目指すのは、1,000名以上の技術者のハブになること。オフライン交流イベント「reCAver」運営の想い
サイバーエージェントには、各事業領域で蓄積された技術的知見を積極的に共有し、所属組織や職種を超えた技術者同士の交流促進を目的とする様々な取り組みがあります。その1つ、全社横断の技術者向けオフライン交流イベント「reCAver(リカバー)」は、コロナ禍で激減した技術者同士のリアルな交流を促進するため、若手エンジニアの提案によってスタートした取り組みです。誰でも気軽に参加できるイベントを目指して、職種や年次に関わらず興味を持てる技術トピックを毎回選定し、これまで全6回開催してきました。
「reCAver」を提案した運営チームリーダーの上岡と、第1回開催時から運営を担う川谷、高川に、開催のきっかけや継続的に開催するためのコツを聞きました。
Profile
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上岡将也
2019年新卒入社。機械学習エンジニア。
研究開発組織「秋葉原ラボ」にてメディアサービスの動画像データ利活用を推進した後、2022年より新しい未来のテレビ「ABEMA」所属。同サービスにおけるユーザーとコンテンツ、クリエイティブの分析、最適化アルゴリズムの改善などを経て、現在はDX推進チームのマネージャーを担当。 -
川谷英斗
2020年新卒入社。webフロントエンジニア。
メディア事業を展開する子会社CAMにて、占いサービスや新規事業の開発に携わった後、2024年よりマンガIP事業本部所属。現在は同プラットフォームが展開するマンガサービスの開発を担当。 -
高川雄平
2020年新卒入社。バックエンドエンジニア。
ゲーム事業を展開する子会社Craft Eggにて「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」におけるサーバの各種API実装や運用改善などに携わった後、2023年より子会社Colorful Paletteにてゲーム開発のバックエンドを担当。
オフラインでの交流機会が減ることによる機会損失
── 「reCAver」を提案したきっかけを教えてください。
コロナ禍によって、職種や所属部署を横断したオフラインでの交流がなくなったと感じたことです。学生時代、とある勉強会でサイバーエージェントの社員に声を掛けてもらったことがきっかけで入社したこと、また技術について皆が熱く語れる場や、組織を横断した技術的知見の共有、技術者同士の交流が会社にとって重要だと感じていたため、当時の状況には危機感を覚えました。
ちょうどそのタイミングで、技術組織における経営課題を若手エンジニアから専務執行役員 技術担当の長瀬に提案する会議があり、決議されました。イベント名の「reCAver」は、取り戻すという意味の英単語 “recover” にサイバーエージェントの頭文字であるCAを加えた造語です。全社を横断したオフラインの交流の場を取り戻す、という思いを込めました。
── 日常が戻ってきたと言える今、「reCAver」の運営目的は何なのでしょうか?
特に社内の技術コミュニティや技術者同士の交流においては、コロナ禍以前ほどオフラインでの交流が戻ってきている状況とは言えない、と個人的に感じています。オンラインの便利さに慣れると、オフラインでの交流による密度の濃さを認識はしつつも、その貴重さを無意識に排除してしまい、気づかないうちに機会損失しているという側面もあるのではないでしょうか。
また、会社の規模が年々大きくなっていることもあり、職種や所属部署、年次などの垣根を超えて誰でも気軽に参加できる場が減ってきているとも感じています。縦・横のつながりを作る機会を、会社が継続的に用意することが大切です。
誰でも気軽に参加できる、というのが「reCAver」の一番のメリットだと考えています。当社では社内技術カンファレンス「CA BASE CAMP」も毎年開催していますが、「reCAver」では、より一層気軽に参加できる点を重視しています。毎回様々な技術トピックの下で開催していますが、興味のある人が業務が終わった後にふらりと会場に集まり、美味しい料理やドリンクを片手に和気藹々と集える雰囲気を出せるよう心掛けています。
── これまでどのような技術トピックの下、開催したのでしょうか?また、当日の様子で印象に残っているものがあれば伺いたいです。
第1回については、入社後長らくオフラインの取り組みがなかった2020年以降入社の技術者の歓迎会というテーマで開催しました。社内最大のとあるSlackコミュニティに関するLTや、サイバーエージェントグループ全体の技術戦略を策定する横断組織「CTO統括室」メンバーによるパネルディスカッションなどを実施することで、様々な年次の技術者が交流できるよう工夫しました。
第2回以降は、各事業部で活躍する新卒エンジニアが入社後1年間を振り返る回やCAゼミの紹介、生成AI、開発組織におけるマネジメント、24年度新卒入社の歓迎会といったテーマで開催しています。
特に印象に残っているのは生成AIがテーマの第4回で行われた、当社独自のLLM開発発起人である石上のセッションです。社内限定のイベントだからこそ貴重な開発秘話を聞くことができました。
また、「reCAver」ではNDA(秘密保持契約)を締結した内定者やインターン生も招待しているのですが、部署を横断した先輩エンジニアとの繋がりを構築し、会社全体の雰囲気を知ることができる場にもなっていることを実感しています。
CAゼミ紹介の回で、登壇者のとあるゼミ長から「普段ゼミ同士で知見を共有し合う機会はなかなか持てないので、ありがたい。まさにreCAverだからこそ実現できたと思う」と声を掛けてもらいました。参加者だけでなく、登壇者にもメリットを感じてもらえていることを嬉しく思った一言です。
イベント運営を通して、さらに会社を楽しめるように
── イベント成功のために、運営において大切にしているポイントはありますか?
