティングで認知する体験、など既に業界の中で確立されていた1つ1つの体験を「WINTICKET」らしくアップデートさせることで、サービスを成長させてきた。
現に、競輪などの公営競技は比較的、高年齢のファンが多いイメージがあるが、「WINTICKET」の新規登録者は20代~30代が約8割を占める。
そして今年4月、新機能「WINLIVE」をリリース。
これは、競輪映像の視聴体験をアップデートさせる試みである。
佐野「競輪の映像は、もう何十年も様式が変わってないんです。
それはある種“完成させられてる”と言ってもいいかもしれません。もうすでに競輪を楽しんでいるファンの方々にとっては今の映像に不満がないんです。
なので様式を変える必要はないのですが、我々が競輪の魅力を届けたいのは、競輪を見たことがない方々。
そういった人たちにとっては従来の競輪の映像で魅力を伝えるのはかなり難しいと感じていました。」

佐野「なぜなら、競輪は、そこが面白さでもあるのですが、ルールがわかりづらいんです。
その中でも最初に理解する最も高いハードルが“ライン”の存在です。
選手同士がラインというチームを組み、風避けをしたり他の選手をブロックしたり、同じチームの選手と一緒に上位を目指すために体力を使うのですが、それが初心者にはなかなか理解できません。
風避けをするために先頭を走ってる選手が急に失速してしまったりもするのですが、レース中ずっと先頭を走ってる選手ばかり見ている初心者の方は、なぜ急に失速してしまったのかもわからないまま、急にその後ろを走ってる選手が勝ったりして、訳がわからなくなってしまうんです。」
「WINLIVE」が提供する新たな視点、体力を「HP」として表現
そんな背景の中、スポーツテックを用いて選手の体力「HP」※1を表示させる「WINLIVE」を開発。
※1 HP:Hit Pointの略で、主にゲームにおけるキャラクターの生命力やスタミナを表す指標として使用される
佐野「ラインの役割を、まだ競輪を理解していない初心者の方々に知ってもらうのは、難しい。
そこで映像を見るだけで“なんとなく”ラインの役割を理解してもらうことはできないか。
そのためには、ラインがあることによって“結果的に残せる体力”を「HP」という概念で可視化するのはどうかと考えました。
HPが見えることによって、ラインの恩恵を受けた選手、結果的に勝ちそうな選手が、初心者の方も直感的にわかるようになりますし、なぜこの選手はHPが残っているのか?という興味のきっかけを与えることでライン理解の促進にも繋がります。」

「WINLIVE」の提供後、様々な反応に手応えを感じているという。
佐野「レースの流れが理解できた、どうして今の選手が勝てたのか、負けたのかがわかりやすい、といった声を初心者のユーザーから多くいただきました。
それは実際の継続視聴率といった指標にも現れています。
また、選手や業界関係者からもポジティブな声を多くいただけてホッとしています。
一方、既存の競輪ファンのお客様からの反応は、ポジティブネガティブ半々です。
HP映像がいらない、邪魔だというお声もあるのですが、もうこれは覚悟していたことなので仕方がないですね。(笑)
先ほども話したように、競輪の映像はある種もう完成してしまっていてそこに手を入れているわけです。
でもこれは競輪市場の裾野を広げるためには必要なアプローチだと信じて進めてまいります。」
スポーツ映像は進化のポテンシャルに満ち溢れている
新しい体験を実現できる開発力こそ「WINTICKET」の大きな強み。
「WINLIVE」の開発も、技術的に大きな挑戦だったという。
佐野「バンク※2を複数のカメラで囲んで撮影し、選手の位置情報を正確に取得します。
その変位から、選手が発揮しているパワーをリアルタイムで計算し、独自のロジックで消費HPに変換しています。
この技術は、スポーツテックを研究している研究室やベンチャー企業などと共同で開発を進めました。現在特許出願中です。」
※2 バンク:競輪の競走路のこと

佐野「今回のHPという表現は、競輪に限らず、格闘技やサッカー、駅伝など、様々なスポーツにも応用可能なのではないかと考えています。
例えば、サッカーなどでもゲームのようにHPが見えるようになれば、あの選手はあんなに疲れてるのに頑張って走ってるんだな、とサッカーを見ない人たちにでも感情移入できる新しい視聴を提供できたりするかもしれません。」
今後の展開について、佐野は力強くこう語った。
佐野「技術の革新は日々起きている一方で、先ほどの競輪映像の時にも触れたように、スポーツ映像というものは従来のファンに向けて作られているので変化が多くありません。
新しい技術とクリエイティブ力、また『ABEMA』の放送配信技術を組み合わせて、我々にしか作れない新しい映像体験で、様々なスポーツの市場拡大に貢献することができるのではないかと考えています。
その実現に向けて、専門組織『スポーツ映像テック事業部』も新設しました。
画像認識エンジニアやCGエンジニアなど、技術のプロフェッショナルが加わり開発を加速させています。
今後は公営競技だけでなく、スポーツの新しい映像体験、新しい価値、を創っていきたいです。」
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