クリエイティブディレクターNIGO?氏に聞く、世界に通用するブランドの創り方
世界で活躍するデザイナーNIGO®氏を総合クリエイティブディレクターに迎え、サイバーエージェントのブランドロゴを一新してはや5年。
会社の顔であるロゴやキャラクターからはじまり、「ABEMA」コンテンツの発信拠点「シャトーアメーバ」のデザイン、100種類以上のグッズ制作など、5年間で数多くのプロダクトを生み出すNIGO®氏に、クリエイティブやブランドイメージの創り方について聞きました。
ブランドの浸透は時間をかけて、ゆっくり育てていくもの
──5年前と現在、当社についての印象に変化はありますか?
印象の変化というよりも、サイバーエージェントという会社がどんどん変わって、大きくなっていきますよね。僕はそれに付いて行ってるという感覚です。
──NIGO®氏にロゴデザインを依頼することで、クリエイティブで勝負する覚悟を社内外に示したかったと、当時、代表の藤田は話していました。
ロゴの一新は、組織全体のクリエイティブに対する意識を変えるきっかけになったとは思います。
すぐにクリエイティブ重視の方針を隅々まで浸透させるのは難しいけど、5年という時間をかけて良い方向に変わってきたんじゃないでしょうか。
変わったというより皆で”育てた”という方が近いかもしれません。
ブランドの浸透は時間がかかります。時間をかけて、繰り返し繰り返し伝えて、育てていくものです。
ちょうど先日、藤田社長と2人で話したのですが、「あのタイミングでロゴを変えてよかったとつくづく思う」と社長が言っていました。
──NIGO®氏が良い方向に変わっている、と思った理由は?
たとえば、「ABEMA」は開局当時と比べると随分デザインが洗練されました。これからもっと良くなっていくと思いますし。
──「ABEMA」のキービジュアル、アベマくんもNIGO®氏のデザインですね。
実は、CAロゴデザインの依頼はかなり強いプレッシャーを感じてました。プラスでキャラクターのデザインもすごく難しかったです。
ゆるキャラになっても、かっこつけすぎてもダメで、受け手に「これは何だ?」と想像させるものを目指しました。社長OKが出た後も発表ギリギリまでずっと考えていて、その結果うまれたのがアベマくんです。その時は「ABEMA」のキービジュアルになるとは思いもよりませんでした。
当時、藤田社長から「ABEMA」の構想を聞いた時は正直よくわからなかったんです。これまでにないサービスだったから想像がつかなくて。でも、社長の頭の中には今の姿が見えていたんでしょうね。
5年前にクリエイティブ強化に一気に舵を切ったことも含め、時代を読み取る力と、その推進力はやはりすごいなと思います。
クリエイティブディレクターは、時には黒子に徹するくらいが丁度いい
──自身のアパレルブランドのみならず、アディダスやルイ・ヴィトンとのコラボレーションなど、多岐にわたるデザインはどうやって生み出されているのでしょう?
寝ているとき以外は、常にアイデア探したり、デザインを考えています。
すでに沢山のデザインが世に溢れているので、その中でいかにこだわりを持って自分らしさを出すかだと思います。
今はインターネットで検索すれば何でも出てきて、写真を見てコピーをつくれてしまう時代です。
でもそれは誰でもできることだし、表面上のものづくりにすぎません。
重要なことは実際に触れて「裏返す」ことだと考えています。
僕も検索はしますけど、洋服だったら、どう縫製しているのか、色の塗り方はどうなのか、と自分の目で徹底的にその裏側を確かめてアウトプットに繋げます。
──では、アベマグッズはどういうこだわりを?
マス向けの広い層をターゲットにしたデザインの場合、あまり尖らせすぎずに、ニュートラルさを意識しています。
アベマグッズに限った話ではないですか、ブランドへのリスペクトの気持ちをもって、時には黒子になるくらいの方が丁度いいです。この場合、自分らしさではなくブランドらしさをどう表現するかが重要になってきます。
逆に「HUMAN MADE ® 」は、デザイン性や僕のキャラクターみたいなものを際立たせないと誰にも刺さらなくなってしまう。そのあたりのバランスはけっこう考えていますね。
普段から僕には、いわゆるオンとオフの境はなくて、自分が生活する中で欲しいと思ったり、あったら楽しいだろうなという目線でグッズをつくることが多いです。
例えば、アベマグッズの「サーモボトル200ml」。僕はコーヒーが好きでよく飲むのですが、200mlというサイズ感は一杯淹れるのに丁度いいサイズ。
ちょうどその時にネットニュースで小さい水筒が流行っているという記事をみたこともあって、大きいサイズで制作が進んでいたものを、急遽小さいサイズに変更しました。
アイデアって、仕事中よりも遊びの延長線上で生まれるような気がします。
僕の場合、仕事と捉えるとプレッシャーになってしまう。
遊びの中にもたくさんデザインのヒントが詰まっていますし、その遊び心がクリエイティブのクオリティを一段上げてくれるように思います。
便利な時代だからこそ、デザインへの探求心と理解をもっと深めてほしい
──今のサイバーエージェントに必要なクリエイティブへの考え方は?
雑誌でしか情報を得られなかった僕の若いころとは違って、今は、誰でも何でもつくれる時代。
だからこそ、デザインというものを突き詰めて考えて、理解を深めて欲しいです。
そのために海外のデザインに多く触れてほしいし、もっと世界に意識を向けてほしいですね。
やはり海外は、デザイン水準、そして人の熱量みたいなものがすごく高いので。
原動力の源って、強い好奇心なのではないでしょうか。
だから特に若いデザイナーの方々には、デザインをとことん好きになってほしいなと思います。
ITやネットサービスのジャンルで海外に出ていける今の日本企業ってそう多くはないですけど、サイバーエージェントにはその可能性があると思います。これからの更なる進化が楽しみです。
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