誰でも気軽に参加できる技術トピックを選定するだけでなく、全社の状況を見渡して、開発組織において埋めるべきギャップがないかを意識しています。例えば、新卒社員と先輩社員、リサーチャーとエンジニア、もしくは各事業部の開発責任者・子会社のCTO陣と現場社員、といった人たちの距離をもっと埋められるのではと考え、それぞれが交流を深められる企画を検討しています。
また、回を重ねる中で、登壇時間を短くするようにしました。「reCAver」ではあくまで技術者同士の懇親がメインで、参加者にとっても合計1時間ほどのセッションがちょうど良いのではと感じたからです。
参加者が集まることが何よりも重要なので、テーマ選定については、旬な技術トピック、かつ職種に関係なく興味を持ってもらえるものを考えています。
オフラインで集まりたくなるよう、ケータリングや飲み物にも毎回こだわっていますね。参加者が入場した際、テンションが上がるよう装飾も工夫しています。
── 継続的に「reCAver」を実施できている要因は何だと思いますか?また、本業と横断組織を両立する上でのコツがあれば教えてください。
タスクが特定の人に偏らないよう、毎回ローテーションで運営責任者を決めています。また、様々な年次の技術者が企画した方が、社員も飽きずに参加してくれると考えています。例えば最近開催した新卒エンジニア歓迎会は、学生時代イベントの運営経験が豊富だったというバックグラウンドを活かして、入社2年目の運営メンバーが企画しました。
彼らは入社1年目の時、運営に志願してくれたのですが、こうして若手が参加したいと思うほど「reCAver」の存在が社内に浸透しているのは嬉しいですね。
また、毎回のイベントの成功こそが我々運営チームの最大のインセンティブになる、という良い循環を作ることも大切です。運営を通して、自分たちの会社に対するモチベーションがさらに向上していると感じます。
我々だけでなく、技術者向けの様々な取り組みを推進する横断組織「技術推進室」や人事、広報がサポートに入ってくれたことも要因の1つだと感じています。ケータリングの手配等細かな運営業務をサポートしてもらえるおかげで、我々は企画に集中することができるので、日々やりがいを感じながら「reCAver」に携わっています。
当初は慣れないイベント運営で苦労したこともありましたが、回を重ねるごとにフローや役割分担が整備できたことで、本業との両立も問題なく取り組めています。その分、参加者により興味を持ってもらえるコンテンツ企画に注力できるようになりました。
多くの社員が集まるイベントに成長したので、まずは参加者を減らさないことが直近の目標です。その上で、「reCAver」によって技術コミュニティをさらに活性化させる事例を作りたいと考えています。
また、先日の新卒エンジニア歓迎会では専務執行役員 技術担当 長瀬より、「今日の『reCAver』で新たに10名の先輩社員と交流できれば、チームサイバーエージェントの一員として働く上で、さらなるステップアップに繋がる大切な出会いとなるはずだ」という話がありました。サイバーエージェントには1,000名以上の技術者が在籍していますが、「reCAver」が”技術者のハブ” になれるよう、引き続き運営に励んでいきたいと思います。
「reCAver」があったからこそ通常の業務では接点のない人たちと繋がれた、という事例をさらに増やしていきたいです。先日の「reCAver」でも、所属部署がすぐに分かるようネームプレートの導入等を進めましたが、参加者同士の交流を促すための様々な工夫を重ねていきたいと思います。
所属するゲーム・エンターテイメント事業部からの参加者をさらに増やしたいです。ゲーム事業という特性上技術領域が他事業部とは異なるため、どうしても技術コミュニティが事業部内に閉じてしまいがちな実状があります。そんな中でも「reCAver」を通して、他事業部の技術者との交流をさらに促進させたいと考えています。
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