サイバーエージェント技術組織におけるマネジメント職の今

技術・デザイン

当社ではエンジニアが最大限クリエイティビティを発揮できるよう、各管轄で裁量を持って自由闊達に組織開発や技術選定を行っていますが、スケールメリットを享受できるものについてはグループ全体での取り組みを推進しています。その1つが2019年に策定したエンジニア向け評価制度「JBキャリアプログラム」です。

同制度では、これまで「エンジニア」「マネジメント」「スペシャリスト」として3つのキャリアの方向性を示しており(※)、それぞれに求められる職務が定められています。2023年10月より、キャリアの定義に新たにエンジニアリングマネージャー職(以下、EM職)を追加しました。約1,000名を超える技術者が在籍する当社で、なぜこれまでEM職を定義していなかったのか。そしてなぜ今強化する必要があるのか?詳しい背景を、グループ全体の技術戦略を策定する横断組織「CTO統括室」室長 山田に聞きました。

※人によっては複数キャリアにまたがる職務を担っていたり、時期によって変わることもあります。

Profile

  • 山田元基
    2008年新卒入社。ゲーム事業を展開する子会社QualiArtsの新規PJTのPM、ゲーム事業SGEの技術統括本部本部長及びCTO統括室室長。「Amebaブログ」の開発に携わった後、エンジニアリーダーとして様々なソーシャルゲーム開発の立ち上げに参画。その後、技術基盤組織の発足や技術戦略策定など組織マネジメントを担う。

EM職と共にプレイングマネージャーも重視

── これまで、あえて全社でEM職を定義していなかった理由を教えてください。

メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業を軸に当社では様々なプロダクトを展開していますが、それぞれフェーズも規模も異なるため、各事業で必要とするEM職の在り方が異なっていたからです。事業成長を最大化するには、それぞれの管轄・子会社でその職務を定義することが最適だと考えていました。

ただ、直近3年間でエンジニアの人数が1.4倍に増え(参照:「サイバーエージェントグループ技術経営のコア「変化対応力」を推進する、3つのエンジン」)、これまで以上にエンジニア組織をマネジメントできるEM職の役割が重要になったことから、事業部を横断してEM職を建てつけることに決めました。ミッションは事業に競争力を与える強い開発チームを創り上げること。強い開発チームを構築し組織成果を最大化するために「チームビルディング」「開発責任 :Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)」「事業へのシンクロ」の3つの要素を特に重視し、これらスキルを有したEM職の育成を強化していきます。

── 当社のキャリアラダーでは「エンジニア」「マネジメント」「スペシャリスト」という方向性を示していました。今回、マネジメントからEM職のみ切り出したのはなぜでしょう?

従来のキャリアラダーにおけるマネジメントでは、プロダクトマネジメント・プロジェクトマネジメントなど全てのマネジメント業務を集約していました。現在のサイバーエージェントの技術組織ではミドルマネジメントとしてチームビルディングを担える人材を求めています。
組織を作り上げ、さらなる成果を引き出す人材を育成するため、キャリアラダーにEM職を追加しました。

── EM職の強化において当社ならではだと感じたのが、プレイングマネージャーをこれまで以上に正しく評価すると明言していたことです。なぜ、プレイングマネージャーを重要視しているのでしょうか?

サイバーエージェントでは、これまでも新しい技術を積極的に導入し、開発スピードと高いクオリティで事業をリードしてきました。

事業成長のためには、マネジメントとエンジニアの役割を分断するのではなく、開発しながらマネジメントを担える人材が欠かせません。当社では既に多くのプレイングマネージャーが各チームを支えてくれていますが、これまで以上にきちんとマネジメント領域を評価する重要性を感じています。

EM職専任を増やしたいわけではない、狙いは開発とマネジメントの比率を柔軟に変えられること

── マネジメント職強化に関して、社内ではどのような反応がありましたか?

キャリアラダーで明確に定義したことにより、これをきっかけにEM職を目指したいというメンバーが一定数現れているのは嬉しいですね。キャリアの選択肢の1つとしてマネジメントを担いたいと思う人材が増えるよう、社内のフィードバックをもとに、職務定義をさらに明確化したいと考えています。また、プレイングマネージャーとして開発とマネジメント双方を担っているメンバーからは、新たな評価方法に対して多くのポジティブな声が挙がっています。

一方で、全社でEM職を建てつけたとはいっても、各事業ドメインごとに求められる人物像が異なるという課題は変わらずあるのが現状です。そのため、全社で展開すべきマネジメントの知見等は新たに発足するEM職の横断組織にて共有できるようにしつつも、各事業で最適化すべき部分については、それぞれの意思を尊重できるよう仕組みを整えていきたいと考えています。

── 自身もテックリードからEMに転向したバックグラウンドがあるとのことですが、その上で今回の取り組みについてどのように考えていますか?

テックリードを経てプレイングマネージャーを担っていましたが、マネジメント業務が増えてきたこととチームの状況を鑑みて、EM職として組織作りに注力した経緯があります。
過去の私もそうでしたが、開発から離れてマネジメント業務を担うことで、果たして組織からきちんと評価され続けるのか、多くのエンジニアも不安に思っているのではないでしょうか。キャリアラダーにきちんと定義付けられ、評価フローも整備されたことで、心理的安全性が担保されると考えています。

── 最後に、サイバーエージェントにおけるEM職の今後について展望を聞かせてください。

今回EM職を改めて建てつけましたが、専任のEM職を増やす事が目的ではありません。一部、ハイグレードで事業責任を持つメンバーについては一定のマネジメント業務を担う場合があるものの、多くのメンバーにとっては事業の状況によって開発とマネジメントの比率をいつでも変えられる状態を作りたいと考えています。事業競争力を最大化させる上でも、本人の意思を叶える意味でも、その重み付けを柔軟に変えられる環境は常に整えておく必要があります。サイバーエージェントはものづくりの会社で、そのためのマネジメント職強化です。本人の意思に反して、技術を諦める人材が現れるのは大きなリスクですから絶対に避けなければなりません。

全社の評価制度をベースにしながらも、各事業の状況に合わせてその仕組みを最適化し、事業に競争力を与える強い開発チームを創出し続けたいと考えています。

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サイバーエージェントの子会社として2019年8月に設立された株式会社AI Shiftは、AIを駆使したプロダクトでカスタマーサポート業務のDX化を推進し、累計導入社数が300社以上に達しました。「人らしい世の中を創る」というビジョンのもと「AI Messenger Chatbot」や「AI Messenger Voicebot」などAIプロダクトを提供し、業界全体の業務効率化に貢献しています。また、LLMを活用したAIプロダクトの開発に注力し、これまでのプロダクトへのLLM連携や、お客様とオペレーターの対話を自動要約する「AI Messenger Summary」等をリリースしています。
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